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第45話 まさかの宝くじ当選! やはり『レアドロップ倍率+500%』は凄かった!
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スポーツくじtotoを購入した結果。見事、当選した。
当選を確認した俺は、今、ホテルの一室で一人、ベートーヴェン歌詞『歓喜の歌』を歌っている。
晴れたる青空だたよう雲よ。
小鳥は歌える林に森に。
心は朗らか歓びに満ちて、見躱す我らの明るき笑顔。
カーテンを開けると太陽の光が部屋に射してくる。
どうしよう。世界が眩しい。
輝いて見える。
やはり『レアドロップ倍率+500%』の効果は本物だった。
神に……。神に歓喜の歌を届けなければ!
そんな思いで『歓喜の歌』を歌っていると、壁からドンと音がする。
通称:壁ドン。
『うるせえぞ。テメェ!』といった気持ちを、壁を一発殴る事で体現する肉体言語の一つである。
「ふう……」
しかし、今の俺には響かない。
壁ドンですら、小鳥の囀りに聞こえる。
心の底から湧き上がってくるこの気持ち。どうしてくれよう。
まだ当選金を受け取っていないにも関わらずニヤニヤしてしまう。
とはいえ、まあ、まさか一等が百五十口出るとは思わなかったけどね。
キャリーオーバーが三十億円で、たった六枚しか買わなかったから手に入る当選金は一枚当たり約二千万円。それでも、六枚当たったから一億二千万円だ。
ネットで購入したから、当選金は銀行口座に直接入金される。
態々、店舗に赴く必要性もない。
とりあえず、今日は祝勝会だ。
いてもたってもいられない。
祝勝会といえば、アレだ。
ビールだ。ビールかけだ!
でも、勿体無いから止めておこう。
酒をたくさん買って朝まで呑もう。
出前を取り、ネットフリックスで気になるアニメを見て、一日中、ゴロゴロして過ごそう。
そうと決まれば、行動あるのみだ!
高揚した気分のまま、ホテルの部屋を飛び出した俺は、早速、お酒を買う為、近くのリカーショップに向かった。
スマートフォンのマップ機能にナビゲートされるまま、リカーショップに向かっていると、どこからともなくイカ焼きの香ばしい匂いが漂ってくる。
イカ焼きの匂いに釣られ、ナビゲートから外れたコースを辿って行くと、屋台が立ち並んでいる商店街に差し掛かった。
「あれ? もしかして祭り?」
どうやらお祭りが開催されている様だ。
それならば丁度いい。
今の時刻は昼時。
つまり、祝勝会の前哨戦をするのにピッタリな時刻だ。
俺は近くのコンビニでお金を下ろすと、それを持って祭りの行われている商店街に足を踏み入れる。
「さて、何から食べようか……」
一杯四百円のお祭り価格ビールを片手に屋台を回ると、まず先にどんな屋台グルメがあるのか吟味していく。
案内板によると、近くにたこ焼きを売る屋台がある様だ。
お祭りグルメといえば、たこ焼きは欠かせない。
屋台の前で足を止めると、たこ焼き一舟を購入する事に決めた。
「すいません。たこ焼き一舟貰えますか?」
「はい! たこ焼き一舟ね。まいど!」
一舟七百円の対価を払い、お祭り価格たこ焼きをゲットした俺は、その後、焼きそば。イカ焼き。フランクフルトをゲットしていき、休憩スペースでそれらを広げると、ビール片手に食べ始める。
うん。うまい。
全てお祭り価格だったし、屋台を回っている間に少し冷めてしまったが、これもお祭りの醍醐味だ。
「久しぶりに食べる屋台グルメもいいもんだな」
個人的にたこ焼きは銀だこの方が好みだけど、お祭りの場合は話が別だ。
ソースが染み込んだ屋台のたこ焼き。最高である。
「さーて、腹が膨れた所で、そろそろやりますか……」
何をやるか。
そんな事は決まっている。
祭りに来てやる事といえばただ一つ。
祭りや縁日でおなじみのゲームやおもちゃなどの景品が並ぶくじ引きである。
一回三百円で当たる景品は、熱海旅行券に人気ゲーム機、ゲームソフトなど。
巷では、くじを引いても当たらないと言われているこのお祭りくじも『レアドロップ倍率+500%』があれば、問題ない筈だ。
「すいませーん。くじを十枚下さい」
「はい。三千円ね。ここからくじを十枚引いて」
三千円と引き換えにお祭りくじを十枚引く権利を購入した俺。
『レアドロップ倍率+500%』の効果は今も継続中だ。
正直、自信しかない。
くじを引く為、箱の中に手を入れると、子供達が寄ってくる。
皆、興味津々のようだ。
「おじちゃん。あれ当ててー」
「うん。おじちゃんじゃなくて、俺はお兄さんだよー。でも頑張って当てて見るね」
途中、全然知らない子供が声をかけてくるも、当たり障りのない話でスルー。
巡回中の警察官も、チラ見でこちらを見ている。
俺が不審者にでも見えたのだろうか?
