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船乗りの噂
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「魔物って餓死するんですか?」
「餓死した魔物の死体を見たと言う話は聞いたことないですね」
魔物の餓死実験をする前に王都の冒険者ギルドで話を聞いてみたら聞いた話も記録としても餓死した魔物を知らないそうだ。
なに食べても生きていけるとかなのか?
「飢えた灰色狼の群れを討伐したこともあるぜ」
「餓死した魔物は他の魔物の餌になっちまうんじゃないか?」
話を聞いていたらしい顔見知りの冒険者がそんなことを言う。
「なるほど、その可能性のほうが高そうだな」
「なんでまたそんなのが気になったんだよ?」
「取ってきた大型魔獣を俺だけで処理出来る方法は無いかなと思ってさ」
「それなら深い池作って沈めりゃ良いんじゃねーの?」
「浮かんでくるからなぁ」
「岩でも落とせば良いだろ」
「おお…」
それは思い付かなかったな。
お礼を言って処分に困ってる塩を渡してギルドを出る。
この辺りだと塩を買えばそれなりの値段になる、取り扱える商会が決まってるので換金は出来ないけど。
泊まってる宿屋にでも渡せば交渉次第で宿泊費が安くなるくらいは有るんじゃないかな?
大型魔獣の溺死を試したい気がなくもないが大量の水を確保するにはまた海に行く必要があるからそのうちで良いか。
湖の容器だと大き過ぎるし、氷の精霊に頼んで小さめのを作ってもらおうかな。
*
城で料理人と薬師に魚を見せて買い取ってもらう。
食べると状態異常になる魚は全て薬師に渡した。知らない魚も居るらしく実験が楽しみだと言っていた。
異常にならない魚の中には料理人の知らない魚が混ざっていて、未知なる味とそちらも楽しそうだ。
「このような魚が海にはいるのですね」
「魚、なのか?」
「魔物ですかね?」
上半身が人間の少女で下半身が魚で有る。
「苦しそうですが、このままだと死んでしまうのでしょうか」
「流石に料理する気には慣れないですね、これは」
確かにね。
「身体の構造が気になるな、この身体で海に住めるのだろう」
薬師さんは解体する気だな。
彼女?を調べることで水の中で息が出来る道具や薬を作れるようになるかも知れないし。
「苦しんでるのよ、しまってあげて」
王女様? なんでここに?
とりあえず苦しんでる彼女をしまい、臣下の礼を取ろうとしたところで王女の従者に止められる。
俺は王の持ち物だが王族の持ち物ではないので、そこを勘違いすると俺よりも王女の方に問題が発生するんだよな。
だが、やはり慣れないのは仕方がない。
ただ、そうすると先ほど彼女をしまったのは不味かったか? しまったところにたまたま姫様が来た、そうしておこう。
「どうしてここへ?」
「生きた海の魚を見られると聞いて来ました。今を逃したら一生見ることは出来ないと思いましたのでわがままを言わせてもらったの」
王女様に限らずこの辺りに住む人が生きた海の魚を見る機会はないだろうな。
「それで、先程の少女も海の魚なのですか?」
「海の中で取ったものなのは確かですが、魚なのか魔物なのかわかりません」
「言葉は話しましたの?」
上半身が人間と同じなら話すことが出来るのか?
魔物だとしたらあり得るか、話す内容はわからないがオークが会話をしているのは見たことがある。
「話せるかも知れませんが、私たちと同じ言葉かはわかりません」
「そうですか」
「話してみたいのですか?」
「海で暮らす人がどのような生活をしているのか気になりますでしょう?」
「人だとお考えなのですか?」
「違うのですか?」
「わかりません」
どうなんだろうか。
雪の精霊なら知っているだろうか。水の精霊も知っているかも知れない。
海へ一緒に行けば収納した時に何かわかったのか?
「では直接本人に聞いてみましょう!」
いや、言葉通じるかわからないからね。
*
訓練場近くにある檻水槽の作られた部屋へ来る。
途中、事情を話して訓練中の騎士を王女の護衛に借りた。
水の中で話しても声が聞こえないと思うので頭ひとつ分くらい出せそうな位置まで水を入れて、念の為に海で取れた塩を混ぜて海水のようにする。
「檻は要らないのではないでしょうか?」
「何があるかわかりませんので」
未知なるものには警戒し過ぎくらいがちょうど良いとギルドでも言われたしな。
「それでは出します」
彼女を出すと水の中なのに深呼吸のような動作をしている。
水中で呼吸が出来る?
