ご飯中トイレに行ってはいけないと厳しく躾けられた中学生

こじらせた処女

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「おれが、失敗しちゃったから悪いんです」
ソファの上でマグカップを握りながら、志之はそう言った。
 なまじ幼稚園の頃から他の人より何でもできた志之。さらに、好き嫌いだったり欲しい物ねだりだったり、あまり我儘を言わない、大人しい性格。でも、あの厳しさで反抗しないっていうのは相当ストレスが溜まるだろう。実際俺は泣き喚いて、叫んで、反発して、そんでこんな風になっちゃったけど。確かにあの頃、俺はめちゃくちゃ怒られるのに、何で志之はって思ったっけ。まあ俺とは比べ物にならない程にいい子だった、我慢強かった、それだけなんだけど。
 それが、たった一回。幼稚園の頃、トイレが間に合わなかっただけで。
「友達の家で、しちゃって…母さん、それからもっときびしくなって…といれ以外も、失敗するの、全部こわくて、」
失敗したら、そのまま風呂場に連れて行かれて冷水をぶっかけられる、だとか、テストの点が悪かったら叩かれる、とか。俺が家に居た時期にもあったと聞いて、ゾッとした。
「ごめん…俺あん時すっげえグレてたから…」
「いや、志貴さん部活で帰ってくるの遅かったし、そこまでひどくなかったから…でも、高学年になったら成績とか、下がってきちゃって…ほんとはそんなに頭、よくなくて…だから、母さん、ずっと機嫌わるくて…」
 もうしんどい、そう呟いた瞬間、ごめんなさいと謝られる。きっと今まで、弱音を吐けなかったんだろう。初めて会った時のあのぎこちなさの原因が分かった気がする。
「志貴さん来てから…すごく、息しやすくて、だから…気が抜けちゃって、…おもらし、しちゃって…」
ぽつり、ぽつり。ゆっくり、ゆっくり。志之はゆっくりと悩みを呟いていく。


「…ぁっ、」
志之の持っていたマグカップが手から離れて、残ったお茶が服を濡らす。
「ごめ、なさ、ぼーっとしちゃって、」
「んーん。眠い?」
「いえ…」
そう否定はするも、目は半分閉じかけて、体もゆらゆらと揺れて。ついには俺の肩にもたれかかってしまう。
「布団いく?」
問いかけるも、返事がない。
『志貴さんがきてから…すごく、息がしやすくて…』
思い出して、顔が綻ぶ。普通の兄弟みたいにとはいかないけど、少しだけ、心を許してくれたってことなのだろうか。いつかは名前じゃなくて、敬語じゃなくて、お兄ちゃんって呼んでくれるだろうか。
 ちゃんと、兄と弟になれるだろうか。
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