十枚くじを引き終えた俺はくじを捲るとガッツポーズする。
「よっしゃ! 特等の熱海旅行券ゲットだぜ!」
一等とわかるよう周りに周知すると、どよめきと共に、くじを売っていた店員が「はへっ?」っと、素っ頓狂な声を上げた。
くじを十枚全て捲ると、特等一枚。一等二枚。二等四枚。三等二枚。ハズレ一枚。
その全てを祭り客に周知すると、どよめきは歓声に変わっていく。
「す、すっげー! 特等だ! 特等が出たぞ! 一等から三等まで、すげー!」
くじを店員に手渡すと、店員は訳がわからないという表情を浮かべる。
「そ、そんな馬鹿なっ……。当たりなんて出る筈が……」
しかし、巡回中の警察官が近くにいる為か、それ以上何も言わずに景品を袋に詰め始める。
最後には、ひくついた表情を浮かべながら、景品を渡してきた。
「……お、おめでとうございます。こちら、景品となります」
景品を確認すると、特等の熱海旅行券と、一等のゲーム機が入っていない。
「すいません。特等と一等の景品が入っていないんですが……」
「あっ、す、すいません。こちらが特等と一等の景品になります……」
「はい。ありがとうございます」
景品を受け取ると、店員が小声で呟いた。
「一体どうなっていやがる……。クソっ、さては間違えて当たり札入れやがったな……」
どうやら、このくじに当たりは入っていなかったらしい。
折角の祭りなのに、悪い事を考える人がいるものだ。それにしても、流石は『レアドロップ倍率+500%』。
入っていない筈の当たりくじまで引き当てる事ができるだなんて凄いな。
くじに当たりが本当に入っていた場合、これも荒らし行為に当たるんだろうけど、この店員の話を聞くに、そもそも、このくじに当たりは入っていないようだ。
特等から三等まで当てちゃって、もう景品がないだろうし、これ以上、被害者が出る前になんとかできて本当に良かった。
俺も景品が手に入ってホクホクだ。
「ち、ちょっと待ってくれよ。は、箱だけでも置いていってくれ」
店を後にしようとすると、くじ引きの店員さんが、景品の箱だけでいいから置いて行ってくれないかと打診してきた。
もちろん、お断りである。
「すいません。それは無理です」
「そ、そんな事、言わないでくれよー」
いや、だって箱を渡したら景品がある様に見せかけそうだし、渡してそれを目当てに誰かがくじを買い痛い目にあったら夢見がわるいじゃん?
「それじゃあ、俺はこれで」
「ち、ちょっと、箱だけでも置いていってぇぇぇぇ!」
いやいや、くじ引きの店員さん。
そんな事、大きな声で言っちゃ駄目だって。
店員さんの声を聞いて、お祭り実行委員っぽい人がトランシーバーでやり取りしてるよ?
くじ引きの店員さんの声を無視すると、路地裏で景品をアイテムストレージにしまい、酒を買う為、改めて、リカーショップに向かった。
◇◆◇
「ワ、ワインって、こんなに高いんだ……」
スマートフォンのマップ機能に従い、リカーショップに辿り着いた俺は、鍵付きのワインセラーを見て愕然とした表情を浮かべていた。
鍵付きのワインセラーに安置されているワインの値段は安い物は八千円。高い物に至っては数十万円するものまである。
値段でしか、どのワインが美味いのかわからない俺がワインセラーの前にへばり付いていると、店員さんから声がかかった。
「お客様、ワインをお求めですか?」
「え、ええっ、今日は特別な記念日なので美味しいワインを飲みたいなーなんて思いまして。何かお勧めの赤ワインはありませんか?」
「お勧めの赤ワインですか。そうですね~。それでは、こちらのワインなんていかがでしょう?」
店員さんが薦めてきたのは、セール箱に入った一本千五百円のワイン。
えっ?
