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第278話 その頃、現実世界では……③
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ここは、都内にある公益財団法人アース・ブリッジ協会の本拠地。代表理事、長谷川清照は高橋翔との通話を終えると、ホッと息を吐く。
「何とかなったな……やはり、君を頼って正解だったよ。白石君……」
東京都がそう決めた以上、レアメタル税条例の対象事業者から外れる為には、環境エコ認定マークの取得が必須。
これで、私を含めた宝くじ研究会に訴えられている職員達の訴訟は取り下げられ、うちの得意先との取引も再開される。宝くじ研究会の名称を変えさせ、任意団体から株式会社へ移行し、株式の過半数を譲渡して貰えば、私に逆らう様な真似をする事もなくなるだろう。
受話器を置きながらそう言うと、ソファーに座っていた環境活動団体『環境問題をみんなで考え地球の未来を支える会』の発起人、白石美穂子が薄笑いを浮かべる。
「――当然です。その為に、市民団体の皆様と都庁前でデモを行い、要望書と共に、三万人のネット署名を提出したのですから……」
その裏で民社党都議団の方々も動いて頂いてね……。
公約達成の為に、民社党の協力は必要不可欠。都議会の過半数を占める民社党の協力無くして都政運営はままならない。
当然と言わんばかりの白石の表情を見て、長谷川は苦笑いを浮かべる。
「そうか…… お陰で首の皮一枚繋がった。見返りは必ず用意させて貰うよ」
白石が都知事と議会を動かし成立させたレアメタル税条例。この条例のお陰で、ある種のレアメタル利権ともいうべき構造が構築された。
レアメタル税条例の対象事業者から外れる為には、公益財団法人アース・ブリッジ協会の審査と環境エコ認定マークの取得が必須。
その他にも、審査品質を担保する為、レアメタルについて深い知識を持つアドバイザーの設置や育成が義務付けられた。
アドバイザーになる為には、経験者+能力+東京都が設置した有識者委員会の審査が必要となり、実質的にその判断は、公益財団法人アース・ブリッジ協会とその関連団体が行う。つまり、アドバイザーの選定は我々の専有事項。
アドバイザーの品質担保を理由とした研修の受講や派遣を受け入れなければ、レアメタル税条例の対象となり、多額のレアメタル税を支払わなければならなくなる。
まるで、最初からこの条例案が用意されていたのではないかと思うほどの用意周到さだ。
「いえ、お気にならさずに……次の評議会で私の事を理事に推薦して下さるよう手配して下さるだけで結構ですわ」
そう言って、立ち上がると、白石は薄笑いを浮かべ小さな声で呟く。
「……今はね。どの道、あなたの地位は私が頂く事ですし――」
「――うん? 何か言ったかね?」
白石が何かを呟いた気がした長谷川がそう尋ねると、白石は……
「――いえ、なんでもありませんわ。それでは、私はこれで失礼いたします」
そう告げると、足早に理事長室を後にした。
翌日、公益財団法人アース・ブリッジ協会には、先日、任意団体宝くじ研究会レアメタル事業部から取引を打ち切られた取引先から続々と電話が入って来ていた。
「――はい。その節は大変お騒がせ致しました。ええ、現状、レアメタル税条例の対象となるのは、環境エコ認定マークを取得していないレアメタル事業者に限ります。大丈夫ですよ。まあ、新たに、アドバイザーの設置や育成が義務付けられてしまいましたが、レアメタル税条例の対象とならぬ様、私共の協会が責任を以てアドバイザーを最優先で派遣させて頂きます」
しかし、活動家である彼女に都知事を動かす力があるとは思いもしなかった。
恐ろしい女だ。理事に迎え入れる約束をしてしまったが、念の為、迎え入れる前に彼女の身辺調査をしておいた方が良さそうだ。
無いとは思うが、万が一、反社会的勢力との付き合いがあったり、彼女の運営する非営利法人に不祥事があっては拙い。
そんな人物を迎え入れようとした私の立場が危うくなる所か、公益財団法人の理事が反社会的勢力と繋がりがあるなんて、公益認定取消処分待ったなしの事由だ。
そうでなくとも、彼女が反社会的勢力と繋がりがあったり、理事として不適格だった場合に備え、弱味を握っておく必要もある。
研修名目で、社員と共に海外に赴き、現地の環境活動家と共に過激なデモを行った。補助金が目的外利用されているとの噂もある。
用心に越した事はない。
この業界は、狭いパイの奪い合い。誰もが公益認定を狙っている。同業による補助金、助成金の奪い合いが最たるものだ。同業にリークされ公益認定を取り消された事例もある。
『はははっ、そう言って頂けると心強い。そう言えば、まだお礼を言えておりませんでしたな。レアメタル連合へ加盟させて頂きありがとうございます。中国のレアメタル買い占め問題に対抗する為、EUが組織した原材料連合。宝くじ研究会レアメタル事業部の潤沢な供給網を活かし、これと同じ組織を作ろうとは流石は理事長。資源エネルギー庁を納得させるのはさぞ大変だった事でしょう』
「――へっ?」
レアメタル連合? なんだそれは?
