転異世界のアウトサイダー 神達が仲間なので、最強です

びーぜろ

文字の大きさ
483 / 486
番外編 神となった悠斗。現代日本に現れる

真実を知る悠斗②

しおりを挟む
「や、屋敷神……。教祖様と一緒にいた筈じゃ……」
「ええ、悠斗様の言う通り私の影分身は今、教祖様を御守りしております。知っているでしょう? 私が精霊達を使役できる事を……」
「か、影分身っ……!?」

 ぜ、全然気付かなかった……。

「神興会の教祖様は地球で悠斗様の信仰心を集める為に必要な人材です。それにしても悠斗様はここで何を?」
「い、いや、なんていうか……」

 どうしよう。屋敷神を目の前にして『屋敷神のやろうとした事を阻止しようとしていました』とは言えない。

「ええ、すべてわかっております。悠斗様は、滅びゆく新興宗教を哀れに思い、教祖様に力を与えるたのですよね? その上で神興会を復興し、その過程で神興会の神になる事により新興宗教の後ろ楯になって差し上げようと、そう思われたのですよね?」
「えっ?」

 い、いえ、違いますけど……。
 何その思い違い?
 何をどう考えたらそんな考えに行き着くの??

 俺は教祖様の邪気を祓う力の凄さに感銘を覚え、布教しようとしただけで……。
 感覚としては、ガリガリ君の新作、滅茶苦茶美味しかったよね。食べなきゃ損だって! と、そんな感覚で拡散しただけなんだけど……。

 っていうか文脈おかしくない?
 俺がここに居る理由を聞いていたんじゃなかったの??

 それに教祖様に力を与えたって何の事?
 全然記憶にないんだけど……。

「……悠斗様の御心はとても素晴らしいと思います。しかし、神を統べる神である悠斗様に新興宗教は相応しくありません。ですので、力及ばずながら、私がそのサポートをさせて頂きました」

 屋敷神が影から巻物の様な物を取り出すと、そっと俺に渡してくる。

「えっと……。これは?」

 というより、なんで巻物?

 そんな事を考えながら、渡された巻物に目を通すと、そこには宗教法人っぽい名前とそれぞれの信者数が書かれていた。

 なんだか嫌な予感がする。

「屋敷神? これは一体……」
「はい。神興会の傘下に置いた宗教法人のリストです。既に信者数は数千万を超え、国内外でも急速に神興会の名が浸透しております」

 屋敷神の言葉を聞き巻物を落とすと、俺は宙を見上げ崩れ落ちた。
 四つん這いになりながら地面を見つめ心の中で呟く。

 お、終わった……。

 屋敷神を見た時から何となくヤバい事になりそうだなとは思っていたけど、この展開は完全に想定外である。

 さようなら。平穏な日常。
 こんにちは、非日常。

 まあ異世界転移してからというものの、平穏な日常なんてなかったかも知れないけど……。いつの間にか、神様になっちゃってたし……。

「……悠斗様? 一体どうされたのですか?」
「いや、なんでもないよ……」

 少し動揺しちゃっただけさ。

 屋敷神の手を借りゆっくり立ち上がると、服に着いた埃を払う。

 有名人がマスクとサングラスで顔を隠す理由がよくわかった気がする。
 今日から新興宗教の神様か……。
 もう普通に高校に行く事すらできなくなってしまった。
 いや、今は神興会の布教活動が忙しすぎて『影分身』に行って貰っているんだけれども……。

 まだ、完全に浸透している訳じゃないんだろうし、世界の人口は七十八億。
 その内の数千万人が俺の顔を知っているだけだ。
 まだ完全に異世界『ウェーク』化していない。

