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本編
5、いざ王宮へ
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「王宮からですか?」
私は驚き、目を丸くしてお父様とお母様に聞き直した。
二人は同時に頷きながら、そわそわとした様子で落ち着きがない。
そんな、応接間で向かい合う私たちのテーブルには、王宮からの立派な紋章がついた手紙が置かれている。
宛名は私だ。
「先ほど届いたんだ。は、早く開けてみよう、レイラ」
お父様は興奮した様子で私に言う。
こんなしがない子爵家の娘に王宮から手紙が届くなんて何事だろう。
お父様とお母様が慌てふためくのも無理はない。
私はドキドキしながら、手紙を開封して読んだ。
こ、これは……!
「どんな内容なの?」
お母様は緊張した面持ちで私に尋ねた。
「私に隣国のメアリー・フラートン王女様の話し相手になってほしいって」
私は放心状態で手紙の内容を簡潔に伝えた。
「まあ! なんて光栄な」
お母様は驚きながらも嬉しそうに叫んだ。
「王女様の?! なんでレイラが?」
お父様は少し混乱している。
そういえば、夜会の日の出来事を話していなかったことを思い出し、私は二人に王女様との出会いについて話した。
「そうだったのか、それで話し相手にと。それはとても名誉なことだ」
お父様はとても嬉しそうに頷いている。
「そうね! それに王宮に出入りしていれば、きっと素敵な出会いもありますわ」
あ、そっちね。お母様のちゃっかりとした意見に舌を巻く。
「それもそうだな! レイラ、すぐにお返事を書こう」
そうして返事を書いてからあれよあれよという間に準備が整い、私は今日、王宮へと向かう。
私としては、たまに王宮に行って王女様のお茶のお相手をするだけだと思っていたのだが、なぜか私も王宮に上がりしばらくの間、滞在する手筈が整ってしまったのだ。
これはお父様とお母様の計略だろう。
でも、なんてラッキーなのかしら!これで小説の平和なエンディングへ向けて、思う存分動けそう。
ありがとう、お父様、お母様!
王宮からお迎えの馬車が到着して、私はお父様とお母様に送り出された。
「頑張るんだぞ」
お父様はなぜか私よりもやる気満々な様子だ。
「素敵な出会いを見つけてきなさいね」
お母様は片目を瞑って私に笑顔で言った。
「はい! いってきます」
私は元気に返事をして馬車へ乗り込む。
窓から手を振り、二人の姿が見えなくなって私はやっと窓を閉めた。
私よりも張り切っていた二人を思い出し、思わず笑いがこみ上げる。
「わあ、さすが王族の馬車は乗り心地がいいですねえ、お嬢様」
ミラは感激した様子で馬車の中をきょろきょろと眺めている。
王宮に上がるにあたり、ミラに付き添いをお願いしたのだ。
お父様もお母様もそれは安心だと言って賛成してくれた。
彼女はこの世界に転移してから一番初めに出会った人物で、私のことを大切にしてくれるとても頼りになる存在だから。
何よりミラの屈託のない天真爛漫な性格はとても話しやすく、私にとっても癒しとなっていた。
そして、ミラ自身がこの機会を一番面白がってくれているような気がする。
「王宮はどんな所なんでしょうね。素敵な恋のきっかけに発展するといいですね、お嬢様」
ミラは目をキラキラと輝かせている。
「ふふ、そうだね。ミラにもいい出会いがあるといいなあ」
「きゃあ。えっと……私は素敵な騎士様と出会いたいです~」
ミラはポッと顔を赤くしている。
ふふ、可愛い。
「騎士様かあ、それも素敵ね!」
「お嬢様には公爵様がいらっしゃいますものね」
ミラは目を輝かせて言う。
「エリック様とはあれきり何もないよ」
私は少し焦って言う。
「大丈夫です、お嬢様。公爵様はお立場上、王宮に頻繁に出入りされてますから、愛を深める機会はいくらでもありますよ」
「い、いや、そうじゃなくて」
「お嬢様のお役に立てるよう頑張りますね!」
焦る私に、ミラは「分かっていますから」と相手にしてくれない。
うーん、なんか誤解されてるような気もするけれど、ま、いいか。
とにかくこの機会に、小説を平和なハッピーエンドに導こう!
