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第23話 敵国の難民を受け入れる余裕なんてこの国にはありません
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「な、なんだっ?」
黒い霧の中、馬車を走らせていたボウ国の使者ザマールは突然差した光に目を瞑る。
「こ、ここはハジマリノ国……。な、なぜ……」
ボウ国へと馬車を走らせていたはずが、気付けばハジマリノ国に……。ザマールは呆然とした表情を浮かべる。
御者が馬車を停めると、馬車に乗車しているザマールの部下カストリスが目を剥き窓の外を指さした。
「ざ、ザマール様!」
一体何が起こっているというのだ。
ザマールは部下であるカストリスの指さす方向に視線を向ける。
そこには一国分の国民、そして軍隊が同じく訳も分からず呆然とした表情を浮かべていた。
「なっ……! あれは……。もしやボウ国の国民ではないか? なぜハジマリノ国に?」
所々にボウ国の要人達の姿がある。
とはいえ、呆然としていても話は始まらない。
誰か事情を知る者に話を聞かねば……。
いや、それよりボウ国が今どうなっているのか調べる方が先か? 一体どうしたらいいのだ! ええい、考えが纏まらない。
「ざ、ザマール様……」
人が考え事をしている時に次から次に……。今度はなんだ!
ザマールはイラつきながら、カストリスを睨みつける。
そして呆然とした表情を浮かべたままのカストリスの視線の先を目で追うと、思わずその光景を二度見した。
「は……はぁ?」
ザマールが視線を向けた先には先程まで存在しなかった壁がある。
しかもその壁はハジマリノ王国の隣国、ホロブ王国迄続いていそうな位長く、まるでボウ国の人間の入国を一切拒絶するかの様に隔たっていた。
ご丁寧な事に、看板迄建てられており、現在、ボウ国とハジマリノ王国は戦争状態にある事。そして、なぜボウ国に魔王が出現したのか迄、しっかり書かれている。
「は、ハジマリノ王国は、我らを見捨てる気か!?」
ザマールは馬車の中で呆然とした表情を浮かべる事しかできなかった。
◆
ボウ国が大魔王コサカにより侵略され名実共に亡国となった事を見届けた勇者マコトは、転移魔法でハジマリノ王国の王城にある王の間に移動する。
「ふう。これで一件落着と……」
勇者マコトがそう呟きながら椅子に腰かけると、血相を変えた国王が王の間に飛び込んできた。
「大王陛下! 今までどこに行っていたのですかっ!」
「ん? 言っていなかったか?」
「何も聞いていませんよ!」
帰って来て早々、国王が激怒している。
勇者マコトは、「おかしいな~。言っていなかったか」と呟きながら頭をかくと、今までどこで何をやっていたのかを話す事にした。
「ほら俺、今やハジマリノ王国の大王だろ? だからさ。滅びゆく国ボウ国の王族関係者達に最後の挨拶をしようかなって思ってさ、いや~大魔王コサカが本気を出したらあんな事になるなんて思わなかったわ。封印から解けたばかりの弱った時に世界の半分の支配権をゲットする事ができてホント良かったよ。ああ、ボウ国の国民達に危害を加えない様、大魔王コサカには言ってあるから安心してくれ」
勇者マコトの言葉を聞いた国王は、ガックリと膝をつき頭を抱える。
「だ、だからか……」
国王が未だ青い顔をしているのに疑問を抱いた勇者マコトは、国王に向かって話しかける。
「だからとは? 一体何を言っている? ……どうした? 膝など床に付けて……」
「だ、大王陛下は知らぬ事とは思いますが、現在、ハジマリノ王国の国境付近に人間の大群が現れました。恐らく大王陛下が大魔王と約束したボウ国の国民達かと……」
なる程、ボウ国の王族関係者以外の人間全てを、ボウ国から追い出しハジマリノ王国付近に転移させたと……。
