前世の記憶さん。こんにちは。

満月

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シミシミネギの調理

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帰ってきたときには既に夕方だった。

「疲れたね?」とシンジュはエメに声をかけた。
1日中歩いたため足がパンパンに張っていた。


「だいじょうぶ。ぼくもごはん作るのをてつだうからね。」とニコニコ話すエメを見て、本当は簡易的なご飯を作る予定だったが予定を変更し、「それは嬉しいな。今日はシミシミネギが買えたからハンバーグを作ろうかな?」とシンジュは答えた。


2人でキッチンに向かうと料理を開始した。
まずシミシミネギ···玉ねぎに似た食材をみじん切りにしていく。
切っていくと本当に涙が異常に流れる···
なんだこれ、ありえないぐらい痛い。やばい···ッグスン
シンジュは止まらない涙にどうしたらいいのか分からなくなった。

エメに任せなくてよかったが、隣りにいるエメにも被害が拡大し大泣きしていた。

「ぅ、っぐ、めがいちゃぃ。うふぇーーーん」

「ッグスン、ぃたいね。ちょっと窓を開けてもらえる?違う部屋で待ってて。」
流石に尋常じゃないほどの目の痛みにエメを避難させることにした。


「ゃだ。ここにいる。」
涙で辛いけどシンジュ様も辛いのに僕1人だけ違うところに行くなんて絶対にやだ。僕は男の子なのに逃げてるみたい。



「わかったよ。ちょっとだけ我慢してね?」
急いでみじん切りにしないと···ぅぅぅぅ辛い。
でも美味しいハンバーグのために頑張らないと···
涙が出るだけならいいが、こんなに痛みがあるとは思わなかった。必死に3つ買ったシミシミネギを気合で全部切った。

もう嫌だ。こんな食材だとは思わなかった。一滴ももう涙が出ないよ···お皿に入れてアイテムボックスに仕舞っておこう。


「エメ君終わったよ?もう大丈夫だよ。我慢してくれてありがとう。」


「ぅん。この悪い子?どうするの?」

「悪い子?シミシミネギは炒めるよ。火を入れると美味しいみたいだから任せても良い?」

「うん。がんばりゅ。」

せっかく任せてらえたから頑張らないと。悪い子は僕が炒めちゃうもんね。シンジュ様を泣かせた悪い子はお仕置きだー!
と謎の気合を入れたエメは飴色になるまで炒めるのを頑張るのだった。


シンジュはその間にトロールの赤みと脂身のバランスが良さそうな部位をひき肉にするために細かく切り始めた。
ひき肉って自力で作ると大変だね···そういや学園でも家でも細かい肉なんて食べたことが無かった。この世界にはハンバーグという料理がないのかもしれない。
細かくできる機械作りたい···
今まで野宿をしていたから欲しいものが思い浮かばなかったが、家で暮らすようになって欲がたくさんでてきた。

前世の暮らし経験していると、欲しいものが多くて追いつかない。
そろそろお金も少なくなってきたから魔物を狩りに行かないと···やることいっぱいだな~と考えていた。


すると「シンジュ様これでいい?」とエメの声が聞こえた。

あ!まずはハンバーグ作りに集中しないと。料理を作ってから今後の資金や何を作りたいか考えよう。


「いいよ。炒めてくれてありがとう。」


シンジュもトロールを切り終わったので玉ねぎを魔法で冷やして肉と捏ねていく。粘りが凄いみたい···こねこねこねこね···ふぅ~~~ここに生姜と塩、コリアンダーを少し混ぜ合わせて、一つ一つ小判形にエメと一緒に成形していく。

「これ何でこの形なの?」


「えーっとね丸めた時に形が作りやすいでしょ?あと火が通りやすいだった気がする。曖昧でごめんね。」


「だいじょぶ。ちがう形もつくっていい?」


「もちろんいいよ。楽しみにしてるね?」


成形後は一度焼いてからオーブンに入れたいけれど、まだ鍋しか持っていないからそのままオーブンで焼いてくことにした。フライパンが早くほしいな~。

数えると全部で手のひらサイズが50個ほど出来たので順番に焼いていく。


その間にトメートでソースを作っておけば準備バッチリ。


「どう?疲れた?」

「楽しい!!!こねこねだいすき。またやりたい。」

「またやろうね。焼き上がったら食べようか?」

「うん」と早速焼き上がったハンバーグにトマトソースをかけて盛り付けた。



エメ君は結局何の形を作ったのかな?

「エメ君はどのハンバーグを食べる?!」

「こりぇ。シンジュ様の顔を作った。もったいなくて食べれない。」


わたし?私を作るのとは思ってもみなかった。

「ありがとう。食べてくれたら嬉しいな?」

渋っていたエメだったが食べ始まった。 

みずほもハンバーグを切ってみると肉汁がジュワ~っと出てきた。
一口食べてみると臭みがなくて美味しい。つなぎ無しのハンバーグは肉肉しくて噛みごたえもあり、玉ねぎも甘くて美味しい。
肉の丸焼きとぜんぜん違う。美味しくて食べるのが止まらない。

エメはどうだろうか?!横を見てみるとモグモグと笑顔で食べていた。

「どうかな?」

「すご~くやわらかい。フォークがささらなくておどろいた。」

そりゃあ今までの肉に比べたらフォークは刺さらないよね。
「そうだね。柔らかく作ったからね。何個でも食べていいからね?」と言うとその後10個ほど食べて満足したエメはウトウトとし始めたのでエメを支えながら部屋に連れて行って寝かせた。

流石に今日は朝から歩きすぎて疲れたよね。私もオールで疲れているけれど限界を超えて逆にハイテンション。

眠くないから片付けをしながらギルドマスターの帰りを待つのだった。
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