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騒がしい朝と人間観察
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朝起きてからもう既に日が昇り、宿屋の周囲は早朝の比ではないくらい騒がしい。
各々背中に武器を背負い皆門に向かって歩いている。
主にドワーフの集団のようだが、その中に混じって獣人やエルフ、魔族などの他種族も混じっている。
種族によって持つ武器が違うようで、エルフは弓矢を持っている者が多い様子だった。
外を観察しているとあっという間に時間が過ぎていった。
元々シンジュは1人で隔離されていたため、1人で過ごすことが苦ではない。学院入学前は塔の窓からぼーっと外を眺めて何十時間も動物観察をし暇をつぶしていた。
学院入学後は図書室で過ごすことが多かったが混雑している時は人間観察をし、家では学べない上位貴族の所作を盗み見て取得したのである。
今日もかれこれ起きてから6時間は経過していた。
ただ早起きだったため、まだ10時を回ったあたりだ。
シンジュはひたすら人間観察をしていた。
『あの獣人さん顔はライオンだけど身体はトラ?ミックス的な感じかな?あまり違和感な異組み合わせだけど、他にもいるのかな?』
『あれ?あっちは魔族?角がトルネードのように渦が巻いてる。ピンクの渦がおっしゃれ。』
『こっちはへ?亀?亀獣人??そんなものがいるの?』
と楽しく観察していたのだった。
それから正午前に突然コンコンコンッと扉がなった。慌てて立ち上がり、扉をそーっと開けると宿屋の受付で対応をしてくれたドワーフがいた。
「貴方達朝食を食べに来てなかったけれど大丈夫かしら?今日はほとんどのドワーフが祭りに参加しているから外の店はやってないわよ。夕食はいつでも来ていいからね。」
「ありがとうございます。夕食には伺わせていただきます。」
「分かったわ。あと貴方達パンダの知り合いはいないかしら?パンダの友達が子供を探しているみたいでね、貴方達と思ったのだけれど?」
「私達にパンダの知り合いはいないです。それと私は成人してますよ。」
「あら?そうだったの。分かったわ。じゃあ夜に待ってるわね。」
バタンッ
扉が閉まったところを見つめながら、先程のは何だったのだろうか?パンダの知り合いなんて1人もいないけれど、、、もしかして祖国の関係者?嫌だな。と思わず俯いていると「シンジュ様?」と声が聞こえ振り向くと、上体を起こしたエメが泣きそうな顔でこちらを見つめていた。
「どうしたの?」と思わず駆け寄ると、
「ぉ、きたら、いなぐで、ずでられたとおもっだッグスン」とポロポロ涙を流した。
うわぁぁまた軽率な行動をして不安にさせてしまった····「ごめんね。今宿屋の方に呼ばれて扉の前で話していただけだよ。絶対に置いていかないから安心してね。」
ゔんと頷きようやく涙が止まった。
エメは破れた服の袖でゴシゴシ涙を拭き、目元が真っ赤になった。すかさずシンジュが目元を冷やし赤みが引くのを待った。
その間エメの様子を観察していると、昨日と容姿が変わった?ような気がしたがこの時は特に気にせず、何も言わなかった。後日大変身をすることになる。
「目元が落ち着いたからお昼ご飯を食べようか?」
うんと頷いた。
「お昼は昨日の串焼きでいいかな?フルーツもたくさんあるからね。」
それから2人は1日ぶりのご飯を食べた。
串焼きは香草の風味のお陰で肉の臭みが抑えられていた。そのため食べることが出来たが、1個でお腹がいっぱいとなり残り2つをエメにあげた。エメはそれでも足りなさそうだったのでフルーツを山盛りあげた。
各々背中に武器を背負い皆門に向かって歩いている。
主にドワーフの集団のようだが、その中に混じって獣人やエルフ、魔族などの他種族も混じっている。
種族によって持つ武器が違うようで、エルフは弓矢を持っている者が多い様子だった。
外を観察しているとあっという間に時間が過ぎていった。
元々シンジュは1人で隔離されていたため、1人で過ごすことが苦ではない。学院入学前は塔の窓からぼーっと外を眺めて何十時間も動物観察をし暇をつぶしていた。
学院入学後は図書室で過ごすことが多かったが混雑している時は人間観察をし、家では学べない上位貴族の所作を盗み見て取得したのである。
今日もかれこれ起きてから6時間は経過していた。
ただ早起きだったため、まだ10時を回ったあたりだ。
シンジュはひたすら人間観察をしていた。
『あの獣人さん顔はライオンだけど身体はトラ?ミックス的な感じかな?あまり違和感な異組み合わせだけど、他にもいるのかな?』
『あれ?あっちは魔族?角がトルネードのように渦が巻いてる。ピンクの渦がおっしゃれ。』
『こっちはへ?亀?亀獣人??そんなものがいるの?』
と楽しく観察していたのだった。
それから正午前に突然コンコンコンッと扉がなった。慌てて立ち上がり、扉をそーっと開けると宿屋の受付で対応をしてくれたドワーフがいた。
「貴方達朝食を食べに来てなかったけれど大丈夫かしら?今日はほとんどのドワーフが祭りに参加しているから外の店はやってないわよ。夕食はいつでも来ていいからね。」
「ありがとうございます。夕食には伺わせていただきます。」
「分かったわ。あと貴方達パンダの知り合いはいないかしら?パンダの友達が子供を探しているみたいでね、貴方達と思ったのだけれど?」
「私達にパンダの知り合いはいないです。それと私は成人してますよ。」
「あら?そうだったの。分かったわ。じゃあ夜に待ってるわね。」
バタンッ
扉が閉まったところを見つめながら、先程のは何だったのだろうか?パンダの知り合いなんて1人もいないけれど、、、もしかして祖国の関係者?嫌だな。と思わず俯いていると「シンジュ様?」と声が聞こえ振り向くと、上体を起こしたエメが泣きそうな顔でこちらを見つめていた。
「どうしたの?」と思わず駆け寄ると、
「ぉ、きたら、いなぐで、ずでられたとおもっだッグスン」とポロポロ涙を流した。
うわぁぁまた軽率な行動をして不安にさせてしまった····「ごめんね。今宿屋の方に呼ばれて扉の前で話していただけだよ。絶対に置いていかないから安心してね。」
ゔんと頷きようやく涙が止まった。
エメは破れた服の袖でゴシゴシ涙を拭き、目元が真っ赤になった。すかさずシンジュが目元を冷やし赤みが引くのを待った。
その間エメの様子を観察していると、昨日と容姿が変わった?ような気がしたがこの時は特に気にせず、何も言わなかった。後日大変身をすることになる。
「目元が落ち着いたからお昼ご飯を食べようか?」
うんと頷いた。
「お昼は昨日の串焼きでいいかな?フルーツもたくさんあるからね。」
それから2人は1日ぶりのご飯を食べた。
串焼きは香草の風味のお陰で肉の臭みが抑えられていた。そのため食べることが出来たが、1個でお腹がいっぱいとなり残り2つをエメにあげた。エメはそれでも足りなさそうだったのでフルーツを山盛りあげた。
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