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第7話 大剣士ケンシの言い訳
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「それで? なぜ俺様が大魔王コサカと一緒に死んだ事になっているんだ? あの時、お前たちの様子を下で見ていたが、勇者マコトは最後まで我々の事を案じ、天へと旅立っていったとかなんとか王様が言っていたようだが……」
勇者マコトが土下座をしている大剣士ケンシにそう問いかけると、「私にもわからないのです」とふざけた事を呟いた。
勇者マコトはゆっくり立ち上がると、大剣士ケンシの前でヤンキー座りを決め込む。
「ケンシ君よォ~? わからねぇじゃねーだろ? 俺様はお前達のその発言で天へと旅立った事になっているんだよ!」
タバコをキメていれば完全にヤンキーである。
勇者的な要素は、装備品以外に何もない。
「も、申し訳ございませんでしたー!」
「ケンシ君よ~今の俺様の状況を整理してこれからどうすればいいか教えてくれないかなァ~。俺様の認識では、必死の覚悟で大魔王コサカを南極大陸に封印して凱旋してみたら、国をあげて俺様の国葬をしていたんだけど、これ大丈夫だと思う? 俺社会的に死んでね?」
大剣士ケンシは汗をダラダラと流すと、ポケットに仕舞ったパンティで汗を拭く。
「勇者マコト、少々気になる点があったのですが、大魔王コサカは死んでいないのですか」
「ん? ああ、あいつを完全に倒しきると、この世界が滅んでしまうからな」
すると大剣士ケンシがガバリと顔を上げ叫び声を上げる。
「だ、大丈夫なんですかそれ! 私達、王様に大魔王は勇者マコトと相討ちになったって言っちゃいましたよ! 勇者マコトは生きているし、大魔王コサカも生きてるってどう言う事ですか! こんな事が王様に知れたらどうなるか……。折角得た地位剥奪ですよ! どーしてくれるんですか! 今すぐ大魔王を倒してきて下さいよ。お願いします勇者マコト! 土下座でもなんでもしますからー!」
お前さっき『私にもわからないのです』とかほざいていなかった?
『私達、王様に大魔王は勇者マコトと相討ちになったって言っちゃいましたよ!』って何?
ガッツリ記憶にあるじゃねぇかァァァァ!
勇者マコトは大剣士ケンシの頭にヘッドロックをかけると、空中に浮き上がり、ケンシの足がギリギリ着かない位置で静止する。
「ねえ、ケンシ君。ケンシ君。今なんて言ったの?」
しかし、大剣士ケンシは質問に答える事はできない。ヘッドロックをかけられ呻き声をあげている。
頭蓋骨が軋む音がする。
「『私達、王様に大魔王は勇者マコトと相討ちになったって言っちゃいましたよ!』って何? お前絶対記憶にあるよね? 『勇者マコトは生きてるし、大魔王コサカも生きてるってどう言う事ですか』って、どう言う事? 死んで欲しかったの、俺様に?」
「す、すいません。失言でした……。他意はありません。」
勇者マコトは大剣士ケンシにかけていたヘッドロックを解くと、アイテムボックスから闇の宝玉を取り出した。
「闇の宝玉ちゃん。なんだかコイツ頭がおかしいんだけど……。まさかコイツに何か魔法とかかけてないよね? えっ、かけてるの?」
コイツこんな馬鹿な奴だったっけと思い、軽い気持ちで闇の宝玉に尋ねてみたが、俺と同じく何かしらの魔法を掛けていた様だ。
「闇の宝玉ちゃん。やっぱり俺にはお前がいなきゃやっぱりダメみたいだ。悪いんだけど、コイツにかけた魔法解いてくれないかな?」
すると闇の宝玉は『もうしょうがないわね』と言わんばかりにチカチカと点滅すると、大剣士ケンシに掛けられた魔法を解いていく。
