理想とは違うけど魔法の収納庫は稼げるから良しとします

水野(仮)

文字の大きさ
1 / 50

手に入れたスキルを活用しよう

しおりを挟む
ガキの頃から一緒に育ち、英雄になろうと誓い合った幼馴染の態度が教会で洗礼を受けた後から一変した。

2ヶ月しか変わらないのに俺を兄と呼んでいたマルコは剣術、いつも俺の影に隠れて周りの顔を伺っていたルビンは体術、俺のお嫁さんになると言っていたサユは魔術のスキルを手に入れた。

俺が戦闘スキルを手に入れたら一緒に冒険者ギルドへ登録しに行こうねと話していたのだが、俺が手に入れたのは収納スキルだった。
収納を手に入れたことを知った俺は、戦利品を持ち帰り安くなってラッキーだなと思ったのだが、幼馴染たちはそう考えなかったらしい。

「戦闘スキルじゃないのかよ、ダッセー」
「荷物持ちとして入れてやるよ、アベル」
「あたしたちの足手まといにならないでよね!」
「収納スキルだったからと言って今までの鍛錬で身に付けた力を失うわけじゃないんだが」
「はあ? 荷物持ちくせに戦う気?」
「馬鹿じゃないの? 」

背負い袋とか気にせず即戦闘に入れるのってメリットあると思うんだけどなぁ、倒した魔物を全部持ち帰ることが出来るのって部位を選んで持ち帰る他の人たちよりも稼げるしさぁ。
泊りがけで行く時に水や食料に野営道具を持ち運ぶ負担が無くなるのも大きいだろ、それらを持って移動する大変さがわからないのか?
う~ん、ごちゃごちゃ言われ続けてる…戦闘スキル持ちじゃないからとか言う理由で不当に分け前とか減らされそうな雰囲気だなこれ。
ここで別れるのもありか、これ以上幼馴染たちの嫌な部分は見たくないしな…。

「わかったよ、俺は冒険者にはならない」
「え?」
「戦い向きのスキルじゃないからな、無理はしないで別な道を探すよ」
「何を言っているんだ?」
「今まで楽しかった、お前らは英雄を目指せよ」
「ま、待って」
「じゃあな、元気で暮らせよ!」

俺は走って教会から離れ、その足で冒険者ギルドに行き登録した。
冒険者にならないと言ったが嘘だ、身分証になるし狩った魔物を売る場所を利用しない手はないからな。有料だが代わりに解体してくれるサービスが有ると知った今は登録しないと言う選択肢は無い。
…後で訊かれたら、お前らと一緒に冒険者登録しないと言う意味だと誤魔化しておこう。
まぁ、このまま別な街へ行くつもりだから村に帰るあいつらと会うことはとうぶん無いけどな。



2日間ほど歩いて隣街に着いた。
ここまで来る間に収納スキルを調べたのだが、思った以上に使える物だった。
視界に入っている物なら土に根付いている木以外は生えてる草花でも収納できた。
草がそのまま収納出来ると言うことは当然生き物がそのまま収納可能と言うことで、ツノ兎やら灰色狼なども生きたまま入れられた。今のところ戦って勝てそうにない相手でも収納することで対処出来るのだからこのスキル凄すぎでしょ。
問題があるとすれば、冒険者ギルドで解体してもらう時に暴れられる可能性が有るってことくらいかな? 一匹ずつなら灰色狼倒せるだろうか?



「むごい…」
「やったお前が言うなよ」

水の中に鉄の檻を沈めてその中に灰色狼を出したら数分で溺死した。

いや、生きたままなんだけどどうしたら良いかと冒険者ギルドで相談したら、『水に沈めて溺死させてはどうか?』みたいな案を出した職員がいて、『なら念のために檻の中に入れてみては?』と俺が追加で案を出してやってみたんだけど、討伐対象とは言え生き物がもがき苦しみながら死んでいくのを見るのは憂鬱な気分になる。

「あと20匹くらい居るんだけど、どうしますか?」
「傷の無い灰色狼は貴重だがこれを20回も見せられるのはなぁ…」
「は? 何言ってるんですか! 無傷の毛皮ですよ! それを台無しにするって言うんですか!」

