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第22話 ボウ国完全掌握
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「フハハハハッ! 愚か全くもって愚かな事だ! のう、そう思うだろう勇者マコト?」
まるでハリネズミの様になった王族関係者を一瞥すると、背後に浮いている勇者マコトにそう呟く。
「お前なぁ……これは流石にやり過ぎだぞ?」
ハリネズミの様に矢が刺さった王族関係者の一人がかすれた声で呟く。
「……ゆ、勇者マコト……。死んだ筈では……。もしや、私達の事を助けに……?」
勇者マコトは、そう呟いた王族関係者の一人に視線を向けると、突き放す様に言葉を投げ掛ける。
「あっ? そんな訳ねーだろ。それに今の俺は勇者じゃなくてハジマリノ王国の大王だからよ……。何も知らず死にゆくお前達の事が可哀相になってきてな。なんでこんな事になっているのか教えに来てやったんだよ」
「……なっ。ど、どういう事だ……」
勇者マコトは、まだ辛うじて生きている王族関係者の一人の元に近付くと、満面の笑顔で呟いた。
「お前等が俺の国に送ってきた使者。名前何て言っていたかな? ああ、そうだそうだ。ザマールだ。そのザマールが魔物が出現しなくなり魔石が採れなくなってしまった為、補償をとか抜かしてきやがったんだよ」
「そ、それがどうした……。魔石が採れなくなったのだ……。ほ、補償を求めるのは当然の事だろう」
「お? お前意外と余裕があるな~? まあいいや。そう! だからだよ。魔王を討伐し魔物が出現しなくなった事が問題なんだろ? だからさ。俺が南極大陸に封印した大魔王コサカと交渉して、お前の国にだけ魔物を復活させてやったんだよ。まあ、大魔王コサカまで出現しちまったみたいだけど、良かったな。大魔王コサカを倒せばとんでもない大きさの魔石が採れるぞ?」
勇者マコトの言葉を聞いた王族関係者の一人は、目を大きく見開いた。
「だ、大魔王コサカと交渉だと……。そ、そんな事許される訳がない。反逆……。これは全人類に対する反逆行為だぞ! ゲホッ、ゴホッ!」
「反逆行為? 何を言っている。元はといえばお前達が悪いんだぞ? 俺は勇者として、ちゃんと大魔王コサカから南極大陸を除く世界の支配権を獲得した。一度は世界を救ったんだ。わかるか? お前達が俺の国に対して補償だ何だと言わなければ、俺は大魔王コサカと交渉する事もなかったんだぞ?」
「……だ、だとしてもっ」
「だとしてもなんだ? どちらにしろこの国が亡ぶ事はもう確定事項。俺にはどうしようもない事だ。それに元々、ハジマリノ王国と貴国は戦争状態にある。お前達の国がどうなろうが知った事ではない」
勇者マコトのその言葉に王族関係者は絶望的な表情を浮かべる。
「……戦争の事など聞いていない。……私等は聞いていないぞッ」
「ん? じゃあ、そこにいる3万の軍勢はなんだ? お前らの事だ。すぐに戦争出来る様、国境沿いにでも配置していたんじゃないか? 使者のザマールも随分と喧嘩腰だったしな」
「知らない! ゲホッ、ゲホッ! ……私達は知らなかったんだ! 貴国と戦争なんて……クペッ」
王族関係者の一人が必死の弁明をしようと声を上げると、王族関係者の一人を足蹴にし大魔王コサカが話に割り込んできた。
「ワシの事を無視するとはいい度胸ではないか。まあ、そんな事はどうでも良い。勇者マコト……貴様、ワシの国に何をしに来た」
「ん? 言ったじゃねーか。何も知らずに死にゆく王族関係者が可哀相になったから理由を教えに来てやったてよ」
「ほう。では用事は済んだな。ここは今よりワシの国よ。ワシのする事に口出しするのではないぞ」
「ああ、わかっているよ。じゃーな」
勇者マコトはそう呟くと、転移魔法でハジマリノ王国へと帰還する。
「フハハハハッ! 本当にそれだけの為に転移魔法でここまで来た様だな」
正直、また何か余計な事をしに来たのではないかと冷や冷やしたが、杞憂に終わった様だ。
「ん?」
大魔王コサカが王族関係者に視線を向けると、既に全員が絶命していた。
「なんという事だ。こんなに早く死んでしまうとは……。やはり人間は脆い生き物だな……。いや、勇者マコトも人間だったような……。いや、あ奴は違うか……人間というより悪魔といった方がしっくりくるわ。さあ、ボウ国の支配もクライマックスだ」
大魔王コサカは王族関係者に魔法をかけ、絶命した彼等を忠実なアンデッドに変えていく。
そして、大規模転移魔法を唱えるとボウ国にいた人間全てをハジマリノ王国付近へと転移させた。
「これでよし。ワシを雑に扱った償いに一国分の人間全員を送り込んでやったわ! クハハハハハハッ! これで暫くの間、このワシに余計な茶々を入れる事はできまい! さて、魔王城に避難させた魔物共を放ってやらねばな……魔王城召喚!」
大魔王コサカが手を広げそう呟くと、魔王城が召喚された。
そして中から沢山の魔物が飛び出してくる。
「フハハハハッ! 国土は狭いが魔物達を放つには丁度良い大きさよ。南極大陸は寒かったからの。暫くの間、ワシもここに住むとするか! フハハハハッ!」