 とはいえ、もはや時間の問題だ。
 俺が元の世界に戻ってきて一ヶ月。
 たった一ヶ月で数千万人が信者化してしまった。

 友達に信者がいたらどうしよう。
 それはそれで非常に困る。

「……そろそろ、ウェークに帰ろうかな」

 何て言うか、今は無性に、フェイやケイ、レイン達に会いたい。

「おや? もうお戻りになられるのですか?」
「うん……。ここには影分身を置いて、一度、ウェークに戻ろうかなって……」
「そうですか。ご安心下さい。私の影分身もこちらに置いていきます。布教活動もつつがなく進行致しますので……」
「う、うん。でも、ほどほどにね?」

 多分、信仰の全てが俺に集まったら、地球の神様激怒するから。
 まあ地球の神様に会った事ないけど……。

「はい。承知致しました。その点はご安心下さい」
「うん? どういう事??」

 まさか屋敷神。俺の心を読んだの?
 そんな力あったっけ??

「力のある宗教の神を除く大半の力なき神は既に神興会に降っております」
「本当にどういう事っ!?」
「はい。力なき神に信仰心を稼ぐ力はありません。ですので、そういった神はこの世界に受肉させ教祖補佐として雇用しております」
「か、神様を雇用しているのっ!?」
「ええ、今の時代、神とはいえちゃんと奇跡を起こさねば、信仰心を得る事はできません。悠斗様の銅像が得た信仰心は、働きに応じてそれぞれの神に配賦されるよう設定しております」
「そんな事できるの!?」

 凄いな。神様が教祖補佐として仕事をする新興宗教か。
 働きによって信仰心を得られるなら神様も安心だ。
 信者も神様の奇跡を直接受ける事が出来て皆、幸せになれる。

「そこら辺のシステムは、ボクが作ったのさ♪ 神様に労働を課すなんてゾクゾクするよね! これも悠斗様が『神を統べる神』だからこそ許される事だよ♪」
「え、ああ、そうなんだ……」

 俺、以外がやったら問題なんだ……。
 なんだか教祖様には悪い事をしてしまった気分だ。
 多分、俺が神興会に入信しなければこんな事にはならなかった。

 俺はゆっくり目を閉じると、東京国際フォーラムで困惑しているであろう教祖様に祈りを捧げた。
しおりを挟む
感想 3,253

あなたにおすすめの小説

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

《完結》「パパはいますか?」ある日、夫に似た子供が訪ねて来た。

ヴァンドール
恋愛
嫁いですぐに夫は戦地に赴いた。すると突然一人の男の子が訪ねて来た「パパはいますか?」 その子供の顔は戦地に行った夫にそっくりだった。

拾った子犬がケルベロスでした~実は古代魔法の使い手だった少年、本気出すとコワい(?)愛犬と楽しく暮らします~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
旧題: ケルベロスを拾った少年、パーティ追放されたけど実は絶滅した古代魔法の使い手だったので、愛犬と共に成り上がります。 ========================= <<<<第4回次世代ファンタジーカップ参加中>>>> 参加時325位 → 現在5位! 応援よろしくお願いします!(´▽`) =========================  S級パーティに所属していたソータは、ある日依頼最中に仲間に崖から突き落とされる。  ソータは基礎的な魔法しか使えないことを理由に、仲間に裏切られたのだった。  崖から落とされたソータが死を覚悟したとき、ソータは地獄を追放されたというケルベロスに偶然命を助けられる。  そして、どう見ても可愛らしい子犬しか見えない自称ケルベロスは、ソータの従魔になりたいと言い出すだけでなく、ソータが使っている魔法が古代魔であることに気づく。  今まで自分が規格外の古代魔法でパーティを守っていたことを知ったソータは、古代魔法を扱って冒険者として成長していく。  そして、ソータを崖から突き落とした本当の理由も徐々に判明していくのだった。  それと同時に、ソータを追放したパーティは、本当の力が明るみになっていってしまう。  ソータの支援魔法に頼り切っていたパーティは、C級ダンジョンにも苦戦するのだった……。  他サイトでも掲載しています。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。

さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。 だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。 行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。 ――だが、誰も知らなかった。 ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。 襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。 「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。 俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。 無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!? のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。