今、俺、鍵付きのワインセラー見てたよね?
なんでこっちのセール箱に入ったワイン薦めたの?
とりあえず、薦められた赤ワインを手に取るとラベルをマジマジと見つめる。
天使の描かれたラベルには、天使のロッソという名が書かれていた。
それ以外の事はよくわからない。
すると、店員さんがうっとりとした表情を浮かべて話し始める。
「ブラケット種の黒ブドウで造られたこの甘口スパークリングは――」
◇◆◇
「お買い上げ、ありがとうごさいましたぁ~! またのご来店、お待ちしております」
「はっ!?」
気付けば、店員さんが薦めてくるワインを買っていた。
凄いなあの店員さんのセールストーク。
思わず引き込まれてしまった。
まあいい。試飲もできたし、味も美味かった。
安くとも美味しいお酒で今日という記念日を祝えればそれでいいのだ。
千五百円の安旨ワインを教えてくれた店員さんに感謝である。
それに、日本酒やビール、ハイボールも購入した。
ふふふっ、今日はパーティーだな。
ホテルに一人籠って行う億万長者記念パーティー。
今から楽しみだ。
裏路地に入り大量の御酒をアイテムストレージに収納すると、スマートフォンからドミノピザのページにアクセスし、ごはんの上にピザのトッピングをオンした『ピザライスボウル』と『ドミノ・デラックス ピザサンド』そして、サイドメニューの『グリーンサラダ』と『ポテから』を注文する。
これらは、ホテルの入館規則により部屋までの配達ができないみたいなのでフロントロビーで受け取る予定だ。
他にも、近くのコンビニで缶つまやコンビニスイーツを購入すると、一度、カンデオホテルに戻り、部屋に荷物を置くと、風呂に入りながら受け取り指定時刻が来るのを待つ。
風呂から上がり、フロントロビーに向かうと、丁度、ドミノピザの配達員の姿が見えた。
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次は2022年2月11日AM7時更新となります。
当選を確認した俺は、今、ホテルの一室で一人、ベートーヴェン歌詞『歓喜の歌』を歌っている。
晴れたる青空だたよう雲よ。
小鳥は歌える林に森に。
心は朗らか歓びに満ちて、見躱す我らの明るき笑顔。
カーテンを開けると太陽の光が部屋に射してくる。
どうしよう。世界が眩しい。
輝いて見える。
やはり『レアドロップ倍率+500%』の効果は本物だった。
神に……。神に歓喜の歌を届けなければ!
そんな思いで『歓喜の歌』を歌っていると、壁からドンと音がする。
通称:壁ドン。
『うるせえぞ。テメェ!』といった気持ちを、壁を一発殴る事で体現する肉体言語の一つである。
「ふう……」
しかし、今の俺には響かない。
壁ドンですら、小鳥の囀りに聞こえる。
心の底から湧き上がってくるこの気持ち。どうしてくれよう。
まだ当選金を受け取っていないにも関わらずニヤニヤしてしまう。
とはいえ、まあ、まさか一等が百五十口出るとは思わなかったけどね。
キャリーオーバーが三十億円で、たった六枚しか買わなかったから手に入る当選金は一枚当たり約二千万円。それでも、六枚当たったから一億二千万円だ。
ネットで購入したから、当選金は銀行口座に直接入金される。
態々、店舗に赴く必要性もない。
とりあえず、今日は祝勝会だ。
いてもたってもいられない。
祝勝会といえば、アレだ。
ビールだ。ビールかけだ!
でも、勿体無いから止めておこう。
酒をたくさん買って朝まで呑もう。
出前を取り、ネットフリックスで気になるアニメを見て、一日中、ゴロゴロして過ごそう。
そうと決まれば、行動あるのみだ!
