この罰ゲーム、ご褒美です

音央とお

文字の大きさ
6 / 10

しおりを挟む
弟たちとは真逆の綺麗めファッションが宝人くんの好みらしい。
中性的な顔立ちにとても似合っていて、これは好きだ、大好きだ!

「えっと……山田さん?」

ぽーっと見惚れていたら、宝人くんが困ったように眉を下げて笑っている。
おっと、お客さまを放置なんていけない。

「あがって。こっちがリビングだよ」

案内したのは何の変哲もないリビング。大きなソファーとテーブルがあり、キッチンと繋がっている。
入った瞬間に足を止めた宝人くんは、壁を指差した。

「あの……あれは……?」
「あれはお父さんの教え子なんだ~」

そこには引き伸ばした写真が飾られている。

「見間違いじゃなければ、あの人ってボクシングの有名な……」
「そう! うちの両親はボクシングジムを経営しているの。弟たちもみんなやってるんだよー」
「……」

宝人くんは目を丸くしている。
そんなに驚くことかな?
まあ、特殊な職業かもしれない。

「山田さんは、やらないよね?」
「やらないよ。肉体的に痛いことは嫌いだもん」
「良かった……」

安心したように息を吐いている。
女の子だからって心配してくれてるのかな?

宝人くんって優しいんだな。

「約束どおりお昼ご飯を用意したんだ。お口に合うか分からないけど」

「姉さんの食事は美味いから、残すやつなんていない」とニ歌が話に割り込んでくる。

「もう! それは食べ慣れてるからそう思うだけだよ! 美味しくなかったら残していいから……」
「いえ、完食します、何があっても」

きっぱりと言い切るなんて、食べ物を大事にするいい人だ。
ますます惚れてまうやろ!

「「いただきます」」

用意したのは煮込みハンバーグをメインに5品のおかずと、デザートはアップルパイを焼いた。作りすぎた気もするけど、男子が4人もいるんだから心配ないはず。

順調に料理が減っていく中、弟たちはマシンガンのように質問攻めをしていた。

「姉さんのどこが好きなんですか?」
「宝人さんのお家ってどの辺?」
「二人はもうデートしたの?」
「SNSとかやってる?」
「よかったら連絡先交換しません?」

思いついたことから片っ端に聞いているみたい。
それに宝人くんは言葉を選びながら答えていく。
ちゃんと一つ一つ返していて偉いと思う。

「クリスマスはどうするの?」と三矢が口にして、私は息を呑んだ。

宝人くんは「クリスマス……」と呟き、ちらりとこちらを見た。
顔色を窺うようなその視線にゾクゾクする。

「……やっぱり、クリスマスは家族で過ごしたいよね?  俺はそれを優先して欲しいかな」

宝人くんは感情を隠すように曖昧に笑った。

この回答には弟たちが感動したようで、「今年はご馳走なしかと思った」「やっぱり姉ちゃんがいないと」などと言い出す。
そして、三矢が名案を思いついたように言った。

「じゃあ、宝人さんもうちのクリパにくればいいじゃん」

「え?」と宝人くんの頬が引くついた。

「いや、そんな迷惑なことは……」
「全然迷惑じゃないってー。なあ、ねーちゃん?」
「うん、みんな一緒って楽しそう」

その日に振られるみたいだけどね……。
それが最後の思い出になるのかな。

「父さんのジムの人たちも来るし、家族水入らずじゃないから気軽に来てください」と四緒が付け加えると、宝人くんは「はい……」と答えていた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった

星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎ 倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。 栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。 「責任、取って?」 噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。 手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。 けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。 看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。 それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

蛇の噛み痕

ラティ
恋愛
ホストへ行かないかと、誘われた佳代は、しぶしぶながらもついていくことに。そこであった黒金ショウは、美形な男性だった。 会ううちに、どんどん仲良くなっていく。けれど、なんだか、黒金ショウの様子がおかしい……? ホスト×女子大学生の、お話。 他サイトにも掲載中。

本命は君♡

ラティ
恋愛
主人公の琴葉。幼なじみの駿太がサークルに入っていることを知り、自分も入ることにする。そこで出会ったチャラい先輩の雅空先輩と関わるうちに、なんだか執着されて……

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

甘い束縛

はるきりょう
恋愛
今日こそは言う。そう心に決め、伊達優菜は拳を握りしめた。私には時間がないのだと。もう、気づけば、歳は27を数えるほどになっていた。人並みに結婚し、子どもを産みたい。それを思えば、「若い」なんて言葉はもうすぐ使えなくなる。このあたりが潮時だった。 ※小説家なろうサイト様にも載せています。

遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜

小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。 でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。 就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。 そこには玲央がいる。 それなのに、私は玲央に選ばれない…… そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。 瀬川真冬 25歳 一ノ瀬玲央 25歳 ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。 表紙は簡単表紙メーカーにて作成。 アルファポリス公開日 2024/10/21 作品の無断転載はご遠慮ください。

処理中です...