139 / 411
第139話 嵌められた『ああああ』達③
しおりを挟む
――時間は少し遡る。
ここは冒険者協会。冷蔵庫組に冒険者協会を見張れと命令された冷蔵庫組の傘下、ヘル組の組長ジャピルは冷や汗を流していた。
(おいおいおいおいっ……。あのモブ・フェンリル、まさかあいつ等の借金を肩代わりする気か?)
「おい、誰か、今すぐ収容所に向かい、あいつ等をうちの組に連れてこい!」
あいつ等というのは、親組織である冷蔵庫組と、そんな冷蔵庫組と組んでいる転移組が嵌めて収容所へぶち込んだ『ああああ』達の事である。
『ああああ』達は馬鹿だが上級ダンジョンを攻略する力を持っている事は明白。
だからこそ、多少面倒な手段を用いてでも嵌めて借金奴隷に落そうとしたのだ。
これは『転移組』の副リーダーであるルート、そして、冷蔵庫組の若頭、リフリ・ジレイターの発案でもある。
キャバクラやホストクラブに呼び出し、借金を被せた所までは良かった。
しかし、ここで一つ誤算が生じる。
なんと、キャバクラとホストクラブは『ああああ』達が金を払えないと見るや否や兵士を呼び収容所へぶち込んでしまったのだ。
これには流石に焦った。
予定では、俺達があいつ等の借金を肩代わりし、その場で借金奴隷にするつもりだったからだ。
収容所にぶち込まれてしまった以上、取り調べが終わるまでは手を出す事ができない。
仕方がないので、親組織である冷蔵庫組の若頭に頭を下げ、計画を変更。
取り調べが終わってなお、まだ借金を返せない時は、冷蔵庫組と転移組であいつ等を借金奴隷に落とすとで借金を肩代わりする事を収容所に申し立て今に至る。
そのまま取り調べが終わっていれば問題ないが、取り調べが終わる前に支払いが済まされれば厄介だ。あのモブ・フェンリルが借金を肩代わりしてやるのに対して、俺達はあいつ等を借金奴隷に落とし、自分の手駒として末永く使おうとしている。
少々笑えない事態になりそうだ。
しかし、モブ・フェンリルより先に収容所からあいつ等の身柄を引き取る事ができれば話は別。
あのモブ・フェンリルがあいつ等の事を探している間に首輪を嵌め借金奴隷に落とし金さえ支払ってしまえばこちらのものだ。
隷属の首輪を嵌めた後であれば、何とでもなる。
「おっと……。あの野郎、本当にあいつ等の借金を肩代わりしやがった……。一体、いくら金を持っているんだっ!? くそっ!」
(とはいえ、そろそろ拙いな……。俺もこの場を離れなければ……)
モブ・フェンリルが冒険者協会を出て、収容所に向かった事を確認すると、俺は冷蔵庫組、そして転移組に連絡を入れ、ヘル組の事務所に戻る事にした。
ヘル組の事務所に戻ると、先ほど、収容所に向かい『ああああ』達を連れてくるよう命令した部下が十数台の馬車と共に戻ってきていた。
「ジャピルさんっ! やりましたよ! 俺達が収容所に向かった所、取り調べが終わっていました! 兵士の奴ら、碌に調べもせずこいつ等の身柄を引き渡してくれましたよっ!」
そう言って、馬車を叩く部下。
あの時、行動に移して本当に良かったと、俺は安堵する。
「よくやったっ! それでは、すぐにこいつ等を地下に連れて行き、隷属の首輪を装着するんだ!」
「へ、へいっ! おらっ! 手前ら、さっさと馬車から降りて俺に着いてこい!」
部下がそう命じると、馬車の中から憔悴しきった顔の『ああああ』達が出てくる。
手首には、逃がさないよう拘束具が嵌められていた。
「こ、このぉ! よくも騙してくれたなっ!」
「ふんっ! 騙される方が悪いんだよ! いいからさっさと歩けっ!」
そう言って、『ああああ』達を足蹴にする部下達。