そんなもの作った覚えが……
『――現状重希土類に関しては中国からの供給に頼らざるを得なかったですからな。不足するレアメタルを代替技術で代用するにも限界がある。国立研究開発法人では、希少金属代替材料開発プロジェクトが発足し進められているが、あれはあくまで使用量を減らす事が目的。レアメタルの使用量をゼロにする訳ではない。渡りに船ですよ。さて、些か、話が長くなってしまいましたな。それでは、これで失礼します。今度、飲みにでも行きましょう』
「え、ええ、それでは……」
そう言って、電話を切ると長谷川はキーボードをタップし、レアメタル連合について検索する。
しかし、まったく情報が出てこない。
「――な、なんなんだ?」
何が起こっている。レアメタル連合?
そんな話、聞いてないぞ??
考え事をしていると、理事長室の扉をノックする音が響いた。
「――失礼します。代表理事、御用でしょうか?」
理事長室に入ってきたのは、公益財団法人アース・ブリッジ協会、評議員の一人、稲尾隆評議員。
公益財団法人アース・ブリッジ協会には、現在、五人の理事(理事長を含む)と七人の評議員がいる。公益財団法人アース・ブリッジ協会の業務執行をするのが理事会の役割なら、それを監督するのが評議会の役割。
「ああ、稲尾君。聞きたい事があったんだ。君は、レアメタル連合という組織を知っているか?」
そう尋ねると、稲尾評議員は困惑した表情を浮かべる。
「――っ……存じ上げませんが、そのレアメタル連合という組織がどうかしたのですか?」
「いや……知らないというのであれば、それでいい」
うん? 今、何か知っていそうな反応をした様な気がしたが気のせいか? まあいい。
代表理事である私がほぼ独断で新しい理事を推薦しようとしているのと同様に、公益財団法人アース・ブリッジ協会も一枚岩ではない。
「話は変わるがね。来週の理事会で新しい理事の選任を行おうと思う。私が選任した候補をメールをするが……まあ、いつも通りよろしく頼むよ」
だからこそ、私の意見を少しでも評議会に反映して貰う為、こういったありきたりな手段に出たりもする。
テーブルから厚みのある封筒を取り出し、立ち上がると私は稲尾評議員のポケットにそっと封筒を忍ばせた。
俗に言う賄賂の様なものだ。封筒の中には、現金二十万円が入っている。
公益財団法人の理事は、評議会の決議により選任され、代表理事は、評議会に選任された理事により開催された理事会により選任される。
五人いる理事の内、三人が私の派閥理事。
そこから一人抜けると、これまで通りの運営が困難になる。
新任理事の推薦は評議員特権。そうである以上、私にできる事は金を忍ばせ、退任する理事のポストを買うこと位……。
設立者であっても完全に自分の思い通りになる公益財団法人は創れない。役人や企業との兼ね合いからウマの合わない人間を内部に入れなければならない以上、少しでも思い通りに法人運営する為にはこうする他ない。
なに、今までこのやり方で十年やってきたんだ。問題あるやり方である場合、当の昔に指摘されている。指摘がなかったという事は、この行為が問題ない事柄であると認識されているに他ならない。
定期的に貰える領収証の残らないお小遣いに、評議員達はむしろ喜んでいるとすら感じるね。
まあ、頑なに賄賂の受け取りを拒絶し、何が気に入らないのか反対意見ばかり言う二人の理事と三人の評議員は知らないが……。
正直な所、五人については、さっさと退任し、この協会から出て行って欲しいものだ。まあ、無理だろうがね。