ええ…。
俺も解体するおじさんも引いてるのに案内してくれた受付のお姉さんがテンション高めてノリノリなんだが…。

「この時期の毛皮は最高品質なのに討伐部位の牙しか持ち帰らない人達ばかりでたまに丸ごと持ち帰って来ても刃物傷や魔法の跡が付いてて使える部分が少ないし、毛皮目的の依頼だと難易度が上がるので誰もやりたがらないし!」
「あ、はい。続けます」
「お願いしますね!」

受付のお姉さんに、無傷の灰色狼の死体4匹で死亡確認してもらい、俺と解体するおじさんは別室で待機するこたにしました。
出来るだけ現場で倒そう、その為には強くなろうと思った。

灰色狼を全て買い取って貰った代金を見たら生きたまま持って来ても良いかなと考え直したが。
1匹にそこそこの宿屋に朝食付きで2月ほど泊まれる値が付いてそれが17匹分、いきなり小金持ちになってしまった。
毎年この時期に灰色狼を生きたまま捕獲すれば人生安泰なのでは?

******
主人公:アベル
年齢 :12歳
家族 :父母、兄3人妹2人
出身 :農村
スキル:収納庫
戦闘力:英雄を夢見て鍛えていたので12歳にしてはそれなりに戦える
備考 :村では村長くらいしか字の読み書きが出来ないので教えてもらう機会など無くアベルは字が読めない。
収納した物リストを目に表示する機能などがあるのだが字が読めないので今のところあまり役立っていない。
中に入った物を忘れて取り出せなくなる前に字を覚えよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

身代わりで呪いの公爵に嫁ぎましたが、聖女の力で浄化したら離縁どころか国一番の溺愛妻になりました〜実家が泣きついてももう遅い〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能は、死神の生贄にでもなっていろ」 魔力なしの無能と蔑まれ、家族に虐げられてきた伯爵令嬢レティシア。 彼女に命じられたのは、近づく者すべてを病ませるという『呪いの公爵』アレクシスへの身代わり結婚だった。 鉄格子の馬車で運ばれ、たどり着いたのは瘴気に満ちた死の城。 恐ろしい怪物のような男に殺される――。 そう覚悟していたレティシアだったが、目の前の光景に絶望よりも先に別の感情が湧き上がる。 (な、何これ……汚すぎるわ! 雑巾とブラシはどこ!?) 実は、彼女が「無能」と言われていたのは、その力が『洗浄』と『浄化』に特化した特殊な聖女の魔力だったから。 レティシアが掃除をすれば、呪いの瘴気は消え去り、枯れた大地には花が咲き、不気味だった公爵城はまたたく間にピカピカの聖域に塗り替えられていく。 さらには、呪いで苦しんでいたアレクシスの素顔は、見惚れるほどの美青年で――。 「レティシア、君は一体何者なんだ……? 体が、こんなに軽いのは初めてだ」 冷酷だったはずの公爵様から、まさかの執着と溺愛。 さらには、呪いが解けたことで領地は国一番の豊かさを取り戻していく。 一方で、レティシアを捨てた実家は、彼女の『浄化』を失ったことで災厄に見舞われ、今さら「戻ってきてくれ」と泣きついてくるが……。 「私は今、お城の掃除と旦那様のお世話で忙しいんです。お引き取りくださいませ」 これは、掃除を愛する薄幸令嬢が、その愛と魔力で死神公爵を救い、最高に幸せな居場所を手に入れるまでのお話。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

甲斐性無し王子と共働き聖女

あんど もあ
ファンタジー
国で唯一の聖女のルーナは18歳のお年頃。いい加減に寿退職したいのだが、そうはさせまいと国王は第二王子とルーナの婚約を決める。 「なぜ王子の私が平民の聖女などと!」 「王子様と結婚しても聖女を続けないといけないの? 王子って、共働きしないといけないくらい甲斐性無しなの?!」 さて、すれ違ってる二人は結ばれるのか……。

処理中です...