「く、くそぉぉぉぉ! 地獄に落ちろ、クソ野郎ー! って、す、すいませんっ! 嘘ですっ! もう言わないので蹴らないで下さいっ! ごめんなさいってぇー!」
「おい、その位で止めておけ。今はこいつ等に隷属の首輪を付ける方が先だ。お前等は邪魔が入らないように警備にあたれっ! 俺達は地下の大広間でこいつ等に隷属の首輪を嵌める」
「「へいっ! ジャピルさん!」」
「後は頼んだ。行くぞっ!」
「へ、へいっ! おらっ、さっさと歩けっ!」
一時はどうなるかと思ったが、何とかなったか……。
しかし、収容所の兵士達、チョロイな……。
まあ、無理もない。何せ、今の俺達は、国そして冒険者協会と組んでいるのだから……。
ただの暴力団組織であった先日までとは雲泥の信用度。
ここに攫ってきてしまえば、後は隷属の首輪を嵌めてしまえばそれでお終い。
いくら、あのモブ・フェンリルが『ああああ』達を取り戻しに来ても、隷属の首輪を嵌めた後であれば、流石の奴も何もできまい。
何せ、隷属の首輪は通常の方法で解除する事はできない。
それに、万が一、隷属の首輪を付けている者に危害を加えたり、理由もなく勝手に外したりしたら、外した張本人が逆に罰せられる。
借金奴隷は等しく嵌めた者の所有物として扱われるのだから当然だ。
それに隷属の首輪には、嵌めた者の生体情報を記録する機能もある。
万が一、外されたとしても、隷属の首輪の現物がある限り、嵌めた者の奴隷である事は立証可能だ。後はこいつ等の借金を肩代わりしてしまえば、外堀を埋める事もできる。
誰が先に金を払ったとか、そういった事は関係なくなるのだ。
それに、俺達のバックには国と冒険者協会が付いている。
あいつ等はあいつ等で、既に相当の金を新しい世界解放に注ぎ込んでいるからな……。まあ、国が冒険者協会を通じて冒険者を緊急招集した時には焦ったが、まあ何とかなるだろう。
あの冒険者共、弱かったし、使えない事は明らかだ。借金奴隷共が手中に収まった今、残りはリージョン帝国の上級ダンジョン『ドラゴンクレイ』のみ。
後は上級ダンジョン『ドラゴンクレイ』を借金奴隷共に攻略させれば……。
「さて、着いたな。早速、こいつ等に隷属の首輪を付けるぞ。人数分の隷属の首輪は用意してあるんだろうな?」
「へ、へい。こちらに用意してあります」
「ああ、これか……」
俺は隷属の首輪を手に持ち笑みを浮かべる。
多少の苦労はあったが、無事、こいつ等を借金奴隷にする事ができて本当に良かった。
「よーし。お前等、それじゃあ、四列に並べ。お前等の首に、これから隷属の首輪を装着する。抵抗したい奴がいたら抵抗してもいいぞ? 死ぬほど辛い目に遭った後、隷属の首輪を付けるだけだからなぁ!」
隷属の首輪を手に持ちながらそう言ってやると、部下達が笑い声を上げる。
反面、『ああああ』達は絶望を体現したような表情を浮かべた。
「まあ、安心しろよや! お前達の借金は全員で一億コルだ。借金を返し終えたら解放してやるよ! 利息はトイチだからいつになるかわからねぇけどなぁ! 働きアリの様にお前等の一生をかけて俺達の為に働いてくれよ。よし、それじゃあ、隷属の首輪を付けるぞ」
「「へいっ!」」
部下共に命令を下し、項垂れ絶望的な表情を浮かべる『ああああ』達の首に隷属の首輪を付けていく。
「さて、お前で最後だな……」
「あっ、ああっ……」
怯えた表情を浮かべる『ああああ』。
その首に『隷属の首輪』を嵌めた瞬間、背後から爆音が響き、扉が勢いよく飛んできた。
◇◆◇
『ドカーン!』という音共に吹っ飛ぶ扉に、ヘル組の連中。
ゆっくり部屋の中に入ると、全員、俺の方に視線を向けてくる。
