兎の檻は誰が壊したか

音央とお

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第一章

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とある日曜日。
大学の友達である絵里ちゃんに誘われて、小学生向けの読み聞かせのボランティアに参加することになった。

「……でしたとさ。めでたし、めでたし」

集まってくれた子たちに、勇者がお姫様を助けるために戦う絵本を選んだ。
読み方を工夫したことで、引き込まれるように夢中になってくれるのが楽しかった。

「モカちゃん、折り紙しよう!」
「お絵描きしようよ!」
「トランプもあるよ」

遊びの時間もあって、女の子たちが「モカちゃん」と気さくに呼んでくれていろんな遊びに付き合った。
天気がいいので外に出て鬼ごっこやかくれんぼで体も動かした。

「みんな、ちゃんと水分補給するんだよ!」
「「はーい」」

水筒に口をつけていると、絵里ちゃんが「お疲れ」とやって来た。
男の子たちと缶蹴りをしていたらしい。それもやりたかったな。

「こんなに全力で遊んだのは久しぶりだよ」
「ねー!」

今日は声が枯れそうになるほど笑った。
夢中で遊ぶと童心に帰れて、子どもたちの笑顔に癒やされた。

「モカちゃんは子どもに好かれやすいんだね」
「そうなのかな」
「めちゃくちゃ囲まれてたじゃん。そういう仕事が向いてるのかも」

子どもに関わる仕事なんて健全なイメージだ。
私なんかが関わっていいのかなって思っちゃう。
でも、楽しかったのは間違いなくて、こういうボランティアにもっと参加してみたいな。

「今日は誘ってくれてありがとうね」と絵里ちゃんにお礼を言う。

「いい気分転換になるでしょう?」
「うん、久しぶりに充実した休日って感じ!」
「もっと遊ぼうよ。今度、うちのサークルのバーベキューとかあるからおいで~」
「……うん」

返事に迷ってしまった。
とっても楽しそうだと思う。
でも、普通の昼間を過ごすほど不安が強くなる。
まるであの人の影が濃くなっていく気がして……。

私にあの絵本のようなハッピーエンドはあるんだろうか。
そんなことがふと過って、子どもたちの声に掻き消された。
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