それとも水を吸ったのか?
「おお…」
少女が顔を上げてこちらを見ると、若い騎士がなんだか感動したような声をあげる。
精霊たちと同じくらい顔が整っているからかね?
「ここまで人にそっくりな魔物を見るのは初めてだ」
「ああ…」
確かにな。
しかし、海の中に住むのに人と近い形や肌を持つものなのか?
泳ぐのに邪魔に思えるが。
「これがセイレーンなのかも知れないな」
「セイレーン?」
「人間の女のフリをして船乗りを誘い食べる魔物だ」
「そんな魔物が海に入るのか」
「いや、船乗りの間でそんな話があるってだけで実際居るわけじゃないらしい。ただ、これを目撃した船乗りが思い付いたことなのかなってね」
騎士たちがそんな話をしている。
見た目が少女だからか警戒心が緩むのだろうな。
「話かけたらどうだ?」
いつの間にか陛下と付き人まで来ている。
「わかりました」
何かあったら即収納をするつもりで近づいていく。
辺りを面白そうに見回していた少女は俺が近づくのに気が付いたのかこちらを見て手を振ってきた。
その動作だけ見ると普通に会話出来そうな気がするな。
でも、何を話せば良いんだ?
わからない。
「お腹空きました、お兄さんは何か食べるもの持ってないですか?」
普通に話しかけられたのだが…。
「えっと、魚で良いかな」
「はい!」
お腹いっぱいになって満足した彼女と話したら、魔物じゃなくて海の精霊だとわかった。
そもそも港街で出した時は上半身が人の魚なんて居なかったのに何故と思っていたんだ。
魚になれるんですよと言った彼女が上半身を魚にしたり、人の姿にもなれますよと下半身も人と同じくなったり。
魚に姿を変えて泳いでいたところを収納されて、なんだか面白そうだったのでそのままで居たのだとか。
「海に帰してきます」
「そうしてくれ」
精霊って実はその辺りを普通に歩いてるのではって気がしてきた。
*****
2021年4月27日
前話を少し削りました
前 水の精霊と会話有り
後 水の精霊と発言を消し海へは1人で行ったことに
「餓死した魔物の死体を見たと言う話は聞いたことないですね」
魔物の餓死実験をする前に王都の冒険者ギルドで話を聞いてみたら聞いた話も記録としても餓死した魔物を知らないそうだ。
なに食べても生きていけるとかなのか?
「飢えた灰色狼の群れを討伐したこともあるぜ」
「餓死した魔物は他の魔物の餌になっちまうんじゃないか?」
話を聞いていたらしい顔見知りの冒険者がそんなことを言う。
「なるほど、その可能性のほうが高そうだな」
「なんでまたそんなのが気になったんだよ?」
「取ってきた大型魔獣を俺だけで処理出来る方法は無いかなと思ってさ」
「それなら深い池作って沈めりゃ良いんじゃねーの?」
「浮かんでくるからなぁ」
「岩でも落とせば良いだろ」
「おお…」
それは思い付かなかったな。
お礼を言って処分に困ってる塩を渡してギルドを出る。
この辺りだと塩を買えばそれなりの値段になる、取り扱える商会が決まってるので換金は出来ないけど。
泊まってる宿屋にでも渡せば交渉次第で宿泊費が安くなるくらいは有るんじゃないかな?
大型魔獣の溺死を試したい気がなくもないが大量の水を確保するにはまた海に行く必要があるからそのうちで良いか。
湖の容器だと大き過ぎるし、氷の精霊に頼んで小さめのを作ってもらおうかな。
*
城で料理人と薬師に魚を見せて買い取ってもらう。
食べると状態異常になる魚は全て薬師に渡した。知らない魚も居るらしく実験が楽しみだと言っていた。
異常にならない魚の中には料理人の知らない魚が混ざっていて、未知なる味とそちらも楽しそうだ。
「このような魚が海にはいるのですね」
「魚、なのか?」
「魔物ですかね?」
上半身が人間の少女で下半身が魚で有る。
「苦しそうですが、このままだと死んでしまうのでしょうか」
「流石に料理する気には慣れないですね、これは」
確かにね。
「身体の構造が気になるな、この身体で海に住めるのだろう」
薬師さんは解体する気だな。
彼女?を調べることで水の中で息が出来る道具や薬を作れるようになるかも知れないし。
「苦しんでるのよ、しまってあげて」
王女様? なんでここに?