辛うじて無事なのは命名神シリーズを身に付けている『ああああ』と部下達だけのようだ。
正直、兵士に逮捕されたと聞いた時は焦った。
この世界がゲーム世界だった頃、兵士に捕まると、所持しているアイテムすべてを没収されてしまうからだ。
しかし、『ああああ』達に視線を向けるも、その様子は見られない。
俺が思うに、兵士達では呪いの装備を外す事ができなかったのだろう。
ゲームだった頃とはだいぶ違う。代わりに、体を完全に拘束されていた。
「まったく、酷い事をしやがる。よりにもよって、隷属の首輪を嵌めるだなんて……」
隷属の首輪は、原則として嵌めた張本人しか外す事ができない。
また、命令に逆らう事は許されず、逆らった場合、気絶するまで首輪が絞まり続ける効果を持った悪辣な首輪だ。
本来、犯罪者や奴隷に付ける代物である。
「あっ? 何だ手前っ! ふざけた格好しやが――」
ガンを飛ばしてきた男の顔が物理的に歪んだ。
有無を言わさず、モブ・フェンリルバズーカを横に凪いだのだから当然だ。
モブ・フェンリルバズーカを横に薙ぎ、俺に向かってきた組員を物理的に動けなくしてやると、他の組員もナイフを持って向かってくる。
「な、舐めんじゃ――ふべっ!??」
「ふ、ふざけんじゃ――ぶふぅっ?」
「も、もう止めっ――げぶっ!!?」
次々と向かってくる組員をモブ・フェンリルバズーカを振り回し対処してやると、その他の組員達も段々と静かになっていく。
「……さて、これでお終いかな? 俺の部下共は無事みたいだし、返して貰おうか」
そう言うと、ヘル組の組員が呟く
「へっ! 隷属の首輪が付けられた以上、外すことなんてできねぇ! 残念だったなっ! お前の――」
あまりに聞くに堪えなかった為、モブ・フェンリルバズーカを横に凪ぐと、口答えをした奴らが物理的に沈黙していく。
「まったく……とんでもない野郎共だな」
隷属の首輪は犯罪者に付ける物である。
少なくとも、こいつ等に付けるような物ではない。
俺はアイテムストレージから課金アイテムの『マスターキー』を取り出すと、しゃがみ込み『ああああ』達の首に付けられた隷属の首輪を外し、代わりに気絶しているヘル組の組員達の首に嵌めていく。
「カ、カケル君……」
その様子を見て『ああああ』達が唖然とした表情を浮かべているが、そんな事はどうでもいい。
最後の一人に隷属の首輪を嵌めると、俺は笑みを浮かべ、『ああああ』達に声をかける。
「よし。お前等は先に宿に戻っていろよ。後の事は俺が片付けておいてやるからさっ! 今日一日休んだ後は上級ダンジョンを攻略しに行くぞ」
「「ええっ!?」」
俺がそう言うと、『ああああ』達が怯えた表情を浮かべた。
コロコロと顔を変えて忙しい奴らだ。
「……お前等なぁ、悔しくないのか? 転移組や冷蔵庫組に嵌められて豚箱に送られ、揚句の果てに借金奴隷にさせられる所だったんだぞ?」
転移組と冷蔵庫組の連中は、『ああああ』達を借金奴隷にして上級ダンジョン最後の一つを攻略させるつもりだった。
国・冒険者協会と連携して攻略する予定だったダンジョンを俺達が攻略すればどうなるか……。あいつ等の面目は丸潰れだ。
---------------------------------------------------------------
2022年8月29日AM7時更新となります。
ここは冒険者協会。冷蔵庫組に冒険者協会を見張れと命令された冷蔵庫組の傘下、ヘル組の組長ジャピルは冷や汗を流していた。
(おいおいおいおいっ……。あのモブ・フェンリル、まさかあいつ等の借金を肩代わりする気か?)
