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会社から帰宅する足取りが軽い。
家で待っていてくれる人がいるというのは、こんなにも気分が変わるものなんだと驚いた。
今朝は健太郎くんが眠そうで、あまり話が出来なかった。
急に知らない環境に来たんだから無理もないかな?
お昼寝できてたらいいんだけど。
連絡先も交換済みで、今夜はハンバーグだとメッセージが届いている。どんな料理が出てくるか楽しみ。
多少の歪さは可愛いし、たとえ焦げていても頑張ってくれたんだと思うから、何が出てきても驚くつもりはなかった。
「……これ、手作りなの?」
帰宅して炬燵でぬくぬくとしながら待っていたら、どこのレストランかという見た目の煮込みハンバーグが出てきた。
付け合わせの野菜までもがバランスが良すぎる。
使い慣れた食器のはずなのに、乗せられたものだけが「初めまして」と言ってるみたい。
「レシピを検索して作ってみた」
「天才かよ」
ヒモ男なのに、料理が私より上手って……。
「味は自信がないから。春花ちゃんの口に合うといいんだけど」
「では、いただきます!」
お箸を入れると、肉汁が溢れてきた。
これは食べなくても分かる。大正解のやつ!
「……ん~、おいしい~!」
頬がとろけるってこういうことだよ、と教えられているみたい。これは家庭料理のレベルを超えている。
「良かった」
「健太郎くんも早く食べて!」
本人は何でもないような顔をして黙々と食べている。
……もしかして、前の飼い主は料理上手だったのかな?
これは私も練習が必要そう。
でも、健太郎くんよりうまく作れるのかな?
「私はあんまり料理が上手じゃないから。作る時は期待しないでね」
予防線を張っておく。
もうちょっとダメなヒモだと嬉しいんだけどな。
甘やかし計画が遠のいてしまうのは、ちょっと不満である。
食事を終えると、昨日の約束どおり、共同生活のルールを話し合うことにした。
マーカーペンを持ち、大きめの白い紙に書き出していく。
「うーん」
洗濯は下着があるので各自でやる、人を招き入れる時は相談してから……などいくつかの案が出た。
「他に健太郎くんは何か希望はある?」
基本的に私が決めたことにうなずいてばかりなので、ここではっきりと言っておいて欲しかった。
「それじゃあ……」
「うん。何でも言って!」
言いづらそうに健太郎くんは続けた。
「俺も男なんだって、そこは覚えていてほしいかな」
「……ん?」
首を傾げる。
意図が伝わっていないことを察してか、健太郎くんは苦笑いしている。
「春花ちゃんの生活に溶け込めるのはいいけど、あまりに無防備だと俺が目のやり場に困るというか……」
「ふむ。それはお風呂上がりの服装とか、干してある下着を見られないようにするってこと?」
「……まあ、そんな感じで」
そこは男女関係なく、共同生活なら注意が必要かもね。
「分かった」と頷く。
健太郎くんは疑うような目で見てくるので、気をつけよう。
半年間どうなるか分からないけど、今は楽しみが大きくて、健太郎くんのことをもっと知りたかった。
家で待っていてくれる人がいるというのは、こんなにも気分が変わるものなんだと驚いた。
今朝は健太郎くんが眠そうで、あまり話が出来なかった。
急に知らない環境に来たんだから無理もないかな?
お昼寝できてたらいいんだけど。
連絡先も交換済みで、今夜はハンバーグだとメッセージが届いている。どんな料理が出てくるか楽しみ。
多少の歪さは可愛いし、たとえ焦げていても頑張ってくれたんだと思うから、何が出てきても驚くつもりはなかった。
「……これ、手作りなの?」
帰宅して炬燵でぬくぬくとしながら待っていたら、どこのレストランかという見た目の煮込みハンバーグが出てきた。
付け合わせの野菜までもがバランスが良すぎる。
使い慣れた食器のはずなのに、乗せられたものだけが「初めまして」と言ってるみたい。
「レシピを検索して作ってみた」
「天才かよ」
ヒモ男なのに、料理が私より上手って……。
「味は自信がないから。春花ちゃんの口に合うといいんだけど」
「では、いただきます!」
お箸を入れると、肉汁が溢れてきた。
これは食べなくても分かる。大正解のやつ!
「……ん~、おいしい~!」
頬がとろけるってこういうことだよ、と教えられているみたい。これは家庭料理のレベルを超えている。
「良かった」
「健太郎くんも早く食べて!」
本人は何でもないような顔をして黙々と食べている。
……もしかして、前の飼い主は料理上手だったのかな?
これは私も練習が必要そう。
でも、健太郎くんよりうまく作れるのかな?
「私はあんまり料理が上手じゃないから。作る時は期待しないでね」
予防線を張っておく。
もうちょっとダメなヒモだと嬉しいんだけどな。
甘やかし計画が遠のいてしまうのは、ちょっと不満である。
食事を終えると、昨日の約束どおり、共同生活のルールを話し合うことにした。
マーカーペンを持ち、大きめの白い紙に書き出していく。
「うーん」
洗濯は下着があるので各自でやる、人を招き入れる時は相談してから……などいくつかの案が出た。
「他に健太郎くんは何か希望はある?」
基本的に私が決めたことにうなずいてばかりなので、ここではっきりと言っておいて欲しかった。
「それじゃあ……」
「うん。何でも言って!」
言いづらそうに健太郎くんは続けた。
「俺も男なんだって、そこは覚えていてほしいかな」
「……ん?」
首を傾げる。
意図が伝わっていないことを察してか、健太郎くんは苦笑いしている。
「春花ちゃんの生活に溶け込めるのはいいけど、あまりに無防備だと俺が目のやり場に困るというか……」
「ふむ。それはお風呂上がりの服装とか、干してある下着を見られないようにするってこと?」
「……まあ、そんな感じで」
そこは男女関係なく、共同生活なら注意が必要かもね。
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