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眠れない。替え玉までしてお腹は満たされて風呂にも入ったはずなのに。いつもは何も考えずとも眠りにつけるのに、今もなお、眠気はあるはずなのに。
(しんどい…)
未だ収まらない動悸を抱えたまま、リビングのソファに座った。もうとっくに2時を過ぎている。早く寝ないといけないのに、拭えない不安感が邪魔をして頭も少し痛い。
「ぁれ、ぁ、っぁっ、」
まただ。さっきのやつ、来た。
「っひゅぅ、っか、は…」
どんどん視界が白くなって霧がかかっていって。命に別状は無いって分かっていても苦しいし怖い。ソファから転げ落ち、今日の昼みたいに蹲る。
「っ、っっ!!、っふぁ、」
苦しい。苦しくて苦しくて涎が出てくる。押さえた手はべちゃべちゃに濡れて、頭がフラフラ揺れて。
「ぁ、っ、は、く、いき、はく、」
唱えるように声に出して、不格好ながらに息を吐き出す。ビクビクと体は痙攣し、力が入らない。
「っは…っふ…ぁ……………ふぅ~~…」
疲れた。頭痛い。ガンガンする。指先まで血液が流れているのが分かって、ビリビリとした痺れが襲った。
「……………あっ、ぁあっ!!!!」
また。まただ。下半身があったかい、そう思ったらまた、意に反して小便が出てる。
「っふ、っくぅ…」
慌ててソコを掴むも、無慈悲に指の間をすり抜けてどんどんこぼれてゆく。やっと止まった、そう思った頃にはカーペットに大きなシミが浮かんだ後だった。
(またやっちゃった…)
ジワリと涙が浮かぶ。こんな短時間に2回も。もうやだ。自分の体、変になった。片付けないと、その一心で、焦って、焦り散らかして。
風呂場に引きずって持っていく。洗濯機には当然入らない。引き攣った、一言でも喋ったら泣いてしまいそうな息のままとにかくシャワーを汚れた部分に当てる。分かんない。どうやったら綺麗になるのかも、どうすれば良いのかも。
「…なる?まだ起きてんの?」
あ、バレる。シャワーを慌てて止めるが体は固まって動かない。使えそうな言い訳も思いつかない。泣きそうでまた苦しくなりそう。
「なる?どした?」
目が合った。浴室、見られた。
「ぁ、あ…ぅ、」
怒られる。叩かれる。痛いの嫌だ、怖いの嫌だ。
あ、またおしっこ出てる。また漏らした。カーペット、また汚した。
「っひ、」
目の前に座った。手が上がった。怖い。やめて。おねがい、もうしないから。
じゅううううう…と間抜けな音だけが響く。
「ぁ、あ、あああ、」
全部出し切っちゃった。体がふるりと震えた。
「ぁ、ごめ、なさ、」
「また息苦しくなっちゃった?」
背中を何度かさすられて、お腹も軽くポンポンと叩かれて。
「体流しておいで。お風呂沸かす?」
「…いい、」
「ん、着替え外置いとくね」
「ぁ、ぅ、」
全身の力が抜けた。こんなに粗相をしたのに怒られなかった。そのことにまた安心して、でも不安になって。俺の事、嫌いになったかな。汚されたくないから出てけって後で言われるかな。ぐるぐるぐるぐる。シャワー、一生浴びておきたい。光輝さんに会いたくない。逃げてしまいたい。
「あ、さっぱりした?」
「…うん、あのさ、」
「そんな所立ってたら寒いでしょ。こっちおいで」
手招きされるままに光輝さんのそばに寄る。相変わらず顔は見れない。
「…弁償するから、」
「え、良いよそんなん。それより大丈夫?やっぱ体しんどい?」
「…ごめんなさい、汚いの、今度からはしない、」
「いや、別に怒ってないよ?俺」
無理矢理ソファに座らせられて、目の前のマグカップを持たされて。
「心配してるの。ほら過呼吸ってさ、体とか心がしんどい時になるものだから。慣れない生活でストレス溜まってるのかなって」
カップは温かい。そして少しだけ甘い匂いがする。
「…牛乳?」
「ホットミルク。少しだけ砂糖入れた。牛乳無理だっけ」
静かに首を振って一口こくりと飲んだ。飲んだ瞬間、涙がこぼれた。
「どしたどした?」
背中を摩る手に、涙を拭う指に胸がきゅうと鳴る。こんなに優しくされた事がなくて、なんだか申し訳なくって。
「びっくりしたね。手痺れてない?」
「ん゛、」
あったかい。カップを持った手のひらも、毛布をかけてもらった体も。
「ほんとに゛、おこってない、?」
引き攣った声で、情けなく呟いた。
「怒ってないよ。体調のことなんだからしょうがないじゃん」
「っ゛~、」
「今日学校から帰ってきたのも本当はしんどかったんでしょ」
何かあった?優しくそう聞かれるけど、こんな事聞かれた事がなかったから、上手く返せない。
「慣れない生活で無理させちゃったね。俺鈍感だからさ。気づけなかった」
違う。そんな事ない。そう言いたいのに涙が邪魔して首を振ることしかできない。
「ねれ、なか、た、」
