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本編
6、騎士団長任命式の後で
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えーと、確かヒロインと男主人公ロジャーとの出会いは、任命式後の誰もいなくなった会場で起こるはず。
それならロジャーが気づく前に、王女様を会場から誘い出してしまえばいい!
任命式にどれだけ時間がかかるか分からなかったので、一応18時から10分を過ぎた頃に部屋を出て会場に向かうことにした。
念の為に早めに出たけど、式典なんだからきっと最低でも1時間以上はかかるはずよね。会場の近くで時間を潰して待とう。
そう考えながら、ミラと一緒に離宮の渡り廊下から宮殿に入った。
王女様には私が離宮に着いた挨拶をしに来たと言えば、何も不自然ではないから大丈夫だろう。
そんなことを考えながら歩いていたら思ったよりも緊張していたのか、曲がり角で向こうから来ていた人に気づかず、出会い頭にぶつかってしまった。
それは立派な格好をした騎士様で、彼はその手に持っていた荷物を落とし、床にばら撒いた。
「すみません……!」
私とミラは慌てて床にしゃがみ込んで、散らばった荷物を騎士様と一緒に拾った。
豪華な布が何枚も重なっている。
す、すごい高そう……!
思わずその布に見惚れていると、騎士様は笑って言った。
「これは国王陛下から団長への就任祝いの品なんです」
「そうでしたか。とても美しい布ですね」
「ええ」
そう答えて騎士様は上品な微笑を湛えた。
ふとミラを見ると騎士様をポーッと見つめている。
ふふ、すごいイケメンだもんね。
早速、ミラに素敵な出会いが見つかりそうで私はちょっと嬉しくなった。
「どうした?」
上から声が降って来たので顔を上げて見ると、立派な格好をした金髪の騎士様が立っていた。
わあ、これまたイケメンだあ。
金髪に茶色の瞳を持つその騎士様は、端正な顔立ちをした爽やかな青年だった。
私とぶつかった騎士様はさっと立ち上がり、金髪の騎士様に頭を下げて言った。
「誤って落としてしまった祝いの品を、こちらのレディが一緒に拾ってくださっていました」
え!そんな言い方じゃ騎士様が怒られちゃうんじゃないの?!
金髪の騎士様はどうやら上司のようだし……。
この世界に来て元の生活のことなんてすっかり忘れていたけれど、そんなことを瞬時に考えちゃうところが、社会人の性よね……。
金髪の騎士様は私に手を差し出して言う。
「そうでしたか。それは申し訳ありませんでした、レディ」
私が彼の手を取ると、軽々と支えて立ち上がらせてくれた。
「い、いいえ私のせいでしたから。私の不注意でこちらの騎士様にぶつかってしまったのです」
金髪の騎士様は一瞬驚いた表情をしてから、優しい笑顔で私の手にキスをして言った。
「レディはお優しいですね。私は王宮騎士団長ロジャー・スコフィールドです。よろしければレディのお名前をお伺いしても?」
ロジャー?!?!?
これが、男主人公のロジャーなの……!?
「わ、私はレイラ・リンゼイと申します」
「レイラ嬢、お目にかかれて光栄です」
ロジャーはそう言って私の手を握ったまま、じっとこちらを見つめている。
う、美しい。この世界の人ってなんて美しい人ばかりなのだろうか。
私がロジャーの美しさを眩しく思っていると、そこへ長身の人が横切った。
ふと顔を見ると、それはなんとエリック様だったのだ。
エリック様は私の顔を見ると同時に、驚いた顔をして呟くように言った。
「レイラ……」
エリック様は白い上下に金の刺繍が施された美しい衣装を纏っていた。
異国情緒溢れるその佇まいは、上品な色香を感じさせる。
そうだ、エリック様のお母さんは確か南部出身だったはず。この衣装も南部が発祥の正装だ。
彼の持つ褐色の肌と逞しい身体が引き立って、思わず見惚れてしまった。
か、格好良すぎる……!!
「その男と知り合いだったのか」
見惚れてぼーっとしている私に、エリック様は冷やかな表情を作ってロジャーを見据えながら言った。
途端にエリック様とロジャーの間に妙な緊迫感が走る。
「あ、私の不注意で騎士団長様にご迷惑をかけてしまって」
私はなんとかこの場を和まそうと、愛想笑いを浮かべながらエリック様に向き直ろうとした。
が、ロジャーはさっきから握ったままの私の手をがっちりと掴み、離してくれない。
「あ、あの、騎士団長様?」
「ロラン公爵のお知り合いでしたか」
そう言ったロジャーの表情は固く、私ではなくエリック様を見据えていた。
「ああ、あの夜会の夜は情熱的だったな」
そう言いながら、意味ありげに私に目くばせをする。
その瞬間、場の空気がさらに冷え切ったような気がした。
エリック様とロジャーはなぜか睨み合っている。
な、なんか怖いよ……。
どうしたらいいのか分からずにいると、そこへエドワード殿下にエスコートされた王女様が通りかかった。
っていうか、なんでこんな廊下の片隅に小説の主要キャストが勢揃いなの~?!