王宮に着くと、私は速やかに立派な客室に案内された。
ここは宮殿の隣にある離宮で、王女様やその他のお妃様候補の皆さんが過ごす場所のすぐ下の階にあるらしい。
私なんかがこんなところに来てしまっていいのだろうか。
あまりにも煌びやかな王宮の有様に気後れしてしまう。
私に当てられたこの客室は、扉を入ってすぐ両脇に侍女部屋があり、広い廊下を真っ直ぐ抜けるとリビング、隣にはキッチンやバスルームなどがあり、最奥が寝室、という造りになっていた。
とても過ごしやすそうで安心だ。
王宮の人に一通り案内を受けた後、私はリビングのソファに座ってくつろいだ。
ミラが手早く紅茶を淹れて、カップをテーブルに置きながら言う。
「今日の夜は騎士団の任命式があるそうですよ。先ほど王宮のメイドさんたちが噂してました」
「任命式?」
「ええ、なんでもスコフィールド侯爵家のご長男が王宮騎士団の騎士団長に就任されるとかで」
「へえ、そうな、」
そこまで言って私は大事なことを思い出した。
ああ!そうだ!!任命式!!!
今日だったのね、ちょうど良かった!間に合って!
私はハッと思いつき、ミラに向き直った。
「ミラ! あなた騎士様と出会いたいって言ってたわね」
私の必死な形相にミラは驚いている。
「え、ええ。まあ」
「後でそれ、一緒に覗きに行こう!」
「ええ?!」
「任命式は何時から?」
「えーと、確かちょうど18時からだったかと」
幸い先ほど王宮の人から受けた説明では、この離宮、宮殿ともに比較的自由に歩き回っていいと聞いていた。
私のような部外者が入ってはいけない場所に関しては、必ず護衛騎士が配置されているのですぐに分かるようになっているらしい。
それ以外にも、警備は万全に張り巡らされているので、迷ったら近くの騎士に尋ねればいいとのことだった。
そうして私は心を決めて、18時になるのを待つことにした。
私は驚き、目を丸くしてお父様とお母様に聞き直した。
二人は同時に頷きながら、そわそわとした様子で落ち着きがない。
そんな、応接間で向かい合う私たちのテーブルには、王宮からの立派な紋章がついた手紙が置かれている。
宛名は私だ。
「先ほど届いたんだ。は、早く開けてみよう、レイラ」
お父様は興奮した様子で私に言う。
こんなしがない子爵家の娘に王宮から手紙が届くなんて何事だろう。
お父様とお母様が慌てふためくのも無理はない。
私はドキドキしながら、手紙を開封して読んだ。
こ、これは……!
「どんな内容なの?」
お母様は緊張した面持ちで私に尋ねた。
「私に隣国のメアリー・フラートン王女様の話し相手になってほしいって」
私は放心状態で手紙の内容を簡潔に伝えた。
「まあ! なんて光栄な」
お母様は驚きながらも嬉しそうに叫んだ。
「王女様の?! なんでレイラが?」
お父様は少し混乱している。
そういえば、夜会の日の出来事を話していなかったことを思い出し、私は二人に王女様との出会いについて話した。
「そうだったのか、それで話し相手にと。それはとても名誉なことだ」
お父様はとても嬉しそうに頷いている。
「そうね! それに王宮に出入りしていれば、きっと素敵な出会いもありますわ」
あ、そっちね。お母様のちゃっかりとした意見に舌を巻く。
「それもそうだな! レイラ、すぐにお返事を書こう」
そうして返事を書いてからあれよあれよという間に準備が整い、私は今日、王宮へと向かう。
私としては、たまに王宮に行って王女様のお茶のお相手をするだけだと思っていたのだが、なぜか私も王宮に上がりしばらくの間、滞在する手筈が整ってしまったのだ。
これはお父様とお母様の計略だろう。
でも、なんてラッキーなのかしら!これで小説の平和なエンディングへ向けて、思う存分動けそう。
ありがとう、お父様、お母様!