私に反対する理事や評議員は皆、大手レアメタル企業や官公庁出身。彼等の経歴には、寄付金を産み出す力がある。弱小法人だったアース・ブリッジ協会が公益認定されたのも彼等のお陰。どの道、私が過半数を握っている。私としては実権支配できていればそれで良い。
肩をポンと叩くと、稲尾評議員は苦笑いを浮かべる。
「……は、はい。次の評議会で理事に推薦させて頂きます」
「ああ、頼んだよ。彼女は非常に優秀な女性だ。何せ、これからアース・ブリッジ協会に巨万の富をもたらしてくれるのだからね」
活動家である彼女を公益財団法人の理事にするのは些か不安だが、彼女がアース・ブリッジ協会にいる限り、この既得権益は不動。巨万の富をもたらしてくれる存在に違いない。
今の私の理事長報酬は月額百五十万。賞与も合わせると、年二千万円がいい所だ。
しかし、最近になって非営利法人は金儲けをしてはいけないから、給料が低くて当然という気風が改善されつつある。
レアメタル税条例によりアース・ブリッジ協会は、これから忙しくなる。活動も東京都から全国規模になっていく事だろう。
仕事量が増せば、理事長報酬が増すのも当然。退職金の積み増しも期待できる。
「くれぐれも、失礼のない様に……もし、彼女が理事に選任されなかったらレアメタル税条例も流れるものと思って行動してくれたまえ」
そう告げると、長谷川は高笑いの声を上げた。
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次回は2023年8月12日AM7時更新となります。
「何とかなったな……やはり、君を頼って正解だったよ。白石君……」
東京都がそう決めた以上、レアメタル税条例の対象事業者から外れる為には、環境エコ認定マークの取得が必須。
これで、私を含めた宝くじ研究会に訴えられている職員達の訴訟は取り下げられ、うちの得意先との取引も再開される。宝くじ研究会の名称を変えさせ、任意団体から株式会社へ移行し、株式の過半数を譲渡して貰えば、私に逆らう様な真似をする事もなくなるだろう。
受話器を置きながらそう言うと、ソファーに座っていた環境活動団体『環境問題をみんなで考え地球の未来を支える会』の発起人、白石美穂子が薄笑いを浮かべる。
「――当然です。その為に、市民団体の皆様と都庁前でデモを行い、要望書と共に、三万人のネット署名を提出したのですから……」
その裏で民社党都議団の方々も動いて頂いてね……。
公約達成の為に、民社党の協力は必要不可欠。都議会の過半数を占める民社党の協力無くして都政運営はままならない。
当然と言わんばかりの白石の表情を見て、長谷川は苦笑いを浮かべる。
「そうか…… お陰で首の皮一枚繋がった。見返りは必ず用意させて貰うよ」
白石が都知事と議会を動かし成立させたレアメタル税条例。この条例のお陰で、ある種のレアメタル利権ともいうべき構造が構築された。
レアメタル税条例の対象事業者から外れる為には、公益財団法人アース・ブリッジ協会の審査と環境エコ認定マークの取得が必須。
その他にも、審査品質を担保する為、レアメタルについて深い知識を持つアドバイザーの設置や育成が義務付けられた。
アドバイザーになる為には、経験者+能力+東京都が設置した有識者委員会の審査が必要となり、実質的にその判断は、公益財団法人アース・ブリッジ協会とその関連団体が行う。つまり、アドバイザーの選定は我々の専有事項。
アドバイザーの品質担保を理由とした研修の受講や派遣を受け入れなければ、レアメタル税条例の対象となり、多額のレアメタル税を支払わなければならなくなる。