とりあえず苦しんでる彼女をしまい、臣下の礼を取ろうとしたところで王女の従者に止められる。
俺は王の持ち物だが王族の持ち物ではないので、そこを勘違いすると俺よりも王女の方に問題が発生するんだよな。
だが、やはり慣れないのは仕方がない。
ただ、そうすると先ほど彼女をしまったのは不味かったか? しまったところにたまたま姫様が来た、そうしておこう。
「どうしてここへ?」
「生きた海の魚を見られると聞いて来ました。今を逃したら一生見ることは出来ないと思いましたのでわがままを言わせてもらったの」
王女様に限らずこの辺りに住む人が生きた海の魚を見る機会はないだろうな。
「それで、先程の少女も海の魚なのですか?」
「海の中で取ったものなのは確かですが、魚なのか魔物なのかわかりません」
「言葉は話しましたの?」
上半身が人間と同じなら話すことが出来るのか?
魔物だとしたらあり得るか、話す内容はわからないがオークが会話をしているのは見たことがある。
「話せるかも知れませんが、私たちと同じ言葉かはわかりません」
「そうですか」
「話してみたいのですか?」
「海で暮らす人がどのような生活をしているのか気になりますでしょう?」
「人だとお考えなのですか?」
「違うのですか?」
「わかりません」
どうなんだろうか。
雪の精霊なら知っているだろうか。水の精霊も知っているかも知れない。
海へ一緒に行けば収納した時に何かわかったのか?
「では直接本人に聞いてみましょう!」
いや、言葉通じるかわからないからね。
*
訓練場近くにある檻水槽の作られた部屋へ来る。
途中、事情を話して訓練中の騎士を王女の護衛に借りた。
水の中で話しても声が聞こえないと思うので頭ひとつ分くらい出せそうな位置まで水を入れて、念の為に海で取れた塩を混ぜて海水のようにする。
「檻は要らないのではないでしょうか?」
「何があるかわかりませんので」
未知なるものには警戒し過ぎくらいがちょうど良いとギルドでも言われたしな。
「それでは出します」
彼女を出すと水の中なのに深呼吸のような動作をしている。
水中で呼吸が出来る?
それとも水を吸ったのか?
「おお…」
少女が顔を上げてこちらを見ると、若い騎士がなんだか感動したような声をあげる。
精霊たちと同じくらい顔が整っているからかね?
「ここまで人にそっくりな魔物を見るのは初めてだ」
「ああ…」
確かにな。
しかし、海の中に住むのに人と近い形や肌を持つものなのか?
泳ぐのに邪魔に思えるが。
「これがセイレーンなのかも知れないな」
「セイレーン?」
「人間の女のフリをして船乗りを誘い食べる魔物だ」
「そんな魔物が海に入るのか」
「いや、船乗りの間でそんな話があるってだけで実際居るわけじゃないらしい。ただ、これを目撃した船乗りが思い付いたことなのかなってね」
騎士たちがそんな話をしている。
見た目が少女だからか警戒心が緩むのだろうな。
「話かけたらどうだ?」
いつの間にか陛下と付き人まで来ている。
「わかりました」
何かあったら即収納をするつもりで近づいていく。
辺りを面白そうに見回していた少女は俺が近づくのに気が付いたのかこちらを見て手を振ってきた。
その動作だけ見ると普通に会話出来そうな気がするな。
でも、何を話せば良いんだ?
わからない。
「お腹空きました、お兄さんは何か食べるもの持ってないですか?」
普通に話しかけられたのだが…。
「えっと、魚で良いかな」
「はい!」
お腹いっぱいになって満足した彼女と話したら、魔物じゃなくて海の精霊だとわかった。
そもそも港街で出した時は上半身が人の魚なんて居なかったのに何故と思っていたんだ。
魚になれるんですよと言った彼女が上半身を魚にしたり、人の姿にもなれますよと下半身も人と同じくなったり。
魚に姿を変えて泳いでいたところを収納されて、なんだか面白そうだったのでそのままで居たのだとか。
「海に帰してきます」
「そうしてくれ」
精霊って実はその辺りを普通に歩いてるのではって気がしてきた。
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