高揚した気分のまま、ホテルの部屋を飛び出した俺は、早速、お酒を買う為、近くのリカーショップに向かった。
スマートフォンのマップ機能にナビゲートされるまま、リカーショップに向かっていると、どこからともなくイカ焼きの香ばしい匂いが漂ってくる。
イカ焼きの匂いに釣られ、ナビゲートから外れたコースを辿って行くと、屋台が立ち並んでいる商店街に差し掛かった。
「あれ? もしかして祭り?」
どうやらお祭りが開催されている様だ。
それならば丁度いい。
今の時刻は昼時。
つまり、祝勝会の前哨戦をするのにピッタリな時刻だ。
俺は近くのコンビニでお金を下ろすと、それを持って祭りの行われている商店街に足を踏み入れる。
「さて、何から食べようか……」
一杯四百円のお祭り価格ビールを片手に屋台を回ると、まず先にどんな屋台グルメがあるのか吟味していく。
案内板によると、近くにたこ焼きを売る屋台がある様だ。
お祭りグルメといえば、たこ焼きは欠かせない。
屋台の前で足を止めると、たこ焼き一舟を購入する事に決めた。
「すいません。たこ焼き一舟貰えますか?」
「はい! たこ焼き一舟ね。まいど!」
一舟七百円の対価を払い、お祭り価格たこ焼きをゲットした俺は、その後、焼きそば。イカ焼き。フランクフルトをゲットしていき、休憩スペースでそれらを広げると、ビール片手に食べ始める。
うん。うまい。
全てお祭り価格だったし、屋台を回っている間に少し冷めてしまったが、これもお祭りの醍醐味だ。
「久しぶりに食べる屋台グルメもいいもんだな」
個人的にたこ焼きは銀だこの方が好みだけど、お祭りの場合は話が別だ。
ソースが染み込んだ屋台のたこ焼き。最高である。
「さーて、腹が膨れた所で、そろそろやりますか……」
何をやるか。
そんな事は決まっている。
祭りに来てやる事といえばただ一つ。
祭りや縁日でおなじみのゲームやおもちゃなどの景品が並ぶくじ引きである。
一回三百円で当たる景品は、熱海旅行券に人気ゲーム機、ゲームソフトなど。
巷では、くじを引いても当たらないと言われているこのお祭りくじも『レアドロップ倍率+500%』があれば、問題ない筈だ。
「すいませーん。くじを十枚下さい」
「はい。三千円ね。ここからくじを十枚引いて」
三千円と引き換えにお祭りくじを十枚引く権利を購入した俺。
『レアドロップ倍率+500%』の効果は今も継続中だ。
正直、自信しかない。
くじを引く為、箱の中に手を入れると、子供達が寄ってくる。
皆、興味津々のようだ。
「おじちゃん。あれ当ててー」
「うん。おじちゃんじゃなくて、俺はお兄さんだよー。でも頑張って当てて見るね」
途中、全然知らない子供が声をかけてくるも、当たり障りのない話でスルー。
巡回中の警察官も、チラ見でこちらを見ている。
俺が不審者にでも見えたのだろうか?
十枚くじを引き終えた俺はくじを捲るとガッツポーズする。
「よっしゃ! 特等の熱海旅行券ゲットだぜ!」
一等とわかるよう周りに周知すると、どよめきと共に、くじを売っていた店員が「はへっ?」っと、素っ頓狂な声を上げた。
くじを十枚全て捲ると、特等一枚。一等二枚。二等四枚。三等二枚。ハズレ一枚。
その全てを祭り客に周知すると、どよめきは歓声に変わっていく。
「す、すっげー! 特等だ! 特等が出たぞ! 一等から三等まで、すげー!」
くじを店員に手渡すと、店員は訳がわからないという表情を浮かべる。
「そ、そんな馬鹿なっ……。当たりなんて出る筈が……」
しかし、巡回中の警察官が近くにいる為か、それ以上何も言わずに景品を袋に詰め始める。
最後には、ひくついた表情を浮かべながら、景品を渡してきた。
「……お、おめでとうございます。こちら、景品となります」
景品を確認すると、特等の熱海旅行券と、一等のゲーム機が入っていない。
「すいません。特等と一等の景品が入っていないんですが……」
「あっ、す、すいません。こちらが特等と一等の景品になります……」
「はい。ありがとうございます」
景品を受け取ると、店員が小声で呟いた。
「一体どうなっていやがる……。クソっ、さては間違えて当たり札入れやがったな……」
どうやら、このくじに当たりは入っていなかったらしい。
折角の祭りなのに、悪い事を考える人がいるものだ。それにしても、流石は『レアドロップ倍率+500%』。
入っていない筈の当たりくじまで引き当てる事ができるだなんて凄いな。
くじに当たりが本当に入っていた場合、これも荒らし行為に当たるんだろうけど、この店員の話を聞くに、そもそも、このくじに当たりは入っていないようだ。
特等から三等まで当てちゃって、もう景品がないだろうし、これ以上、被害者が出る前になんとかできて本当に良かった。
俺も景品が手に入ってホクホクだ。
「ち、ちょっと待ってくれよ。は、箱だけでも置いていってくれ」
店を後にしようとすると、くじ引きの店員さんが、景品の箱だけでいいから置いて行ってくれないかと打診してきた。
もちろん、お断りである。
「すいません。それは無理です」
「そ、そんな事、言わないでくれよー」
いや、だって箱を渡したら景品がある様に見せかけそうだし、渡してそれを目当てに誰かがくじを買い痛い目にあったら夢見がわるいじゃん?