まるで、最初からこの条例案が用意されていたのではないかと思うほどの用意周到さだ。
「いえ、お気にならさずに……次の評議会で私の事を理事に推薦して下さるよう手配して下さるだけで結構ですわ」
そう言って、立ち上がると、白石は薄笑いを浮かべ小さな声で呟く。
「……今はね。どの道、あなたの地位は私が頂く事ですし――」
「――うん? 何か言ったかね?」
白石が何かを呟いた気がした長谷川がそう尋ねると、白石は……
「――いえ、なんでもありませんわ。それでは、私はこれで失礼いたします」
そう告げると、足早に理事長室を後にした。
翌日、公益財団法人アース・ブリッジ協会には、先日、任意団体宝くじ研究会レアメタル事業部から取引を打ち切られた取引先から続々と電話が入って来ていた。
「――はい。その節は大変お騒がせ致しました。ええ、現状、レアメタル税条例の対象となるのは、環境エコ認定マークを取得していないレアメタル事業者に限ります。大丈夫ですよ。まあ、新たに、アドバイザーの設置や育成が義務付けられてしまいましたが、レアメタル税条例の対象とならぬ様、私共の協会が責任を以てアドバイザーを最優先で派遣させて頂きます」
しかし、活動家である彼女に都知事を動かす力があるとは思いもしなかった。
恐ろしい女だ。理事に迎え入れる約束をしてしまったが、念の為、迎え入れる前に彼女の身辺調査をしておいた方が良さそうだ。
無いとは思うが、万が一、反社会的勢力との付き合いがあったり、彼女の運営する非営利法人に不祥事があっては拙い。
そんな人物を迎え入れようとした私の立場が危うくなる所か、公益財団法人の理事が反社会的勢力と繋がりがあるなんて、公益認定取消処分待ったなしの事由だ。
そうでなくとも、彼女が反社会的勢力と繋がりがあったり、理事として不適格だった場合に備え、弱味を握っておく必要もある。
研修名目で、社員と共に海外に赴き、現地の環境活動家と共に過激なデモを行った。補助金が目的外利用されているとの噂もある。
用心に越した事はない。
この業界は、狭いパイの奪い合い。誰もが公益認定を狙っている。同業による補助金、助成金の奪い合いが最たるものだ。同業にリークされ公益認定を取り消された事例もある。
『はははっ、そう言って頂けると心強い。そう言えば、まだお礼を言えておりませんでしたな。レアメタル連合へ加盟させて頂きありがとうございます。中国のレアメタル買い占め問題に対抗する為、EUが組織した原材料連合。宝くじ研究会レアメタル事業部の潤沢な供給網を活かし、これと同じ組織を作ろうとは流石は理事長。資源エネルギー庁を納得させるのはさぞ大変だった事でしょう』
「――へっ?」
レアメタル連合? なんだそれは?
そんなもの作った覚えが……
『――現状重希土類に関しては中国からの供給に頼らざるを得なかったですからな。不足するレアメタルを代替技術で代用するにも限界がある。国立研究開発法人では、希少金属代替材料開発プロジェクトが発足し進められているが、あれはあくまで使用量を減らす事が目的。レアメタルの使用量をゼロにする訳ではない。渡りに船ですよ。さて、些か、話が長くなってしまいましたな。それでは、これで失礼します。今度、飲みにでも行きましょう』
「え、ええ、それでは……」
そう言って、電話を切ると長谷川はキーボードをタップし、レアメタル連合について検索する。
しかし、まったく情報が出てこない。
「――な、なんなんだ?」
何が起こっている。レアメタル連合?
そんな話、聞いてないぞ??