闇の宝玉が大剣士ケンシにかけていたのは混乱の魔法。俺には、存在感を無くす魔法を掛けていたたし、そういった意味では大魔王コサカより恐ろしい。
「ありがとな、闇の宝玉ちゃん。愛しているぜ。アイテムボックスで休んでいてくれ。」
勇者マコトは闇の宝玉に軽くキスすると、アイテムボックスに収納していく。
さて、これで大剣士ケンシに掛かっていた混乱の魔法は解けたはず。しかし、ケンシがこの有り様では、他の仲間達も心配だ。
もし万が一、大剣士ケンシの様に他の奴らまで混乱の魔法が掛かっていた場合、とても厄介な事になる。
特に大神官ダーマは俺様、勇者マコトの熱狂的なファンだ。コイツらの頭の中の認識では俺は大魔王コサカとの戦いで相討ちになった事になっている。俺と魔王を間違えて復活させるなんて事をしかねない。
「大剣士ケンシ。お前に掛かっていた混乱の魔法は解いた。気分はどうだ?」
大剣士ケンシはボーっとした視線を俺に向けてくる。
これは混乱のステータス異常を治した時に見られる現象だ。
「や、やはり夢ではなかった。勇者マコト……生きていたのですね。」
「ああ、大魔王コサカなどと相打ちになんてなってたまるか。大魔王コサカを南極大陸に封印した上、南極大陸以外の世界の支配権を奪ってきた。これからは魔王の恐怖に怯える心配はしなくていい。世界は救われたんだ!」
「えっ、それ世界救われたんですか? 大魔王コサカから勇者マコトに世界の支配権が渡っただけでは……。」
やはり大剣士ケンシは混乱している様だ。
そうでもなければ世界を救った英雄である俺様にそんな事を言う筈がない。
勇者マコトは大剣士ケンシの首をトンッと軽く叩く。
「グァッ!」
すると、大剣士ケンシが大袈裟にも呻き声を上げるとそのままうつ伏せの状態で倒れてしまった。
「お前はまだ混乱している様だ。ゆっくり休んでいてくれ。」
勇者マコトはそう呟くと、大剣士ケンシを城下町の床に眠らせたまま城に向かう事にした。
勇者マコトが土下座をしている大剣士ケンシにそう問いかけると、「私にもわからないのです」とふざけた事を呟いた。
勇者マコトはゆっくり立ち上がると、大剣士ケンシの前でヤンキー座りを決め込む。
「ケンシ君よォ~? わからねぇじゃねーだろ? 俺様はお前達のその発言で天へと旅立った事になっているんだよ!」
タバコをキメていれば完全にヤンキーである。
勇者的な要素は、装備品以外に何もない。
「も、申し訳ございませんでしたー!」
「ケンシ君よ~今の俺様の状況を整理してこれからどうすればいいか教えてくれないかなァ~。俺様の認識では、必死の覚悟で大魔王コサカを南極大陸に封印して凱旋してみたら、国をあげて俺様の国葬をしていたんだけど、これ大丈夫だと思う? 俺社会的に死んでね?」
大剣士ケンシは汗をダラダラと流すと、ポケットに仕舞ったパンティで汗を拭く。
「勇者マコト、少々気になる点があったのですが、大魔王コサカは死んでいないのですか」
「ん? ああ、あいつを完全に倒しきると、この世界が滅んでしまうからな」
すると大剣士ケンシがガバリと顔を上げ叫び声を上げる。
「だ、大丈夫なんですかそれ! 私達、王様に大魔王は勇者マコトと相討ちになったって言っちゃいましたよ! 勇者マコトは生きているし、大魔王コサカも生きてるってどう言う事ですか! こんな事が王様に知れたらどうなるか……。折角得た地位剥奪ですよ! どーしてくれるんですか! 今すぐ大魔王を倒してきて下さいよ。お願いします勇者マコト! 土下座でもなんでもしますからー!」
お前さっき『私にもわからないのです』とかほざいていなかった?
