前世の記憶さん。こんにちは。

満月

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鉱山ギルド

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ご飯を食べた後これからどうするのか···シンジュは悩んでいた。鉱山都市には2.3日ぐらいは泊まる予定ではあるが、周辺状況が分からずその後の見通しを立てられずにいた。
そのため食後に少し休息をとった後、街に出て情報収集をすることにした。

「エメ君そろそろ街の様子を確認しに行こうか?」


「わかった。トイレいく。」
ドッタバッタと洗面所まで走っていた。そんなに慌てなくても大丈夫なのになと思いつつも、先程のやり取りを思い出した。

宿屋に入ってすぐに2人して寝てしまったため、エメが何を知っていて何を知らないのか調べるために部屋の中を散策した。

するとエメはトイレも使ったことがなかった。今まではどうしたの?と聞いてみると「里の裏山近く」と言っていた。

竜人族が野生的なのか、それともエメが常識を知らなさすぎるのか分からなくなった。
いくら家族に嫌われていた私でもトイレはあった。風呂場はないがシャワールームがあり、いつでも使える状況だった。
ただし仮に私に魔力が無かったら使えなかった···全て家にあるものは魔力(魔道具)で動いていたため、魔力がなかったらエメと同じ状況になっていたかもしれない。

つくづく祖国もだが、この国の宿もほぼ部屋にある物全てが魔道具を利用しているため魔力がない者には『生きづらい』世界だと感じた。
幸いエメの場合は魔力がある。ただ知らなかったというだけだったので、これから魔法の使い方を教えていけば大体の問題が解決しそうだ。更にエメ本人も新しいことを学ぶのが嬉しいようで、学んだことを1つ1つ繰り返し言葉に出して覚えている。

学ぶことが苦でなければ色んな知識が身につきそうで、将来楽しみだと感じた。

また教えた言葉は必ず覚えるので『賢い大人になるのでは?』と出会ったばかりなのに姉バカ炸裂中である。

ジャージャー蛇口から水が出ている音が聞こえ、「おわった!!」と元気よく洗面所から全速力で戻ってきたエメはスッキリした顔で「僕できました」って···報告が可愛すぎる。
お姉さんはエメを褒めて伸ばそうと思いました。


それから2人揃って宿屋を出て街中の散策を行った。
昨日と違いランタンの輝きはないが、それでも建物に圧倒された。
岩肌に沿って建てられた建物がまるで岩から飛び出したかのような作りになっている。『見ているだけで楽しい!!!』さらに昨日や今朝と違い歩いている人がほとんどいない。

カンカンカンと響いていた鉱山の音も聞こえず、シーンと静まり返っている。
なんたが鉱山都市を独り占めしているような気分になった。
それから暫く螺旋状に鉱山都市を上まで登っていくと、街が一望できた。

上から見た街は言葉で表せないほどキレイな景色だった。ランタンが灯されたらどんなにキレイになるのか、、、ワクワクした。
「エメ君夜にまたここ行きたいね。絶対ランタンキレイだよ!!!」

「ぼくもおもった。あれランタンって言うの?キラキラ青い光がきれい。」


「私の知るランタンと違って虫が入っていたのは驚いたけどキレイでいいよね!そろそろ戻ろうか?今度は反対側から降りてみよう。」

今度は反対側から降りていくと雰囲気が先程とはガラッと変わった。

行きの道はメインストーリーのようで宿屋や食事処、武器や防具などドワーフ達が作った物を販売するお店が並ぶ大通りだった。

帰り道は工房や酒場、鉱山の入口(採掘現場)など主にドワーフ達の作業場や生活するスペースだった。
ただどこのお店も閉まっていて活気がなかったが、鉱山の入口付近は人の出入りがあるようで、大人から小さな子供ドワーフまで見かけた。
下まで降りるとやっと1箇所空いている店を見つけた!!

なんと『鉱山ギルド』だった。

夕食の時間までまだ時間があったためお邪魔してみることにした。


カランコロン



冒険者ギルドと違い無事にドアを開ける事ができた。

鉱山ギルドの室内はいろんな宝石や鉄、銅、銀、金のあらゆる大きさ、形のものが飾られていた。更に武器や日用品まで飾られており、その全てに『採掘者又は制作者 工房名』が書かれていた。

初めは成金の悪趣味な室内だと思ったが、内装はとても理にかなっていた。なぜなら顧客が迷った時や凄腕に頼みたい時は、鉱山ギルドに行けば誰に頼めばいいのか一目瞭然で分かる。これを見れば安心し依頼をかけれると納得した。



でもこれって貴族限定?とシンジュは見ながら思った。読み書きが出来るのは裕福層に限られているため、『書かれている文章が読めないよな~』と思った。
『顔写真とかあればいいのに!!』などと考えながら部屋を見学し、更に奥へ進むと思わず「へ?」と声を上げた。

誰もいない?ギルド自体はやっているようだが、受付にも人がいなかった。

「おぉーい誰かいますか?」とひとまず声をかけるが誰からの反応もない・・・・・2人は困惑しながら「やってなかったのかな?」「うーん、気配はするけどお休みかもね。帰ろう?」と言って、出口に向かって歩き出したところ受付の下からダダダダダダと足音が聞こえた。
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