「レイラ! 今日着いたのね!」
王女様は私に気づくと嬉しそうな笑顔でこちらに駆け寄ってきた。
パッと空気が変わったのをいいことに、私もすかさずロジャーの手から逃れ、王女様に近寄って明るい声で挨拶をする。
「はい、王女様! ちょうどご挨拶に伺おうと思っていました」
「そなたがメアリーの話していたリンゼイ子爵令嬢か」
エドワード殿下は優しい笑顔で私に向かって言った。
「王太子殿下にご挨拶申し上げます」
私は慌てて顔を下げて、殿下に深々と挨拶をする。
殿下は穏やかな表情で答えた。
「ああ。メアリーと仲良くしてやってくれ」
「はい」
優しく言った殿下につられて、思わず笑顔で答えた。
「レイラは隣国の王女に会いに来たのか?」
エリック様は不思議そうに、誰にともなく尋ねた。
「ああ、メアリーの話し相手として暫くここに滞在してもらうことにしたんだ」
なぜか殿下が得意げに答える。
「それは素晴らしいですね。レイラ嬢は真心のある素敵なレディですから」
ロジャーは上品な笑顔でそう言った。
エドワード殿下の隣でにこやかにしている王女様を見て、私は笑顔を保ちつつも内心パニックだった。
な、なんで殿下と一緒にいるんだろう。
小説だと二人はそんなに歩み寄ることなく、ヒロインとロジャーとエリック様の三角関係になっていくはずなんだけど……。
そう思いながら考えを巡らせていると、こちらを見ているロジャーと目が合い彼はニコッと笑った。
エリック様は殿下と王女様と何かを話している。
でもまあ、ロジャーはそんなに王女様に興味を持っていないようだし、なんとかやっとエリック様と王女様も遭遇したし、一応これで目的は果たせたかな……?
それならロジャーが気づく前に、王女様を会場から誘い出してしまえばいい!
任命式にどれだけ時間がかかるか分からなかったので、一応18時から10分を過ぎた頃に部屋を出て会場に向かうことにした。
念の為に早めに出たけど、式典なんだからきっと最低でも1時間以上はかかるはずよね。会場の近くで時間を潰して待とう。
そう考えながら、ミラと一緒に離宮の渡り廊下から宮殿に入った。
王女様には私が離宮に着いた挨拶をしに来たと言えば、何も不自然ではないから大丈夫だろう。
そんなことを考えながら歩いていたら思ったよりも緊張していたのか、曲がり角で向こうから来ていた人に気づかず、出会い頭にぶつかってしまった。
それは立派な格好をした騎士様で、彼はその手に持っていた荷物を落とし、床にばら撒いた。
「すみません……!」
私とミラは慌てて床にしゃがみ込んで、散らばった荷物を騎士様と一緒に拾った。
豪華な布が何枚も重なっている。
す、すごい高そう……!
思わずその布に見惚れていると、騎士様は笑って言った。
「これは国王陛下から団長への就任祝いの品なんです」
「そうでしたか。とても美しい布ですね」
「ええ」
そう答えて騎士様は上品な微笑を湛えた。
ふとミラを見ると騎士様をポーッと見つめている。
ふふ、すごいイケメンだもんね。
早速、ミラに素敵な出会いが見つかりそうで私はちょっと嬉しくなった。
「どうした?」
上から声が降って来たので顔を上げて見ると、立派な格好をした金髪の騎士様が立っていた。
わあ、これまたイケメンだあ。
金髪に茶色の瞳を持つその騎士様は、端正な顔立ちをした爽やかな青年だった。
私とぶつかった騎士様はさっと立ち上がり、金髪の騎士様に頭を下げて言った。
「誤って落としてしまった祝いの品を、こちらのレディが一緒に拾ってくださっていました」
え!そんな言い方じゃ騎士様が怒られちゃうんじゃないの?!