これはあれだな……。
多分、大魔王コサカの嫌がらせだ。間違いない。いや絶対そうに決まっている。
勇者マコトは膝をポンッと叩くと立ち上がる。
「ちょっくら大魔王コサカをブッ飛ばしにボウ国まで行ってくるわ……」
それだけ呟き転移魔法でボウ国まで転移しようと魔力を込めると、国王が大きな声を出し止めにかかる。
「お! お待ち下さい大王陛下ッ! 大魔王コサカをブッ飛ばすのは賛成ですが、せめて……。せめてあのボウ国の国民を何とかしてから行って下さい!」
勇者マコトは転移魔法の発動を中断すると、国王に視線を向ける。
「……しかし、一国分の人間なんて受け入れる余裕はこの国にないだろ? しかもボウ国とは建前上戦争中って事になっているんだぞ? 大魔王コサカにより国を追われた敵対国の国民を保護する義務が俺達にあるのか? いや、無いだろ。こういうのは、ボウ国同様にハジマリノ王国に難癖を付けようと画策している馬鹿共……いや周辺国家に任せればいいんだよ」
「し、しかし、どうやって……」
国王の縋り付く様な視線に、頭をガシガシかくと勇者マコトは「仕方がねーな」と呟くと≪半神眼≫でボウ国の国民達のいるハジマリノ王国付近に視線を向ける。
「おーおー。確かに一国分の人間がいるな。隣国ホロブ王国迄歩いて10日……。まあ適度に食い物と水を道端にでもばら撒いておけば死にはしないだろ。どうせ敵対国の国民出し……。よし!」
≪半神眼≫で様子見をした勇者マコトは、ボウ国の国民達がハジマリノ王国に近付く事の出来ぬ様に、ウォールの魔法でホロブ王国まで続く壁を作り上げると、適当な間隔で大量の食糧と飲水を出現させる。
「国王よ。いまハジマリノ王国の国境付近にホロブ王国まで続く壁を作り出した。この壁は彼等がホロブ王国に辿り着くまで消えはしない。まあ大魔王コサカもホロブ王国に近い所に転移させてくれたみたいだし、10日もあれば奴等もホロブ王国に辿り着くだろ……。ああ安心しろ。10日も飲まず食わずはきついからな適度に食料と飲水を積み上げておいた。敵国の国民に対してそれだけお膳立てをしてやったんだ。きっと彼等も歓びのあまり涙を流してホロブ王国に向かうだろうよ。ちゃんと、奴らのストレスをガス抜きをする為になんでこんな事になっているのか、一からちゃーんと看板に書いてきたし……」
「そ、それはそれで酷いのでは……?」
何を言っているんだこの糞爺は、ハジマリノ王国にボウ国を追われ難民となった奴等を受け入れる余裕はないと言ったばかりではないか。綺麗ごとで敵国の人間を我が国に入れたらどうなるかそんな事も分からないのか?
勇者マコトは冷めた視線を国王に向けると、「話はこれで終わりだ。俺は大魔王コサカをブッ飛ばしに行ってくる」と呟き転移魔法で、大魔王コサカの支配するボウ国へと転移した。
黒い霧の中、馬車を走らせていたボウ国の使者ザマールは突然差した光に目を瞑る。
「こ、ここはハジマリノ国……。な、なぜ……」
ボウ国へと馬車を走らせていたはずが、気付けばハジマリノ国に……。ザマールは呆然とした表情を浮かべる。
御者が馬車を停めると、馬車に乗車しているザマールの部下カストリスが目を剥き窓の外を指さした。
「ざ、ザマール様!」
一体何が起こっているというのだ。
ザマールは部下であるカストリスの指さす方向に視線を向ける。
そこには一国分の国民、そして軍隊が同じく訳も分からず呆然とした表情を浮かべていた。
「なっ……! あれは……。もしやボウ国の国民ではないか? なぜハジマリノ国に?」
所々にボウ国の要人達の姿がある。
とはいえ、呆然としていても話は始まらない。
誰か事情を知る者に話を聞かねば……。
いや、それよりボウ国が今どうなっているのか調べる方が先か? 一体どうしたらいいのだ! ええい、考えが纏まらない。
「ざ、ザマール様……」
人が考え事をしている時に次から次に……。今度はなんだ!