「それじゃあ、俺はこれで」
「ち、ちょっと、箱だけでも置いていってぇぇぇぇ!」
いやいや、くじ引きの店員さん。
そんな事、大きな声で言っちゃ駄目だって。
店員さんの声を聞いて、お祭り実行委員っぽい人がトランシーバーでやり取りしてるよ?
くじ引きの店員さんの声を無視すると、路地裏で景品をアイテムストレージにしまい、酒を買う為、改めて、リカーショップに向かった。
◇◆◇
「ワ、ワインって、こんなに高いんだ……」
スマートフォンのマップ機能に従い、リカーショップに辿り着いた俺は、鍵付きのワインセラーを見て愕然とした表情を浮かべていた。
鍵付きのワインセラーに安置されているワインの値段は安い物は八千円。高い物に至っては数十万円するものまである。
値段でしか、どのワインが美味いのかわからない俺がワインセラーの前にへばり付いていると、店員さんから声がかかった。
「お客様、ワインをお求めですか?」
「え、ええっ、今日は特別な記念日なので美味しいワインを飲みたいなーなんて思いまして。何かお勧めの赤ワインはありませんか?」
「お勧めの赤ワインですか。そうですね~。それでは、こちらのワインなんていかがでしょう?」
店員さんが薦めてきたのは、セール箱に入った一本千五百円のワイン。
えっ?
今、俺、鍵付きのワインセラー見てたよね?
なんでこっちのセール箱に入ったワイン薦めたの?
とりあえず、薦められた赤ワインを手に取るとラベルをマジマジと見つめる。
天使の描かれたラベルには、天使のロッソという名が書かれていた。
それ以外の事はよくわからない。
すると、店員さんがうっとりとした表情を浮かべて話し始める。
「ブラケット種の黒ブドウで造られたこの甘口スパークリングは――」
◇◆◇
「お買い上げ、ありがとうごさいましたぁ~! またのご来店、お待ちしております」
「はっ!?」
気付けば、店員さんが薦めてくるワインを買っていた。
凄いなあの店員さんのセールストーク。
思わず引き込まれてしまった。
まあいい。試飲もできたし、味も美味かった。
安くとも美味しいお酒で今日という記念日を祝えればそれでいいのだ。
千五百円の安旨ワインを教えてくれた店員さんに感謝である。
それに、日本酒やビール、ハイボールも購入した。
ふふふっ、今日はパーティーだな。
ホテルに一人籠って行う億万長者記念パーティー。
今から楽しみだ。
裏路地に入り大量の御酒をアイテムストレージに収納すると、スマートフォンからドミノピザのページにアクセスし、ごはんの上にピザのトッピングをオンした『ピザライスボウル』と『ドミノ・デラックス ピザサンド』そして、サイドメニューの『グリーンサラダ』と『ポテから』を注文する。
これらは、ホテルの入館規則により部屋までの配達ができないみたいなのでフロントロビーで受け取る予定だ。
他にも、近くのコンビニで缶つまやコンビニスイーツを購入すると、一度、カンデオホテルに戻り、部屋に荷物を置くと、風呂に入りながら受け取り指定時刻が来るのを待つ。
風呂から上がり、フロントロビーに向かうと、丁度、ドミノピザの配達員の姿が見えた。
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