王宮からお迎えの馬車が到着して、私はお父様とお母様に送り出された。
「頑張るんだぞ」
お父様はなぜか私よりもやる気満々な様子だ。
「素敵な出会いを見つけてきなさいね」
お母様は片目を瞑って私に笑顔で言った。
「はい! いってきます」
私は元気に返事をして馬車へ乗り込む。
窓から手を振り、二人の姿が見えなくなって私はやっと窓を閉めた。
私よりも張り切っていた二人を思い出し、思わず笑いがこみ上げる。
「わあ、さすが王族の馬車は乗り心地がいいですねえ、お嬢様」
ミラは感激した様子で馬車の中をきょろきょろと眺めている。
王宮に上がるにあたり、ミラに付き添いをお願いしたのだ。
お父様もお母様もそれは安心だと言って賛成してくれた。
彼女はこの世界に転移してから一番初めに出会った人物で、私のことを大切にしてくれるとても頼りになる存在だから。
何よりミラの屈託のない天真爛漫な性格はとても話しやすく、私にとっても癒しとなっていた。
そして、ミラ自身がこの機会を一番面白がってくれているような気がする。
「王宮はどんな所なんでしょうね。素敵な恋のきっかけに発展するといいですね、お嬢様」
ミラは目をキラキラと輝かせている。
「ふふ、そうだね。ミラにもいい出会いがあるといいなあ」
「きゃあ。えっと……私は素敵な騎士様と出会いたいです~」
ミラはポッと顔を赤くしている。
ふふ、可愛い。
「騎士様かあ、それも素敵ね!」
「お嬢様には公爵様がいらっしゃいますものね」
ミラは目を輝かせて言う。
「エリック様とはあれきり何もないよ」
私は少し焦って言う。
「大丈夫です、お嬢様。公爵様はお立場上、王宮に頻繁に出入りされてますから、愛を深める機会はいくらでもありますよ」
「い、いや、そうじゃなくて」
「お嬢様のお役に立てるよう頑張りますね!」
焦る私に、ミラは「分かっていますから」と相手にしてくれない。
うーん、なんか誤解されてるような気もするけれど、ま、いいか。
とにかくこの機会に、小説を平和なハッピーエンドに導こう!
王宮に着くと、私は速やかに立派な客室に案内された。
ここは宮殿の隣にある離宮で、王女様やその他のお妃様候補の皆さんが過ごす場所のすぐ下の階にあるらしい。
私なんかがこんなところに来てしまっていいのだろうか。
あまりにも煌びやかな王宮の有様に気後れしてしまう。
私に当てられたこの客室は、扉を入ってすぐ両脇に侍女部屋があり、広い廊下を真っ直ぐ抜けるとリビング、隣にはキッチンやバスルームなどがあり、最奥が寝室、という造りになっていた。
とても過ごしやすそうで安心だ。
王宮の人に一通り案内を受けた後、私はリビングのソファに座ってくつろいだ。
ミラが手早く紅茶を淹れて、カップをテーブルに置きながら言う。
「今日の夜は騎士団の任命式があるそうですよ。先ほど王宮のメイドさんたちが噂してました」
「任命式?」
「ええ、なんでもスコフィールド侯爵家のご長男が王宮騎士団の騎士団長に就任されるとかで」
「へえ、そうな、」
そこまで言って私は大事なことを思い出した。
ああ!そうだ!!任命式!!!
今日だったのね、ちょうど良かった!間に合って!
私はハッと思いつき、ミラに向き直った。
「ミラ! あなた騎士様と出会いたいって言ってたわね」
私の必死な形相にミラは驚いている。
「え、ええ。まあ」
「後でそれ、一緒に覗きに行こう!」
「ええ?!」
「任命式は何時から?」
「えーと、確かちょうど18時からだったかと」
幸い先ほど王宮の人から受けた説明では、この離宮、宮殿ともに比較的自由に歩き回っていいと聞いていた。
私のような部外者が入ってはいけない場所に関しては、必ず護衛騎士が配置されているのですぐに分かるようになっているらしい。
それ以外にも、警備は万全に張り巡らされているので、迷ったら近くの騎士に尋ねればいいとのことだった。
そうして私は心を決めて、18時になるのを待つことにした。
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