考え事をしていると、理事長室の扉をノックする音が響いた。
「――失礼します。代表理事、御用でしょうか?」
理事長室に入ってきたのは、公益財団法人アース・ブリッジ協会、評議員の一人、稲尾隆評議員。
公益財団法人アース・ブリッジ協会には、現在、五人の理事(理事長を含む)と七人の評議員がいる。公益財団法人アース・ブリッジ協会の業務執行をするのが理事会の役割なら、それを監督するのが評議会の役割。
「ああ、稲尾君。聞きたい事があったんだ。君は、レアメタル連合という組織を知っているか?」
そう尋ねると、稲尾評議員は困惑した表情を浮かべる。
「――っ……存じ上げませんが、そのレアメタル連合という組織がどうかしたのですか?」
「いや……知らないというのであれば、それでいい」
うん? 今、何か知っていそうな反応をした様な気がしたが気のせいか? まあいい。
代表理事である私がほぼ独断で新しい理事を推薦しようとしているのと同様に、公益財団法人アース・ブリッジ協会も一枚岩ではない。
「話は変わるがね。来週の理事会で新しい理事の選任を行おうと思う。私が選任した候補をメールをするが……まあ、いつも通りよろしく頼むよ」
だからこそ、私の意見を少しでも評議会に反映して貰う為、こういったありきたりな手段に出たりもする。
テーブルから厚みのある封筒を取り出し、立ち上がると私は稲尾評議員のポケットにそっと封筒を忍ばせた。
俗に言う賄賂の様なものだ。封筒の中には、現金二十万円が入っている。
公益財団法人の理事は、評議会の決議により選任され、代表理事は、評議会に選任された理事により開催された理事会により選任される。
五人いる理事の内、三人が私の派閥理事。
そこから一人抜けると、これまで通りの運営が困難になる。
新任理事の推薦は評議員特権。そうである以上、私にできる事は金を忍ばせ、退任する理事のポストを買うこと位……。
設立者であっても完全に自分の思い通りになる公益財団法人は創れない。役人や企業との兼ね合いからウマの合わない人間を内部に入れなければならない以上、少しでも思い通りに法人運営する為にはこうする他ない。
なに、今までこのやり方で十年やってきたんだ。問題あるやり方である場合、当の昔に指摘されている。指摘がなかったという事は、この行為が問題ない事柄であると認識されているに他ならない。
定期的に貰える領収証の残らないお小遣いに、評議員達はむしろ喜んでいるとすら感じるね。
まあ、頑なに賄賂の受け取りを拒絶し、何が気に入らないのか反対意見ばかり言う二人の理事と三人の評議員は知らないが……。
正直な所、五人については、さっさと退任し、この協会から出て行って欲しいものだ。まあ、無理だろうがね。
私に反対する理事や評議員は皆、大手レアメタル企業や官公庁出身。彼等の経歴には、寄付金を産み出す力がある。弱小法人だったアース・ブリッジ協会が公益認定されたのも彼等のお陰。どの道、私が過半数を握っている。私としては実権支配できていればそれで良い。
肩をポンと叩くと、稲尾評議員は苦笑いを浮かべる。
「……は、はい。次の評議会で理事に推薦させて頂きます」
「ああ、頼んだよ。彼女は非常に優秀な女性だ。何せ、これからアース・ブリッジ協会に巨万の富をもたらしてくれるのだからね」
活動家である彼女を公益財団法人の理事にするのは些か不安だが、彼女がアース・ブリッジ協会にいる限り、この既得権益は不動。巨万の富をもたらしてくれる存在に違いない。
今の私の理事長報酬は月額百五十万。賞与も合わせると、年二千万円がいい所だ。
しかし、最近になって非営利法人は金儲けをしてはいけないから、給料が低くて当然という気風が改善されつつある。
レアメタル税条例によりアース・ブリッジ協会は、これから忙しくなる。活動も東京都から全国規模になっていく事だろう。
仕事量が増せば、理事長報酬が増すのも当然。退職金の積み増しも期待できる。
「くれぐれも、失礼のない様に……もし、彼女が理事に選任されなかったらレアメタル税条例も流れるものと思って行動してくれたまえ」
そう告げると、長谷川は高笑いの声を上げた。
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