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第24話 ワインの保存状態に怒り心頭な大魔王
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「フハハハハッ! なんだボウ国と聞いて何もないかと思えばいいモノが沢山揃っているではないか!」
ボウ国を支配した大魔王コサカは、解き放った魔物が跋扈するボウ国の城にあるワインセラーに一人訪れると、付き人もつけずボウ国の王が愛するワインを物色していた。
「おおッ! これは王のワインにして、ワインの王と謳われる偉大な赤ワイン、バボーロではないか!」
大魔王コサカは、ワインセラーに置かれた王のワインを片手に取ると、どこからともなくグラスを取り出しバボーロのワインをグラスに傾ける。
「フハハハハッ! このワインこそワシに相応しいワインよ! 魔王城にあった秘蔵のワインは全て勇者マコトに奪われてしまったからな……。いや、そんな事はどうでもいい! さあ早速頂くとしよう」
バボーロのワインは、長期熟成に耐える重厚かつ深遠な味わいが特徴のワイン。その味わいは『王のワインにして、ワインの王』と称され、ワインラヴァーならば世界中の誰もがその偉大さを認め、憧れる最上級の赤ワインである。
大魔王コサカがボウ国を支配した記念に、バボーロのワインを口に傾けると、そのまま噴き出した。
「ぐぅぅ! な、なんだこの雨の日の段ボールの様な匂いは……。雑巾を陰干しにした匂いと言ってもいい……。この保存状態のワインを飲ますとは、王のワインに対する侮辱。ひいてはこの国を支配するワシへの侮辱と捉えてもいい。おのれ、ボウ国の人間め! 王のワインでワシを釣り、クソ不味い王のワインを飲ませるとは、こんな屈辱受けた事がないわ!」
大魔王コサカは怒りのあまり手に持っていたグラスを握り潰す。
するとその時、大魔王コサカの目の前に勇者マコトが転移してきた。
「おい、大魔王コサカ! なぜ俺様がここに来たか分かるよなぁ!」
大凡、転移させたボウ国の国民達の件だろう。
丁度いい。
大魔王コサカは転移して早々、相当ブチ切れている勇者マコトにグラスを持たせワインを傾けると、パチンと指を鳴らし、サキュバスを数名召喚する。
「勇者マコトよ。まずはそこに座りこれを飲むがいい」
大魔王コサカ自らクソ不味いワインを傾けると、勇者マコトは不快な視線を向けてくる。
「ああ? テメェ、俺様をこんな事で懐柔できると思ったら大間違いだぞ……。ん、これ美味いな……」
大魔王コサカに注がれたワインを飲むと、一口で酔っ払い召喚したサキュバス達とイチャつきだした。
「マ、マジかコイツ……。ワシの城から美味いワインを根こそぎ奪っていったくせに、こんな保存状態の悪いワインを美味いと言うとは……。酒なら何でもいいというのか……」
大魔王コサカは、クソ不味いワインを注いだグラスを美味そうに口にする勇者マコトに憐みの視線を送ると、こんなクソ不味いワインを飲ませたボウ国の人間共に報復するべく≪大魔王眼≫でハジマリノ王国の隣国であるホロブ王国に向かう元ボウ国の国民達を眼下に収める。
「このワシにクソ不味いワインを飲ませたボウ国の国民めが……」
しかし、南極大陸とボウ国の支配権しか持っていない大魔王には、クソ不味いワインを飲ませたボウ国の国民に報復する事はできない。
大魔王コサカがボウ国の国民がホロブ王国に移動する姿を歯噛みして見ていると、良い事を思いついた。
「勇者マコト。このワインも飲んでみないか? このワインはボウ国にあるワインセラーに格納されていた優美で女性的な繊細さを持つワイン、バルバレストだ。ワインの女王と呼ばれるこのワイン。中々、口にする事はできんぞ!」
「ほぉう……。ワインの女王バルバレストかぁ! なかなかいい酒を出すじゃぁないか!」
なにを一丁前な事を言っている! 味も分からぬ愚か者め!
何が『中々良い酒を出すではぁないか!』だっ!