「おい、誰か、今すぐ収容所に向かい、あいつ等をうちの組に連れてこい!」
あいつ等というのは、親組織である冷蔵庫組と、そんな冷蔵庫組と組んでいる転移組が嵌めて収容所へぶち込んだ『ああああ』達の事である。
『ああああ』達は馬鹿だが上級ダンジョンを攻略する力を持っている事は明白。
だからこそ、多少面倒な手段を用いてでも嵌めて借金奴隷に落そうとしたのだ。
これは『転移組』の副リーダーであるルート、そして、冷蔵庫組の若頭、リフリ・ジレイターの発案でもある。
キャバクラやホストクラブに呼び出し、借金を被せた所までは良かった。
しかし、ここで一つ誤算が生じる。
なんと、キャバクラとホストクラブは『ああああ』達が金を払えないと見るや否や兵士を呼び収容所へぶち込んでしまったのだ。
これには流石に焦った。
予定では、俺達があいつ等の借金を肩代わりし、その場で借金奴隷にするつもりだったからだ。
収容所にぶち込まれてしまった以上、取り調べが終わるまでは手を出す事ができない。
仕方がないので、親組織である冷蔵庫組の若頭に頭を下げ、計画を変更。
取り調べが終わってなお、まだ借金を返せない時は、冷蔵庫組と転移組であいつ等を借金奴隷に落とすとで借金を肩代わりする事を収容所に申し立て今に至る。
そのまま取り調べが終わっていれば問題ないが、取り調べが終わる前に支払いが済まされれば厄介だ。あのモブ・フェンリルが借金を肩代わりしてやるのに対して、俺達はあいつ等を借金奴隷に落とし、自分の手駒として末永く使おうとしている。
少々笑えない事態になりそうだ。
しかし、モブ・フェンリルより先に収容所からあいつ等の身柄を引き取る事ができれば話は別。
あのモブ・フェンリルがあいつ等の事を探している間に首輪を嵌め借金奴隷に落とし金さえ支払ってしまえばこちらのものだ。
隷属の首輪を嵌めた後であれば、何とでもなる。
「おっと……。あの野郎、本当にあいつ等の借金を肩代わりしやがった……。一体、いくら金を持っているんだっ!? くそっ!」
(とはいえ、そろそろ拙いな……。俺もこの場を離れなければ……)
モブ・フェンリルが冒険者協会を出て、収容所に向かった事を確認すると、俺は冷蔵庫組、そして転移組に連絡を入れ、ヘル組の事務所に戻る事にした。
ヘル組の事務所に戻ると、先ほど、収容所に向かい『ああああ』達を連れてくるよう命令した部下が十数台の馬車と共に戻ってきていた。
「ジャピルさんっ! やりましたよ! 俺達が収容所に向かった所、取り調べが終わっていました! 兵士の奴ら、碌に調べもせずこいつ等の身柄を引き渡してくれましたよっ!」
そう言って、馬車を叩く部下。
あの時、行動に移して本当に良かったと、俺は安堵する。
「よくやったっ! それでは、すぐにこいつ等を地下に連れて行き、隷属の首輪を装着するんだ!」
「へ、へいっ! おらっ! 手前ら、さっさと馬車から降りて俺に着いてこい!」
部下がそう命じると、馬車の中から憔悴しきった顔の『ああああ』達が出てくる。
手首には、逃がさないよう拘束具が嵌められていた。
「こ、このぉ! よくも騙してくれたなっ!」
「ふんっ! 騙される方が悪いんだよ! いいからさっさと歩けっ!」
そう言って、『ああああ』達を足蹴にする部下達。
「く、くそぉぉぉぉ! 地獄に落ちろ、クソ野郎ー! って、す、すいませんっ! 嘘ですっ! もう言わないので蹴らないで下さいっ! ごめんなさいってぇー!」
「おい、その位で止めておけ。今はこいつ等に隷属の首輪を付ける方が先だ。お前等は邪魔が入らないように警備にあたれっ! 俺達は地下の大広間でこいつ等に隷属の首輪を嵌める」
「「へいっ! ジャピルさん!」」
「後は頼んだ。行くぞっ!」
「へ、へいっ! おらっ、さっさと歩けっ!」
一時はどうなるかと思ったが、何とかなったか……。
しかし、収容所の兵士達、チョロイな……。
