転異世界のアウトサイダー 神達が仲間なので、最強です

びーぜろ

文字の大きさ
425 / 486
第十一章 オーランド王国動乱編

第470話 神達による蹂躙(トール)

しおりを挟む
 ここはオーランド王国の近隣諸国の一つ、チャネル王国。チャネル王国では、今、オーランド王国からの宣戦布告を受け、戦争準備を行なっていた。

「オーランド王国に動きはあるか?」
「いえ、まだありません。しかし、気になる点が……」
「気になる点?」
「はい。オーランド王国側から、な、なんと言いますか……天候がおかしく……突如として積乱雲が……」
「まったく、何を言っている……んだ?」

 空を見上げると、雷鳴を轟かせながら積乱雲がチャネル王国を覆っていく。

「一体何が……この時期に積乱雲など……」

 風は常にオーランド王国側に流れている。
 地形的にオーランド王国側から積乱雲が迫ってくる事はまずあり得ない。

 言葉を詰まらせ、呆然とした表情を浮かべていると、兵士の一人が積乱雲を指さした。

「あ、あれはなんでしょうか……?」

 視線を向けると、そこには雷鳴を轟かせながら飛行する物体が視界に入る。
 それを捉えた瞬間、ドォーン! と音を立て、雷鳴と共に二匹の黒山羊と戦車に乗った一人の青年が現れた。

 青年の姿を見ると蒼く帯電しており、その姿は到底普通の人間とは思えない。
 その青年は乗り物から降りると、黒山羊の頭に手を乗せながら、こちらに視線を向けてきた。

「なあ? ここはチャネル王国で合ってるか?」
「…………」

 突然の事に声を出す事もできず後退ると、隣にいた兵士に雷が落ちる。

「なっ、なにっ!?」
「なあ、もう一度だけ聞くぜ。ここはチャネル王国で合ってるか?」

 訳がわからず、後退ると、兵士の一人が声を上げた。

「な、ななななっ、なんなんだよお前っ! どこから現れた! 今の雷はなんだっ!? もしかして、お前がロロを……ロロを殺ったのか!?」
「だったらどうした? 質問しているのは俺だ。何度も言わせるな。ここはチャネル王国で合ってるか?」

 青年はうんざりといった風にそう呟く。
 それを聞いた兵士は、剣を抜くと青年に向かって走り出した。
 私は慌てて声を上げる。

「ま、待て! 早まるなっ!」

 この青年は、ロロという兵士を雷で殺した。
 その事については間違いない。
 青年が目の前に現れる時も雷鳴と共に現れたし、身体を蒼く発光させるその姿。同じ人間とは思えない。

 この青年はあまりに危険。
 もしかしたら、冒険者ギルドでいう所のSランク冒険者並の力を……いや、それ以上の力を持っているのかもしれない。

「剣を下ろすんだ! お前では……」
「ロロはいい奴だった。それを殺したコイツを許す事はできません!」

 私が懸命に声を掛けるも、仲間を殺され怒りに囚われた兵士には届かない。

「死ねっ!」

 そういいながら兵士が青年に斬りかかろうとすると、雷鳴が鳴り響き、兵士に向かって雷が落ちた。

 先程から二回。
 近くに雷が落ちた為、耳鳴りが凄い。

 雷に打たれた兵士は、剣を落とすと、そのまま地面に崩れ落ちた。

「ラモット!」

 私がロロとラモットの元に向かおうとすると、青年が不機嫌そうな表情を浮かべ近付いてくる。

「お前らいい加減にしろよ? この俺様が二回も質問してるのに無視しやがって。お前ら頭は大丈夫か? 脳に蛆でも湧いてるんじゃねーか? あ? 簡単な質問だろうがよ! ここはチャネル王国か? どうなんだよ。ああ?」

 コイツに逆らってはいけない。
 ロロとラモットの死をもって思い知らされた。

「ああ、その通りだ」
「そうか。それじゃあ、次の質問。この国の王城はどこにある?」
「王城? ああ、あそこに見える一際大きい建物。あれが王城だ……」

 一体なんだ。そもそも、コイツは何をしにここに来た?
 王城に用があるのか?