大魔王コサカは、酒に酔っぱらった勇者マコトのグラスに女王のワイン、バルバレストを傾けるとそれを飲むよう促す。
「さあ、勇者マコトよ。バルバレストの味を味わってみよ」
「うーるせぇなぁ! わかってるよ!」
大魔王コサカの言う通り、勇者マコトが保存状態が悪く不味くなってしまったワイン、バルバレストを口にすると笑顔でこう呟いた。
「くぅ~! このワインもくそ美味いな! このワインを造ったものは誰だ? 褒めてつかわす!」
本当は酔っ払った隙に勇者マコトをぶっ殺してやりたい所だが、ここで奴を殺してしまいこの世界を掌握できなくなってしまっては困る。
大魔王コサカは逸る気持ちを抑えると、勇者マコトに一つ助言をする事にした。
「今、貴様に飲ませたワインはボウ国の国民が育てたワインだ。どうだ? 美味かったであろう。こんな美味いワインを育てた国民に恩返しをしようとは思わぬか?」
大魔王コサカは勇者マコトがクソ不味いワインを残していったボウ国の国民に目を向けるよう言葉を噤む。
すると大魔王コサカの言葉に興味を示した勇者マコトが≪半神眼≫を発動させ、折角用意した食事と飲み物で争っているボウ国の国民達を眼下に収めた。
「ああ? 何だコイツら。俺様の善意を台無しにする気か?」
「水が足りていない様だな……。大量の雨を降らせてやってはどうだ?」
「あ? ああ、いいアイディアだな」
勇者マコトは大魔王コサカに言われた通り、天候を操作するとボウ国の国民達のいる場所に大量の雨を降らせた。
ボウ国を支配した大魔王コサカは、解き放った魔物が跋扈するボウ国の城にあるワインセラーに一人訪れると、付き人もつけずボウ国の王が愛するワインを物色していた。
「おおッ! これは王のワインにして、ワインの王と謳われる偉大な赤ワイン、バボーロではないか!」
大魔王コサカは、ワインセラーに置かれた王のワインを片手に取ると、どこからともなくグラスを取り出しバボーロのワインをグラスに傾ける。
「フハハハハッ! このワインこそワシに相応しいワインよ! 魔王城にあった秘蔵のワインは全て勇者マコトに奪われてしまったからな……。いや、そんな事はどうでもいい! さあ早速頂くとしよう」
バボーロのワインは、長期熟成に耐える重厚かつ深遠な味わいが特徴のワイン。その味わいは『王のワインにして、ワインの王』と称され、ワインラヴァーならば世界中の誰もがその偉大さを認め、憧れる最上級の赤ワインである。
大魔王コサカがボウ国を支配した記念に、バボーロのワインを口に傾けると、そのまま噴き出した。
「ぐぅぅ! な、なんだこの雨の日の段ボールの様な匂いは……。雑巾を陰干しにした匂いと言ってもいい……。この保存状態のワインを飲ますとは、王のワインに対する侮辱。ひいてはこの国を支配するワシへの侮辱と捉えてもいい。おのれ、ボウ国の人間め! 王のワインでワシを釣り、クソ不味い王のワインを飲ませるとは、こんな屈辱受けた事がないわ!」
大魔王コサカは怒りのあまり手に持っていたグラスを握り潰す。
するとその時、大魔王コサカの目の前に勇者マコトが転移してきた。
「おい、大魔王コサカ! なぜ俺様がここに来たか分かるよなぁ!」
大凡、転移させたボウ国の国民達の件だろう。
丁度いい。
大魔王コサカは転移して早々、相当ブチ切れている勇者マコトにグラスを持たせワインを傾けると、パチンと指を鳴らし、サキュバスを数名召喚する。
「勇者マコトよ。まずはそこに座りこれを飲むがいい」
大魔王コサカ自らクソ不味いワインを傾けると、勇者マコトは不快な視線を向けてくる。
「ああ? テメェ、俺様をこんな事で懐柔できると思ったら大間違いだぞ……。ん、これ美味いな……」
大魔王コサカに注がれたワインを飲むと、一口で酔っ払い召喚したサキュバス達とイチャつきだした。
「マ、マジかコイツ……。ワシの城から美味いワインを根こそぎ奪っていったくせに、こんな保存状態の悪いワインを美味いと言うとは……。酒なら何でもいいというのか……」
大魔王コサカは、クソ不味いワインを注いだグラスを美味そうに口にする勇者マコトに憐みの視線を送ると、こんなクソ不味いワインを飲ませたボウ国の人間共に報復するべく≪大魔王眼≫でハジマリノ王国の隣国であるホロブ王国に向かう元ボウ国の国民達を眼下に収める。
「このワシにクソ不味いワインを飲ませたボウ国の国民めが……」
しかし、南極大陸とボウ国の支配権しか持っていない大魔王には、クソ不味いワインを飲ませたボウ国の国民に報復する事はできない。
大魔王コサカがボウ国の国民がホロブ王国に移動する姿を歯噛みして見ていると、良い事を思いついた。
「勇者マコト。このワインも飲んでみないか? このワインはボウ国にあるワインセラーに格納されていた優美で女性的な繊細さを持つワイン、バルバレストだ。ワインの女王と呼ばれるこのワイン。中々、口にする事はできんぞ!」
「ほぉう……。ワインの女王バルバレストかぁ! なかなかいい酒を出すじゃぁないか!」
なにを一丁前な事を言っている! 味も分からぬ愚か者め!
何が『中々良い酒を出すではぁないか!』だっ!
大魔王コサカは、酒に酔っぱらった勇者マコトのグラスに女王のワイン、バルバレストを傾けるとそれを飲むよう促す。
「さあ、勇者マコトよ。バルバレストの味を味わってみよ」
「うーるせぇなぁ! わかってるよ!」
大魔王コサカの言う通り、勇者マコトが保存状態が悪く不味くなってしまったワイン、バルバレストを口にすると笑顔でこう呟いた。
「くぅ~! このワインもくそ美味いな! このワインを造ったものは誰だ? 褒めてつかわす!」
本当は酔っ払った隙に勇者マコトをぶっ殺してやりたい所だが、ここで奴を殺してしまいこの世界を掌握できなくなってしまっては困る。
大魔王コサカは逸る気持ちを抑えると、勇者マコトに一つ助言をする事にした。
「今、貴様に飲ませたワインはボウ国の国民が育てたワインだ。どうだ? 美味かったであろう。こんな美味いワインを育てた国民に恩返しをしようとは思わぬか?」
大魔王コサカは勇者マコトがクソ不味いワインを残していったボウ国の国民に目を向けるよう言葉を噤む。
すると大魔王コサカの言葉に興味を示した勇者マコトが≪半神眼≫を発動させ、折角用意した食事と飲み物で争っているボウ国の国民達を眼下に収めた。
「ああ? 何だコイツら。俺様の善意を台無しにする気か?」
「水が足りていない様だな……。大量の雨を降らせてやってはどうだ?」
「あ? ああ、いいアイディアだな」
勇者マコトは大魔王コサカに言われた通り、天候を操作するとボウ国の国民達のいる場所に大量の雨を降らせた。
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