まあ、無理もない。何せ、今の俺達は、国そして冒険者協会と組んでいるのだから……。
ただの暴力団組織であった先日までとは雲泥の信用度。
ここに攫ってきてしまえば、後は隷属の首輪を嵌めてしまえばそれでお終い。
いくら、あのモブ・フェンリルが『ああああ』達を取り戻しに来ても、隷属の首輪を嵌めた後であれば、流石の奴も何もできまい。
何せ、隷属の首輪は通常の方法で解除する事はできない。
それに、万が一、隷属の首輪を付けている者に危害を加えたり、理由もなく勝手に外したりしたら、外した張本人が逆に罰せられる。
借金奴隷は等しく嵌めた者の所有物として扱われるのだから当然だ。
それに隷属の首輪には、嵌めた者の生体情報を記録する機能もある。
万が一、外されたとしても、隷属の首輪の現物がある限り、嵌めた者の奴隷である事は立証可能だ。後はこいつ等の借金を肩代わりしてしまえば、外堀を埋める事もできる。
誰が先に金を払ったとか、そういった事は関係なくなるのだ。
それに、俺達のバックには国と冒険者協会が付いている。
あいつ等はあいつ等で、既に相当の金を新しい世界解放に注ぎ込んでいるからな……。まあ、国が冒険者協会を通じて冒険者を緊急招集した時には焦ったが、まあ何とかなるだろう。
あの冒険者共、弱かったし、使えない事は明らかだ。借金奴隷共が手中に収まった今、残りはリージョン帝国の上級ダンジョン『ドラゴンクレイ』のみ。
後は上級ダンジョン『ドラゴンクレイ』を借金奴隷共に攻略させれば……。
「さて、着いたな。早速、こいつ等に隷属の首輪を付けるぞ。人数分の隷属の首輪は用意してあるんだろうな?」
「へ、へい。こちらに用意してあります」
「ああ、これか……」
俺は隷属の首輪を手に持ち笑みを浮かべる。
多少の苦労はあったが、無事、こいつ等を借金奴隷にする事ができて本当に良かった。
「よーし。お前等、それじゃあ、四列に並べ。お前等の首に、これから隷属の首輪を装着する。抵抗したい奴がいたら抵抗してもいいぞ? 死ぬほど辛い目に遭った後、隷属の首輪を付けるだけだからなぁ!」
隷属の首輪を手に持ちながらそう言ってやると、部下達が笑い声を上げる。
反面、『ああああ』達は絶望を体現したような表情を浮かべた。
「まあ、安心しろよや! お前達の借金は全員で一億コルだ。借金を返し終えたら解放してやるよ! 利息はトイチだからいつになるかわからねぇけどなぁ! 働きアリの様にお前等の一生をかけて俺達の為に働いてくれよ。よし、それじゃあ、隷属の首輪を付けるぞ」
「「へいっ!」」
部下共に命令を下し、項垂れ絶望的な表情を浮かべる『ああああ』達の首に隷属の首輪を付けていく。
「さて、お前で最後だな……」
「あっ、ああっ……」
怯えた表情を浮かべる『ああああ』。
その首に『隷属の首輪』を嵌めた瞬間、背後から爆音が響き、扉が勢いよく飛んできた。
◇◆◇
『ドカーン!』という音共に吹っ飛ぶ扉に、ヘル組の連中。
ゆっくり部屋の中に入ると、全員、俺の方に視線を向けてくる。
辛うじて無事なのは命名神シリーズを身に付けている『ああああ』と部下達だけのようだ。
正直、兵士に逮捕されたと聞いた時は焦った。
この世界がゲーム世界だった頃、兵士に捕まると、所持しているアイテムすべてを没収されてしまうからだ。
しかし、『ああああ』達に視線を向けるも、その様子は見られない。
俺が思うに、兵士達では呪いの装備を外す事ができなかったのだろう。
ゲームだった頃とはだいぶ違う。代わりに、体を完全に拘束されていた。
「まったく、酷い事をしやがる。よりにもよって、隷属の首輪を嵌めるだなんて……」
隷属の首輪は、原則として嵌めた張本人しか外す事ができない。
また、命令に逆らう事は許されず、逆らった場合、気絶するまで首輪が絞まり続ける効果を持った悪辣な首輪だ。
本来、犯罪者や奴隷に付ける代物である。
「あっ? 何だ手前っ! ふざけた格好しやが――」