「そうか、そうか……あの建物が王城か。勿論、この国の王はあの建物の中にいるんだよな?」
「ああ、その通りだ。しかし、それがどうした……」
「ふーん。ああそう。ありがとな……これで俺も使命を果たせそうだ」
「お前……一体何をする気だ」
「うん? ああ、折角、俺の質問に答えてくれたしな。まあ、いいか。お前の名前は?」
「私の? 私はチャネル王国第一兵団。兵士長のレックだ。お前の名前はなんだ」
「レックね。その名前、覚えたぜ。それじゃあ、レック。雷鳴と共に俺の名を刻みなっ!」

 そういうと、青年は黒い山羊の引く戦車に乗り込むと、宙に浮かび上がる。

 そして、手に槌の様な物を持つと、王城に向けそれを振り上げた。

「俺の名はトール。雷神トールだ! オーランド王国の女王フィンの命を受け、チャネル王国を貰い受けに来た!」
「なっ! オーランド王国だと!?」

 オーランド王国。それは突然、チャネル王国に宣戦布告してきた国の名前。
 このトールと名乗る青年は、単騎でこのチャネル王国を落としにきたらしい。

 私は咄嗟に大声を上げ、トールと名乗る青年に攻撃を命じようとする。

 しかし、それより速く。トールは槌を振り下ろす。

「な、何かやる気だぞ! あいつを止めろぉぉぉぉ!」

 私が声を上げた時には、もう遅く特大の雷が王城に向かって落とされた後だった。
 あまりの眩さに目を閉じる。

 何秒経っただろうか。
 目を開け王城に視線を向けると、そこには、雷に打たれ燃え盛る王城の姿があった。
しおりを挟む
感想 3,253

あなたにおすすめの小説

えっ、能力なしでパーティ追放された俺が全属性魔法使い!? ~最強のオールラウンダー目指して謙虚に頑張ります~

たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
ファンタジー
コミカライズ10/19(水)開始! 2024/2/21小説本編完結! 旧題:えっ能力なしでパーティー追放された俺が全属性能力者!? 最強のオールラウンダーに成り上がりますが、本人は至って謙虚です ※ 書籍化に伴い、一部範囲のみの公開に切り替えられています。 ※ 書籍化に伴う変更点については、近況ボードを確認ください。 生まれつき、一人一人に魔法属性が付与され、一定の年齢になると使うことができるようになる世界。  伝説の冒険者の息子、タイラー・ソリス(17歳)は、なぜか無属性。 勤勉で真面目な彼はなぜか報われておらず、魔法を使用することができなかった。  代わりに、父親から教わった戦術や、体術を駆使して、パーティーの中でも重要な役割を担っていたが…………。 リーダーからは無能だと疎まれ、パーティーを追放されてしまう。  ダンジョンの中、モンスターを前にして見捨てられたタイラー。ピンチに陥る中で、その血に流れる伝説の冒険者の能力がついに覚醒する。  タイラーは、全属性の魔法をつかいこなせる最強のオールラウンダーだったのだ! その能力のあまりの高さから、あらわれるのが、人より少し遅いだけだった。  タイラーは、その圧倒的な力で、危機を回避。  そこから敵を次々になぎ倒し、最強の冒険者への道を、駆け足で登り出す。  なにせ、初の強モンスターを倒した時点では、まだレベル1だったのだ。 レベルが上がれば最強無双することは約束されていた。 いつか彼は血をも超えていくーー。  さらには、天下一の美女たちに、これでもかと愛されまくることになり、モフモフにゃんにゃんの桃色デイズ。  一方、タイラーを追放したパーティーメンバーはというと。 彼を失ったことにより、チームは瓦解。元々大した力もないのに、タイラーのおかげで過大評価されていたパーティーリーダーは、どんどんと落ちぶれていく。 コメントやお気に入りなど、大変励みになっています。お気軽にお寄せくださいませ! ・12/27〜29 HOTランキング 2位 記録、維持 ・12/28 ハイファンランキング 3位

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる

グリゴリ
ファンタジー
『旧タイトル』万能者、Sランクパーティーを追放されて、職業が進化したので、新たな仲間と共に無双する。 『見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる』【書籍化決定!!】書籍版とWEB版では設定が少し異なっていますがどちらも楽しめる作品となっています。どうぞ書籍版とWEB版どちらもよろしくお願いします。 2023年7月18日『見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる2』発売しました。  主人公のクロードは、勇者パーティー候補のSランクパーティー『銀狼の牙』を器用貧乏な職業の万能者で弱く役に立たないという理由で、追放されてしまう。しかしその後、クロードの職業である万能者が進化して、強くなった。そして、新たな仲間や従魔と無双の旅を始める。クロードと仲間達は、様々な問題や苦難を乗り越えて、英雄へと成り上がって行く。※2021年12月25日HOTランキング1位、2021年12月26日ハイファンタジーランキング1位頂きました。お読み頂き有難う御座います。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。