金髪の騎士様はどうやら上司のようだし……。
この世界に来て元の生活のことなんてすっかり忘れていたけれど、そんなことを瞬時に考えちゃうところが、社会人の性よね……。
金髪の騎士様は私に手を差し出して言う。
「そうでしたか。それは申し訳ありませんでした、レディ」
私が彼の手を取ると、軽々と支えて立ち上がらせてくれた。
「い、いいえ私のせいでしたから。私の不注意でこちらの騎士様にぶつかってしまったのです」
金髪の騎士様は一瞬驚いた表情をしてから、優しい笑顔で私の手にキスをして言った。
「レディはお優しいですね。私は王宮騎士団長ロジャー・スコフィールドです。よろしければレディのお名前をお伺いしても?」
ロジャー?!?!?
これが、男主人公のロジャーなの……!?
「わ、私はレイラ・リンゼイと申します」
「レイラ嬢、お目にかかれて光栄です」
ロジャーはそう言って私の手を握ったまま、じっとこちらを見つめている。
う、美しい。この世界の人ってなんて美しい人ばかりなのだろうか。
私がロジャーの美しさを眩しく思っていると、そこへ長身の人が横切った。
ふと顔を見ると、それはなんとエリック様だったのだ。
エリック様は私の顔を見ると同時に、驚いた顔をして呟くように言った。
「レイラ……」
エリック様は白い上下に金の刺繍が施された美しい衣装を纏っていた。
異国情緒溢れるその佇まいは、上品な色香を感じさせる。
そうだ、エリック様のお母さんは確か南部出身だったはず。この衣装も南部が発祥の正装だ。
彼の持つ褐色の肌と逞しい身体が引き立って、思わず見惚れてしまった。
か、格好良すぎる……!!
「その男と知り合いだったのか」
見惚れてぼーっとしている私に、エリック様は冷やかな表情を作ってロジャーを見据えながら言った。
途端にエリック様とロジャーの間に妙な緊迫感が走る。
「あ、私の不注意で騎士団長様にご迷惑をかけてしまって」
私はなんとかこの場を和まそうと、愛想笑いを浮かべながらエリック様に向き直ろうとした。
が、ロジャーはさっきから握ったままの私の手をがっちりと掴み、離してくれない。
「あ、あの、騎士団長様?」
「ロラン公爵のお知り合いでしたか」
そう言ったロジャーの表情は固く、私ではなくエリック様を見据えていた。
「ああ、あの夜会の夜は情熱的だったな」
そう言いながら、意味ありげに私に目くばせをする。
その瞬間、場の空気がさらに冷え切ったような気がした。
エリック様とロジャーはなぜか睨み合っている。
な、なんか怖いよ……。
どうしたらいいのか分からずにいると、そこへエドワード殿下にエスコートされた王女様が通りかかった。
っていうか、なんでこんな廊下の片隅に小説の主要キャストが勢揃いなの~?!
「レイラ! 今日着いたのね!」
王女様は私に気づくと嬉しそうな笑顔でこちらに駆け寄ってきた。
パッと空気が変わったのをいいことに、私もすかさずロジャーの手から逃れ、王女様に近寄って明るい声で挨拶をする。
「はい、王女様! ちょうどご挨拶に伺おうと思っていました」
「そなたがメアリーの話していたリンゼイ子爵令嬢か」
エドワード殿下は優しい笑顔で私に向かって言った。
「王太子殿下にご挨拶申し上げます」
私は慌てて顔を下げて、殿下に深々と挨拶をする。
殿下は穏やかな表情で答えた。
「ああ。メアリーと仲良くしてやってくれ」
「はい」
優しく言った殿下につられて、思わず笑顔で答えた。
「レイラは隣国の王女に会いに来たのか?」
エリック様は不思議そうに、誰にともなく尋ねた。
「ああ、メアリーの話し相手として暫くここに滞在してもらうことにしたんだ」
なぜか殿下が得意げに答える。
「それは素晴らしいですね。レイラ嬢は真心のある素敵なレディですから」
ロジャーは上品な笑顔でそう言った。
エドワード殿下の隣でにこやかにしている王女様を見て、私は笑顔を保ちつつも内心パニックだった。
な、なんで殿下と一緒にいるんだろう。
小説だと二人はそんなに歩み寄ることなく、ヒロインとロジャーとエリック様の三角関係になっていくはずなんだけど……。
そう思いながら考えを巡らせていると、こちらを見ているロジャーと目が合い彼はニコッと笑った。
エリック様は殿下と王女様と何かを話している。
でもまあ、ロジャーはそんなに王女様に興味を持っていないようだし、なんとかやっとエリック様と王女様も遭遇したし、一応これで目的は果たせたかな……?
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