ガンを飛ばしてきた男の顔が物理的に歪んだ。
有無を言わさず、モブ・フェンリルバズーカを横に凪いだのだから当然だ。
モブ・フェンリルバズーカを横に薙ぎ、俺に向かってきた組員を物理的に動けなくしてやると、他の組員もナイフを持って向かってくる。
「な、舐めんじゃ――ふべっ!??」
「ふ、ふざけんじゃ――ぶふぅっ?」
「も、もう止めっ――げぶっ!!?」
次々と向かってくる組員をモブ・フェンリルバズーカを振り回し対処してやると、その他の組員達も段々と静かになっていく。
「……さて、これでお終いかな? 俺の部下共は無事みたいだし、返して貰おうか」
そう言うと、ヘル組の組員が呟く
「へっ! 隷属の首輪が付けられた以上、外すことなんてできねぇ! 残念だったなっ! お前の――」
あまりに聞くに堪えなかった為、モブ・フェンリルバズーカを横に凪ぐと、口答えをした奴らが物理的に沈黙していく。
「まったく……とんでもない野郎共だな」
隷属の首輪は犯罪者に付ける物である。
少なくとも、こいつ等に付けるような物ではない。
俺はアイテムストレージから課金アイテムの『マスターキー』を取り出すと、しゃがみ込み『ああああ』達の首に付けられた隷属の首輪を外し、代わりに気絶しているヘル組の組員達の首に嵌めていく。
「カ、カケル君……」
その様子を見て『ああああ』達が唖然とした表情を浮かべているが、そんな事はどうでもいい。
最後の一人に隷属の首輪を嵌めると、俺は笑みを浮かべ、『ああああ』達に声をかける。
「よし。お前等は先に宿に戻っていろよ。後の事は俺が片付けておいてやるからさっ! 今日一日休んだ後は上級ダンジョンを攻略しに行くぞ」
「「ええっ!?」」
俺がそう言うと、『ああああ』達が怯えた表情を浮かべた。
コロコロと顔を変えて忙しい奴らだ。
「……お前等なぁ、悔しくないのか? 転移組や冷蔵庫組に嵌められて豚箱に送られ、揚句の果てに借金奴隷にさせられる所だったんだぞ?」
転移組と冷蔵庫組の連中は、『ああああ』達を借金奴隷にして上級ダンジョン最後の一つを攻略させるつもりだった。
国・冒険者協会と連携して攻略する予定だったダンジョンを俺達が攻略すればどうなるか……。あいつ等の面目は丸潰れだ。
---------------------------------------------------------------
2022年8月29日AM7時更新となります。
60
あなたにおすすめの小説
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】
のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。
そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。
幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、
“とっておき”のチートで人生を再起動。
剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。
そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。
これは、理想を形にするために動き出した少年の、
少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。
【なろう掲載】
俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!
くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作)
異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる