大切なはずだった君と

りさ

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1.離婚の申し出

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「この書類にサインしてほしいの」

と妻が差し出した離婚届を見て、私は固まった。


ーーーーー


私セオドア・クラインは狼族の獣人で騎士団長、妻は運命の番でもある人族のシンシアだ。人族には感じられないらしいが、出会った瞬間に感じたこの上なく好ましい匂いと愛らしい外見にあっという間に恋に落ちた。アプローチを重ねてプロポーズを受けてもらえた時には天にも昇る気持ちだった。

結婚していざ初夜となり、年甲斐もなく緊張した。シンシアは人族の中でも小柄で、対して自分は結構体格がいい。壊してしまわないか心配になった。痛みに涙するシンシアを見て、胸が痛んだ。

獣人は番うと蜜月に入るというが、体格差と痛みに涙するシンシアを思うと無理をさせたくなかった。

ただ、男としての熱はもて余していた。シンシアにはさせられないアレコレを、よその女性に対して好き勝手に発散させたのは一度や二度ではない。シンシアには気づかれないように行動していたつもりだったが、気づいていたようだ。

ーーーーー

「セオドアは女性の香水を毎日のようにまとって帰ってきたわ。そのまま私を抱きしめて愛を告げてきた。最初は仕事かなにかで偶然ついただけかと思ったの。だけど、半年よ。結婚して半年もの間、続いているわ。聞いてもはぐらかして説明もない。そして離婚を切り出した一番の理由は、クリスティーナさんよ。今日私を訪ねていらっしゃったのだけど、あなたから香った匂いが彼女からしたわ。あなたの子をお腹に宿していると。」

「っ!?こども!?」

私は驚愕した。クリスティーナは他部署の同期で、欲の発散相手の一人だ。だが、避妊はしっかりしていたはずで・・。


シンシアは涙を流しながら語り続ける。

「彼女はいかにあなたが情熱的に自分を求めてきたのか、教えてくれたわ。自分こそがあなたの番に違いないと。あなたが私に対し、そういった面で満足できないとこぼしていたことも、持て余しているということも。運命の番だと思ったのは勘違いだったのかもしれないと言っていたことも。」

「っ、それは・・!」

私は、言い返せない。確かに言った記憶があったから。ただそれは、雰囲気を壊さないためのリップサービスのようなもので・・。

「幸い、私たちの間にまだこどもはいないわ。間違えてしまった番といるより、セオドアはクリスティーナさんと一緒になった方がいいと思うの。私も、あなたとこれ以上一緒にいるのはつらいわ。」

「シア、私は、」

「サインを。慰謝料などもいらないわ。もう関わりたくないの。」

彼女は真っ直ぐ俺を見てくる。別れを切り出され、胸が張り裂けそうだ。
離れたくなんてない。
君こそが、俺の運命なんだ。
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