前世の記憶さん。こんにちは。

ちょっと犯罪者さんたちにやりすぎて反省中のシンジュ

「す、すすみませんでした。もももももうしません。ゆるしてください。ゆるしてください。ゆるしてください···」


「たすけて、たすけて、たすけて、たすけて、たすけて····」


目を真っ赤に充血させ、身体から水分が無くなってしまうのでは？と思うくらい泣きじゃくっている犯罪者達が命乞いし始めた。


そんな2人の様子に一斉に皆がシンジュを見た。


シンジュはお腹が空いて何を食べようか考えている最中にいきなりみんなに睨まれて『え？何？私のご飯は私のものだよ。お腹空いたの？今からご飯を食べようとしているのがバレた？』と勘違いしていた。


双方違うことを考えているなか、エメが犯罪者に声をかけた。

「ほかにもわるいことしてる？」


「ゆるしてください。ゆるしてください。ゆるしてください···」


それしか繰り返さない男にエメがもう1度「答えないと同じことするよ？悪いことしてるの？」と伝えた。


「ゆる…あ、はい。奴隷、密輸などしてます。すべてやめます。すべて差し上げます。」


「はあ？いらないよ。どこに住んでる？」


「鉱山都市です。」


住んでる場所を聞いた面々は驚いた。まさか鉱山都市に犯罪者達がいたからだ。
基本的に鉱山都市はドワーフの住処である。ドワーフ達が鉱山に関するものお店ばかりがある。それ以外は飲食店と、宿屋しかない。あとは酒屋だけだ。


ここからはエメとギルドマスターが交代し、犯罪者達に色んなことを聞き出した。


犯罪者達はもともと獣人国で大商会を運営しているそうだ。
仕入れで各地を回る時に、各地に拠点を置くことがある。その拠点の1つが鉱山都市である。

有名な商家の商人であるため、入り込むのが簡単だった。さらに商人であるためドワーフ達が欲しいものを販売することができる。普通の商家として営業する傍ら、違法な商売もしていた。


鉱山都市は静かになることがないため、奴隷や密輸が行いやすい。

奴隷や、密輸した生き物たちが騒いでも外に声が漏れ出ることがない。また住居は地下に作ることができるため、周りにバレる心配がない。それに複雑な作りにしているため、奴隷達は逃げることができない。

他にも違法な商売する人や、裏稼業の連中にとって良い点（住みやすい点）がたくさんあり、それらを踏まえて鉱山都市に拠点を置いたとのことだった。

ちなみに仕入れた奴隷は、自らお客様の元へ販売に行く場合もあるが大体は鉱山都市に購入者がやってくる。
そこで商品の売買をし、購入者は大体が転移又は地下を通って鉱山都市から抜けるため双方バレない。＝完全犯罪の出来上がりだそうだ。



それ聞いたシンジュは「ほぉ～」と納得した。

鉱山都市はドワーフの楽園だが、それを逆手に取り上手く犯罪を犯していた商家に拍手を送った。

犯罪は良くないが、賢さはある。

どうやったら上手く悪いことができるのか考える力があり、それを違った面で活かすことができればもっと商売が繁盛したのではないかと考えた。
まぁ考えたところで犯罪を犯してしまったから意味がないけどね。


ちなみに商家ではない犯罪者は、闇ギルド所属しているそうだ。
これは初めからギルドマスターが予想していた通りだった。

闇ギルドは闇と言いつつも合法であり、中には違法な依頼があるが、国が認めているため犯罪のレベルや依頼によっては捕まえることができないそうだ。

例えば国からも依頼である。
もちろん国からの依頼とは伝えず、偽名で◯◯◯を暗殺しろなど····

国が自ら手を出したくない案件、国がやりたくない仕事の依頼があるそうだ。これらは罪に問われないそうだ。



シンジュは『国の暗部が動けばいいだろう！！！』と思った。
心の中だけれど···



その後結局犯罪者2人は泣いて泣いて泣いてどうにもならない状態になってしまったため、フェルが眠らせて回収をし、ドワーフ共和国に預けた。ただ預けたはいいがめんどくさいことにドワーフ族が犯した犯罪じゃないため裁けない。獣人国の民だったため国同士の話し合いが必要になり、現在話し合ってをしているそうだが物凄く揉めているらしい。


それにより刑が確定していない。

理由は商家の男は商家自体が獣人国と大きな繋がりのある大商家ということもあり、ここで間違った選択をすると国民から批判を食らう。

国と癒着していた商家が犯罪を犯した＝国の責任として批判が免れない。どうにかして民や貴族にバレないように国は隠蔽方法を考えているとのことだった。


またもう1人の犯罪者はスキルが癒しとわかり、犯罪者だが貴重な癒しを持つものが欲しい＝罪に問えない···
結果話しがまとまらないようだ。

とっても大変な状況になっているそうたが、シンジュやエメも大変な場になっている。


なぜか？

もちろん妖精についてだ。

妖精が全てエメから離れず、仕方がなく妖精を連れてギルドマスターの家に帰ってきたが、案の定大変なことになった。

いたずらする妖精、泣いてる妖精、何かしたら食べている妖精など自由人···もうカオスである。


エメが声をかけても自由に過ごす妖精達に皆がイライラしはじめて、危険と感じたシンジュが「とりあえずお昼にしない？」と声をかけてまずはご飯を食べることにした。