『私達、王様に大魔王は勇者マコトと相討ちになったって言っちゃいましたよ!』って何?
ガッツリ記憶にあるじゃねぇかァァァァ!
勇者マコトは大剣士ケンシの頭にヘッドロックをかけると、空中に浮き上がり、ケンシの足がギリギリ着かない位置で静止する。
「ねえ、ケンシ君。ケンシ君。今なんて言ったの?」
しかし、大剣士ケンシは質問に答える事はできない。ヘッドロックをかけられ呻き声をあげている。
頭蓋骨が軋む音がする。
「『私達、王様に大魔王は勇者マコトと相討ちになったって言っちゃいましたよ!』って何? お前絶対記憶にあるよね? 『勇者マコトは生きてるし、大魔王コサカも生きてるってどう言う事ですか』って、どう言う事? 死んで欲しかったの、俺様に?」
「す、すいません。失言でした……。他意はありません。」
勇者マコトは大剣士ケンシにかけていたヘッドロックを解くと、アイテムボックスから闇の宝玉を取り出した。
「闇の宝玉ちゃん。なんだかコイツ頭がおかしいんだけど……。まさかコイツに何か魔法とかかけてないよね? えっ、かけてるの?」
コイツこんな馬鹿な奴だったっけと思い、軽い気持ちで闇の宝玉に尋ねてみたが、俺と同じく何かしらの魔法を掛けていた様だ。
「闇の宝玉ちゃん。やっぱり俺にはお前がいなきゃやっぱりダメみたいだ。悪いんだけど、コイツにかけた魔法解いてくれないかな?」
すると闇の宝玉は『もうしょうがないわね』と言わんばかりにチカチカと点滅すると、大剣士ケンシに掛けられた魔法を解いていく。
闇の宝玉が大剣士ケンシにかけていたのは混乱の魔法。俺には、存在感を無くす魔法を掛けていたたし、そういった意味では大魔王コサカより恐ろしい。
「ありがとな、闇の宝玉ちゃん。愛しているぜ。アイテムボックスで休んでいてくれ。」
勇者マコトは闇の宝玉に軽くキスすると、アイテムボックスに収納していく。
さて、これで大剣士ケンシに掛かっていた混乱の魔法は解けたはず。しかし、ケンシがこの有り様では、他の仲間達も心配だ。
もし万が一、大剣士ケンシの様に他の奴らまで混乱の魔法が掛かっていた場合、とても厄介な事になる。
特に大神官ダーマは俺様、勇者マコトの熱狂的なファンだ。コイツらの頭の中の認識では俺は大魔王コサカとの戦いで相討ちになった事になっている。俺と魔王を間違えて復活させるなんて事をしかねない。
「大剣士ケンシ。お前に掛かっていた混乱の魔法は解いた。気分はどうだ?」
大剣士ケンシはボーっとした視線を俺に向けてくる。
これは混乱のステータス異常を治した時に見られる現象だ。
「や、やはり夢ではなかった。勇者マコト……生きていたのですね。」
「ああ、大魔王コサカなどと相打ちになんてなってたまるか。大魔王コサカを南極大陸に封印した上、南極大陸以外の世界の支配権を奪ってきた。これからは魔王の恐怖に怯える心配はしなくていい。世界は救われたんだ!」
「えっ、それ世界救われたんですか? 大魔王コサカから勇者マコトに世界の支配権が渡っただけでは……。」
やはり大剣士ケンシは混乱している様だ。
そうでもなければ世界を救った英雄である俺様にそんな事を言う筈がない。
勇者マコトは大剣士ケンシの首をトンッと軽く叩く。
「グァッ!」
すると、大剣士ケンシが大袈裟にも呻き声を上げるとそのままうつ伏せの状態で倒れてしまった。
「お前はまだ混乱している様だ。ゆっくり休んでいてくれ。」
勇者マコトはそう呟くと、大剣士ケンシを城下町の床に眠らせたまま城に向かう事にした。
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