ザマールはイラつきながら、カストリスを睨みつける。
そして呆然とした表情を浮かべたままのカストリスの視線の先を目で追うと、思わずその光景を二度見した。
「は……はぁ?」
ザマールが視線を向けた先には先程まで存在しなかった壁がある。
しかもその壁はハジマリノ王国の隣国、ホロブ王国迄続いていそうな位長く、まるでボウ国の人間の入国を一切拒絶するかの様に隔たっていた。
ご丁寧な事に、看板迄建てられており、現在、ボウ国とハジマリノ王国は戦争状態にある事。そして、なぜボウ国に魔王が出現したのか迄、しっかり書かれている。
「は、ハジマリノ王国は、我らを見捨てる気か!?」
ザマールは馬車の中で呆然とした表情を浮かべる事しかできなかった。
◆
ボウ国が大魔王コサカにより侵略され名実共に亡国となった事を見届けた勇者マコトは、転移魔法でハジマリノ王国の王城にある王の間に移動する。
「ふう。これで一件落着と……」
勇者マコトがそう呟きながら椅子に腰かけると、血相を変えた国王が王の間に飛び込んできた。
「大王陛下! 今までどこに行っていたのですかっ!」
「ん? 言っていなかったか?」
「何も聞いていませんよ!」
帰って来て早々、国王が激怒している。
勇者マコトは、「おかしいな~。言っていなかったか」と呟きながら頭をかくと、今までどこで何をやっていたのかを話す事にした。
「ほら俺、今やハジマリノ王国の大王だろ? だからさ。滅びゆく国ボウ国の王族関係者達に最後の挨拶をしようかなって思ってさ、いや~大魔王コサカが本気を出したらあんな事になるなんて思わなかったわ。封印から解けたばかりの弱った時に世界の半分の支配権をゲットする事ができてホント良かったよ。ああ、ボウ国の国民達に危害を加えない様、大魔王コサカには言ってあるから安心してくれ」
勇者マコトの言葉を聞いた国王は、ガックリと膝をつき頭を抱える。
「だ、だからか……」
国王が未だ青い顔をしているのに疑問を抱いた勇者マコトは、国王に向かって話しかける。
「だからとは? 一体何を言っている? ……どうした? 膝など床に付けて……」
「だ、大王陛下は知らぬ事とは思いますが、現在、ハジマリノ王国の国境付近に人間の大群が現れました。恐らく大王陛下が大魔王と約束したボウ国の国民達かと……」
なる程、ボウ国の王族関係者以外の人間全てを、ボウ国から追い出しハジマリノ王国付近に転移させたと……。
これはあれだな……。
多分、大魔王コサカの嫌がらせだ。間違いない。いや絶対そうに決まっている。
勇者マコトは膝をポンッと叩くと立ち上がる。
「ちょっくら大魔王コサカをブッ飛ばしにボウ国まで行ってくるわ……」
それだけ呟き転移魔法でボウ国まで転移しようと魔力を込めると、国王が大きな声を出し止めにかかる。
「お! お待ち下さい大王陛下ッ! 大魔王コサカをブッ飛ばすのは賛成ですが、せめて……。せめてあのボウ国の国民を何とかしてから行って下さい!」
勇者マコトは転移魔法の発動を中断すると、国王に視線を向ける。
「……しかし、一国分の人間なんて受け入れる余裕はこの国にないだろ? しかもボウ国とは建前上戦争中って事になっているんだぞ? 大魔王コサカにより国を追われた敵対国の国民を保護する義務が俺達にあるのか? いや、無いだろ。こういうのは、ボウ国同様にハジマリノ王国に難癖を付けようと画策している馬鹿共……いや周辺国家に任せればいいんだよ」
「し、しかし、どうやって……」
国王の縋り付く様な視線に、頭をガシガシかくと勇者マコトは「仕方がねーな」と呟くと≪半神眼≫でボウ国の国民達のいるハジマリノ王国付近に視線を向ける。
「おーおー。確かに一国分の人間がいるな。隣国ホロブ王国迄歩いて10日……。まあ適度に食い物と水を道端にでもばら撒いておけば死にはしないだろ。どうせ敵対国の国民出し……。よし!」
≪半神眼≫で様子見をした勇者マコトは、ボウ国の国民達がハジマリノ王国に近付く事の出来ぬ様に、ウォールの魔法でホロブ王国まで続く壁を作り上げると、適当な間隔で大量の食糧と飲水を出現させる。
「国王よ。いまハジマリノ王国の国境付近にホロブ王国まで続く壁を作り出した。この壁は彼等がホロブ王国に辿り着くまで消えはしない。まあ大魔王コサカもホロブ王国に近い所に転移させてくれたみたいだし、10日もあれば奴等もホロブ王国に辿り着くだろ……。ああ安心しろ。10日も飲まず食わずはきついからな適度に食料と飲水を積み上げておいた。敵国の国民に対してそれだけお膳立てをしてやったんだ。きっと彼等も歓びのあまり涙を流してホロブ王国に向かうだろうよ。ちゃんと、奴らのストレスをガス抜きをする為になんでこんな事になっているのか、一からちゃーんと看板に書いてきたし……」
「そ、それはそれで酷いのでは……?」
何を言っているんだこの糞爺は、ハジマリノ王国にボウ国を追われ難民となった奴等を受け入れる余裕はないと言ったばかりではないか。綺麗ごとで敵国の人間を我が国に入れたらどうなるかそんな事も分からないのか?
勇者マコトは冷めた視線を国王に向けると、「話はこれで終わりだ。俺は大魔王コサカをブッ飛ばしに行ってくる」と呟き転移魔法で、大魔王コサカの支配するボウ国へと転移した。
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