「疲れちゃったね。明日は学校おやすみしよっか」
「ん゛、」
(しんどい…)
未だ収まらない動悸を抱えたまま、リビングのソファに座った。もうとっくに2時を過ぎている。早く寝ないといけないのに、拭えない不安感が邪魔をして頭も少し痛い。
「ぁれ、ぁ、っぁっ、」
まただ。さっきのやつ、来た。
「っひゅぅ、っか、は…」
どんどん視界が白くなって霧がかかっていって。命に別状は無いって分かっていても苦しいし怖い。ソファから転げ落ち、今日の昼みたいに蹲る。
「っ、っっ!!、っふぁ、」
苦しい。苦しくて苦しくて涎が出てくる。押さえた手はべちゃべちゃに濡れて、頭がフラフラ揺れて。
「ぁ、っ、は、く、いき、はく、」
唱えるように声に出して、不格好ながらに息を吐き出す。ビクビクと体は痙攣し、力が入らない。
「っは…っふ…ぁ……………ふぅ~~…」
疲れた。頭痛い。ガンガンする。指先まで血液が流れているのが分かって、ビリビリとした痺れが襲った。
「……………あっ、ぁあっ!!!!」
また。まただ。下半身があったかい、そう思ったらまた、意に反して小便が出てる。
「っふ、っくぅ…」
慌ててソコを掴むも、無慈悲に指の間をすり抜けてどんどんこぼれてゆく。やっと止まった、そう思った頃にはカーペットに大きなシミが浮かんだ後だった。
(またやっちゃった…)
ジワリと涙が浮かぶ。こんな短時間に2回も。もうやだ。自分の体、変になった。片付けないと、その一心で、焦って、焦り散らかして。
風呂場に引きずって持っていく。洗濯機には当然入らない。引き攣った、一言でも喋ったら泣いてしまいそうな息のままとにかくシャワーを汚れた部分に当てる。分かんない。どうやったら綺麗になるのかも、どうすれば良いのかも。
「…なる?まだ起きてんの?」
あ、バレる。シャワーを慌てて止めるが体は固まって動かない。使えそうな言い訳も思いつかない。泣きそうでまた苦しくなりそう。
「なる?どした?」
目が合った。浴室、見られた。
「ぁ、あ…ぅ、」
怒られる。叩かれる。痛いの嫌だ、怖いの嫌だ。
あ、またおしっこ出てる。また漏らした。カーペット、また汚した。
「っひ、」
目の前に座った。手が上がった。怖い。やめて。おねがい、もうしないから。
じゅううううう…と間抜けな音だけが響く。
「ぁ、あ、あああ、」
全部出し切っちゃった。体がふるりと震えた。
「ぁ、ごめ、なさ、」
「また息苦しくなっちゃった?」
背中を何度かさすられて、お腹も軽くポンポンと叩かれて。
「体流しておいで。お風呂沸かす?」
「…いい、」
「ん、着替え外置いとくね」
「ぁ、ぅ、」
全身の力が抜けた。こんなに粗相をしたのに怒られなかった。そのことにまた安心して、でも不安になって。俺の事、嫌いになったかな。汚されたくないから出てけって後で言われるかな。ぐるぐるぐるぐる。シャワー、一生浴びておきたい。光輝さんに会いたくない。逃げてしまいたい。
「あ、さっぱりした?」
「…うん、あのさ、」
「そんな所立ってたら寒いでしょ。こっちおいで」
手招きされるままに光輝さんのそばに寄る。相変わらず顔は見れない。
「…弁償するから、」
「え、良いよそんなん。それより大丈夫?やっぱ体しんどい?」
「…ごめんなさい、汚いの、今度からはしない、」
「いや、別に怒ってないよ?俺」
無理矢理ソファに座らせられて、目の前のマグカップを持たされて。
「心配してるの。ほら過呼吸ってさ、体とか心がしんどい時になるものだから。慣れない生活でストレス溜まってるのかなって」
カップは温かい。そして少しだけ甘い匂いがする。
「…牛乳?」
「ホットミルク。少しだけ砂糖入れた。牛乳無理だっけ」
静かに首を振って一口こくりと飲んだ。飲んだ瞬間、涙がこぼれた。
「どしたどした?」
背中を摩る手に、涙を拭う指に胸がきゅうと鳴る。こんなに優しくされた事がなくて、なんだか申し訳なくって。
「びっくりしたね。手痺れてない?」
「ん゛、」
あったかい。カップを持った手のひらも、毛布をかけてもらった体も。
「ほんとに゛、おこってない、?」
引き攣った声で、情けなく呟いた。
「怒ってないよ。体調のことなんだからしょうがないじゃん」
「っ゛~、」
「今日学校から帰ってきたのも本当はしんどかったんでしょ」
何かあった?優しくそう聞かれるけど、こんな事聞かれた事がなかったから、上手く返せない。
「慣れない生活で無理させちゃったね。俺鈍感だからさ。気づけなかった」
違う。そんな事ない。そう言いたいのに涙が邪魔して首を振ることしかできない。
「ねれ、なか、た、」
「疲れちゃったね。明日は学校おやすみしよっか」
「ん゛、」
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