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3.出逢い時々戦闘中
しおりを挟む腰に1本の刀を刺し、慣れた足取りで森を突き進む。
ライトがこの街に来て5年、既に彼はこの街一番の凄腕となっていた。
「南部、この辺りか。」
周りを見渡すと確かに真新しい戦闘あとがある。
ドカーン!
突然、森の奥で爆音が響き渡る。
「何だ!!」
ライトは迷わず音の方に突き進む。
爆音が、鳴ったと思われる場所には見覚えのない2人が睨み合っていた。
この街の人間であればほぼ全て把握出来ているが、この2人に見覚えは無い。正確には顔が見えるのは1人だけなのでもう1人は分からない。
木の影へと隠れ、気配を完全に消しの様子を見る。
そこではフードを被った人物と軍服を着込んだ集団が睨み合っている。
フードの人物からは何故か懐かしさを感じる。
他より少し派手な軍服を着た男がローブの人物にちかずく。
「姫!もうこんなお遊びはおやめ下さい!王もあなたの帰りをお待ちしておりますよ。」
王?姫?何の話だ?
「シュバルツ、私は言ったはずです。いらないと。」
ローブから女性の凛とした声が響く。
その声を聞くとやはり懐かしさを覚えてしまう。
「はぁ、わがままここに極まれりですね。コレは貴方様の為でもかあるのですよ?」
そういう男には、本当に彼女を心配するという雰囲気を感じる。
「分かりました。少し手荒になりますよ。」
シュバルツと呼ばれた男が手を伸ばすとそこには影の腕が伸び、フードの女を襲う。
「あれは、魔者の!!!」
その腕は魔者が使う影の腕に酷似、いや全く同じものに見える。
「危ない!!!」
体が勝手に動いていた。
俺はフードの女の前に飛び出し影の腕を切り払う。
「「貴方は!!?」」
軍服の男とフードの女の声が重なる。
「貴方はまさか!いえ、今はあなたに用はありません。その女性を渡してくれませんかライトさん。」
名乗ってもいないのに俺の名を呼ぶ男。
「お前何者だ?何故魔者の腕を使える?」
男はイライラとした雰囲気をもらしながら俺に話しかける。
「質問の答えになって居ませんよ。渡すのですか?それとも、」
密かに近づく影の腕を切り払う。
「それが答えですか。分かりました。少し予定と変わりますが良いでしょう。」
男の目つきが変わり全身に影がまとわりつき、数十本の影の手がこちらに向かって吹きだした。
「2人まとめて来て貰いますよ!!!」
数十本の影の手はこちらへ敵意をもって襲いかかってきた。
それを出来るだけ切り払う。
フードの女もいつの間にか手には刀が握られており、こちらもライトに負けず劣らずの剣技で影の腕をきり払っていく。
「良い腕だ。助ける必要はなかったか?」
「いえ、会えてよかった。貴方はなぜここに?」
会えて良かった?どうゆう意味だ?
疑問を飲み込み質問に答える。
「森南部に魔者の情報が出てな少し偵察に来てたんだが、まさかこんな人間魔者にあうなんてな!」
そんな会話をしながら2人は腕を切り払い続ける。
初対面のはずなのに2人のコンビネーションはずっと共に居た友のようにピッタリあっている。
何故か相手の次の行動が完璧にわかるのだ。
まさに長年連れ添った相棒のように。
「さて、そろそろ終わらせるかこの人間魔者を。」
「はい。私も私の目的の為に、あなたを切りましょう。」
そう俺たちが言うと魔者の男はブチ切れる。
「手加減していればつけ上がりやがって!!!調子にのるなよ!」
影の手の数が倍に膨れ上がる。その数は100に届きそうなほどだ。
「私が隙を作ります。」
「おう!」
そう言うとフードの女は刀を鞘へとしまい抜刀の構えを取り影の腕へと駆け出していく。
「抜刀一閃!」
影の腕が2人を完全に包囲するが。
女の魔力が刀へと凝縮されていく。
「閃乱輝夜!!!」
影の腕が完全に消し飛ぶ。切り払われるなどの次元ではなく本当に霧のように完全に消滅させられる。
「なっ!!?」
腕が消滅した瞬間それを確信していたようにライトが駆け出しシュバルツに肉薄する。
シュバルツは一瞬驚愕の表情を浮かべ動揺をみせるが直ぐに迎撃の構えをとる。
「舐める!!!」
シュバルツは自らの腕にも影の腕をまとわりつかせ、腕そのものを異形にかえライトを真っ二つに切り裂いた。
切り裂いたようにみえたが手応えがまったくなかった。
ドスン。
「な!?」
シュバルツの背後から心臓を刀が貫いていた。
「ごふっ、まさか、ま、魔力をこれほどまでに。」
刺されるまで気配を全く感じなかった。
いや気配も姿も目の前に感じていたはずだ。
何故背後に?
「幻舞 水面月。」
「こんな所で。こんな所で!折角この体を!!!」
刀を横に切り払われトドメをさす。
「ふぅ、コレで終わりだ。」
シュバルツが切り払われその体は光の粒子となり空へと返っていく。
「結局この魔者は何だったんだ。説明してもらうぞ。」
ライトはそう言いフードの女に問いかけるが、さっきまでいたはずのその場所には気配すら残さず消え去っていた。
ライトが油断した訳でも、目を離した訳でもなく、突然空気に解けるように消え去っていた。
恐らくは魔力で気配と姿を空間に投影し、その隙に逃げ出したのだろう。
まさに絶技。
ライトが今見せた水面月以上の練度の魔力操作である。
先程の腕をきり払った技といい、彼女の魔力技術はライトの想像を遥かに超えていた。
「まさか逃げられたか。」
これほど彩やかに逃げられるとは思っていなかったので、ジワジワと悔しさが込み上げる。
「だけど、また会えそうな気がするな。」
逃げ出されたのに何故か悪い気がしない。いや、何故か彼女を憎めないのである。
何の根拠も無いそんな予感にみたされていた。
☆☆☆
気配を完全に絶ち森の中を進み身を隠す。
フードの女はライトについて思い出す。
「まだ、貴方と出会う訳には行かないわ。けど必ず、また。」
そう発する顔は辛そうに歪み、声は少し震えていた。
消え入りそうなそんな声が森の闇に姿と共にとけていく。
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