一般人の関ヶ原〜すぐに知ったかぶりする俺が西軍を勝たせようと決心した結果どうなるかというお話〜

とんぼ

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今生の別れ?

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「バカモンどもが!」
三成さんは怒りを隠そうともしない。

俺、左近さん、小次郎の順に並んで正座をさせられている。

三成さんは立ち上がり俺達3人の前を行きつ戻りつしてもう10分くらいは経つ。

「左近。私は何と言った?」

「はい…暗殺はするなと…」

「左近はそれでどうした?」

「はい。暗殺をしようとしました」

「その結果は?」

「失敗しました」

先ほどから何度も同じ説教の繰り返しだ。

仕方ない。俺達は三成さんの言いつけに逆らったのだ。

ただ一つだけ納得いかない。

三成さんの脇に控える大谷さんが一言も喋らないのだ。
我関せずと言った具合に天井を睨んでいる。

…元はと言えばあんたがやろうって言ったんだろ。

「良いか…二度と勝手なことはするな」
三成さんの説教がやっと終わった。

「まぁ、治部よ。こやつらも治部のためを思ってやったのだ大目に見てやれ」
大谷さんが最後の最後で口を開く。

…この白頭巾おじさんめ。


「そういえば、太助に前田殿から文が届いているぞ」
三成さんが懐から手紙を取り出す。

…忘れてた。
前田さん家のお母さん助けなきゃ。

手紙の内容は内府の東下に合わせて娘を芳春院の元に向かわせる。それに合わせて江戸に入り芳春院を奪還せよというものだった。
手紙には娘の旅程が細かく書いてあった。

俺はその手紙を三成さんに見せる。

「ほう。前田殿は本気のようだ。確かにこれは良い機会ではあるな」
三成さんは手紙を大谷さんに渡す。

「娘御をな。確かにこれは本気だ。しかも怪しまれず江戸に入れる」
大谷さんは左近さんに手紙を回す。

「うむ。この旅程ならすぐ出れば追分あたりで合流できるな」
左近さんは一読すると嬉しそうに笑う。

…仕方ない。…やるか!


明日の朝早くに出発することを決めて今日は部屋で休む。

小次郎は俺の部屋に、紫乃さんはすずの家にそれぞれ泊まる。

すずは嫌な顔をしていたが俺が頼むと渋々了承した。

「ちょっといい?」

小次郎のイビキで眠れずにいると障子の外から声をかけられる。

…琴子?

障子を開けるとそこには浴衣姿の琴子が立っていた。薄い布が月灯りに透けてとても綺麗だった。

「おう…どうした?」
「うん。ちょっとね」

気まずい沈黙が訪れる。

小次郎のイビキが響く。

「とりあえず、外出るか…」
俺が言うと琴子は頷く。

庭は暑くも寒くもない。
琴子は置いてある岩の上に座る。

「満月だね」

琴子が月を見上げて微笑む。

「だな…」

「次の満月にはまた会える?」

「どうだろうな?うまくいけば会えるんじゃないか?」

「死ぬかもしれない?」

「そうだなぁ。今日も危ないところだったからな」

「…やだ…」

「あん?」

「死なないで…」

「どうした?ことこっ…!?」

俺は言葉に詰まる。

琴子が俺の懐に飛び込んで来たのだ。

俺は琴子の頭に手を置く。

「やだ。あんたに死なれたら私この時代でひとりぼっちになる…」
琴子の肩が震えている。

「何言ってるんだよ。ひかるさんだっているし、新吉君だって…」

「違うよ…私はあんたが…」
琴子は俺の言葉を遮ってから俺を見あげるように見つめてくる。

月灯りが琴子の顔を照らす。
 
…可愛い…

「キス…してもいいよ…」
琴子が顎を突き出し目を閉じる。

「…いいのか?」

「うるさい。いちいち確認とるな…」
琴子は目を閉じたまま少し怒る。

俺はゆっくりと琴子の唇に自分の唇を近づけていく。

琴子の吐息を感じる。

唇と唇が触れる。


『ドタン』
「ぐわぁー!いてぇー!」

大きな音とともに小次郎の叫び声が聞こえる。

音のした方を見ると小次郎が空いた障子から部屋を転がり出て縁側から転げ落ちていた。

…どんな寝相だよ

「ぷふっ…ふふふふ」
突然琴子が笑い出す。

「あは。あはははは」
俺もつられて笑う。

「なんかいつもこんなだね!」
琴子はそう言って笑いながら歩き去っていった。


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