ボウ国を完全掌握した大魔王コサカは、高笑いを上げた。
まるでハリネズミの様になった王族関係者を一瞥すると、背後に浮いている勇者マコトにそう呟く。
「お前なぁ……これは流石にやり過ぎだぞ?」
ハリネズミの様に矢が刺さった王族関係者の一人がかすれた声で呟く。
「……ゆ、勇者マコト……。死んだ筈では……。もしや、私達の事を助けに……?」
勇者マコトは、そう呟いた王族関係者の一人に視線を向けると、突き放す様に言葉を投げ掛ける。
「あっ? そんな訳ねーだろ。それに今の俺は勇者じゃなくてハジマリノ王国の大王だからよ……。何も知らず死にゆくお前達の事が可哀相になってきてな。なんでこんな事になっているのか教えに来てやったんだよ」
「……なっ。ど、どういう事だ……」
勇者マコトは、まだ辛うじて生きている王族関係者の一人の元に近付くと、満面の笑顔で呟いた。
「お前等が俺の国に送ってきた使者。名前何て言っていたかな? ああ、そうだそうだ。ザマールだ。そのザマールが魔物が出現しなくなり魔石が採れなくなってしまった為、補償をとか抜かしてきやがったんだよ」
「そ、それがどうした……。魔石が採れなくなったのだ……。ほ、補償を求めるのは当然の事だろう」
「お? お前意外と余裕があるな~? まあいいや。そう! だからだよ。魔王を討伐し魔物が出現しなくなった事が問題なんだろ? だからさ。俺が南極大陸に封印した大魔王コサカと交渉して、お前の国にだけ魔物を復活させてやったんだよ。まあ、大魔王コサカまで出現しちまったみたいだけど、良かったな。大魔王コサカを倒せばとんでもない大きさの魔石が採れるぞ?」
勇者マコトの言葉を聞いた王族関係者の一人は、目を大きく見開いた。
「だ、大魔王コサカと交渉だと……。そ、そんな事許される訳がない。反逆……。これは全人類に対する反逆行為だぞ! ゲホッ、ゴホッ!」
「反逆行為? 何を言っている。元はといえばお前達が悪いんだぞ? 俺は勇者として、ちゃんと大魔王コサカから南極大陸を除く世界の支配権を獲得した。一度は世界を救ったんだ。わかるか? お前達が俺の国に対して補償だ何だと言わなければ、俺は大魔王コサカと交渉する事もなかったんだぞ?」
「……だ、だとしてもっ」
「だとしてもなんだ? どちらにしろこの国が亡ぶ事はもう確定事項。俺にはどうしようもない事だ。それに元々、ハジマリノ王国と貴国は戦争状態にある。お前達の国がどうなろうが知った事ではない」
勇者マコトのその言葉に王族関係者は絶望的な表情を浮かべる。
「……戦争の事など聞いていない。……私等は聞いていないぞッ」
「ん? じゃあ、そこにいる3万の軍勢はなんだ? お前らの事だ。すぐに戦争出来る様、国境沿いにでも配置していたんじゃないか? 使者のザマールも随分と喧嘩腰だったしな」
「知らない! ゲホッ、ゲホッ! ……私達は知らなかったんだ! 貴国と戦争なんて……クペッ」
王族関係者の一人が必死の弁明をしようと声を上げると、王族関係者の一人を足蹴にし大魔王コサカが話に割り込んできた。
「ワシの事を無視するとはいい度胸ではないか。まあ、そんな事はどうでも良い。勇者マコト……貴様、ワシの国に何をしに来た」
「ん? 言ったじゃねーか。何も知らずに死にゆく王族関係者が可哀相になったから理由を教えに来てやったてよ」
「ほう。では用事は済んだな。ここは今よりワシの国よ。ワシのする事に口出しするのではないぞ」
「ああ、わかっているよ。じゃーな」
勇者マコトはそう呟くと、転移魔法でハジマリノ王国へと帰還する。
「フハハハハッ! 本当にそれだけの為に転移魔法でここまで来た様だな」
正直、また何か余計な事をしに来たのではないかと冷や冷やしたが、杞憂に終わった様だ。
「ん?」
大魔王コサカが王族関係者に視線を向けると、既に全員が絶命していた。
「なんという事だ。こんなに早く死んでしまうとは……。やはり人間は脆い生き物だな……。いや、勇者マコトも人間だったような……。いや、あ奴は違うか……人間というより悪魔といった方がしっくりくるわ。さあ、ボウ国の支配もクライマックスだ」
大魔王コサカは王族関係者に魔法をかけ、絶命した彼等を忠実なアンデッドに変えていく。
そして、大規模転移魔法を唱えるとボウ国にいた人間全てをハジマリノ王国付近へと転移させた。
「これでよし。ワシを雑に扱った償いに一国分の人間全員を送り込んでやったわ! クハハハハハハッ! これで暫くの間、このワシに余計な茶々を入れる事はできまい! さて、魔王城に避難させた魔物共を放ってやらねばな……魔王城召喚!」
大魔王コサカが手を広げそう呟くと、魔王城が召喚された。
そして中から沢山の魔物が飛び出してくる。
「フハハハハッ! 国土は狭いが魔物達を放つには丁度良い大きさよ。南極大陸は寒かったからの。暫くの間、ワシもここに住むとするか! フハハハハッ!」
ボウ国を完全掌握した大魔王コサカは、高笑いを上げた。
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