前世の記憶さん。こんにちは。

満月

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いろいろと厄介ですね。

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湖では食べることができなかったお弁当を黙々と皆が食べ終えて、やっとどうするか話し合いをすることになった。全員がリビングに集まり、ギルドマスターが声を発した。

「こいつらは妖精で合っているのか?」

「うん、合ってる。」とエメは答えた。

「妖精って見えるのか?それもこんなにはっきりと····俺には羽が生えた緑の謎の生き物に見えるぞ。本当にこれが妖精か?魔物の子供じゃないか?気持ち悪いくらい緑のゴブリンがいる···俺の目は合っているか?」

「へ?」思わずシンジュは声が出た。

ゴブリン?緑?私にはいろんな生き物に見える。
どういうこと?羽が生えた天使みたいな生き物からペガサスみたいな生き物もいる。どういうこと?

シンジュは???と頭の中がパニックになっていると、「私には全部細い木の棒に羽が生えてますね。」とフェルが答えた。
なんでも妖精は見る人によって見え方が変わるそうだ。

「私も棒に見えたのは初めてですが、妖精は見る人の想像力次第で変わると言われています。」


「あ?んじゃ俺は何でゴブリンなんだ?」


「それはコブリンばかりを相手にしていたあなたが悪いのだと思いますよ。貴方はゴブリンからモテていましたよね?あれはそう!確か世の中にいるゴブリンが貴方に会うためにありとあらゆるものを駆使し追いかけてきた大行進事件········」


「おいおい、俺がゴブリン好きみてぇに言うな。こいつ等には話すな。あれは俺が死んでも思い出したくねぇ話だ。おい、お前ら今の話は忘れろよ!」


いや、何その面白い話は···あとでフェルに行こうとシンジュとエメは決意し、とりあえずこの場ではうんうんと頷き話の続きを待った。


「えーっとゴブリンではなく妖精ですね?妖精は気に入った相手に姿を見せるそうです。悪戯好きで、森に人を引き込み迷わせるそうです。今回姿を見せたのは竜人の彼を気に入ったのでしょうね。」

「あぁ分かった。竜は強いからな、こいつを気に入る理由は分かる。だが何でこんなに馬鹿みたいな数の妖精がここにいる?普通は多くても2.3匹だろ?なんだこれは?100ぐらいいるだろ?」


「分かりませんねぇ。エルフである私も不気味です。」

そうだよね、とシンジュは頷いた。

これは異常な現象だとと思う。
私でもおかしいと思う。
部屋いっぱいにいる妖精がシュールすぎる。見回してみると人形もいれば、花や鳥に蝶の羽が生えたようなものまでいる。さっきより増えた気がする···100、いや200?ちょっと怖い。


「おい!竜の子供は何でこんなにいるのか知ってるか?」


「うん、わかる。ぼくといっしょにいたって。でもぼくはいらない。シンジュ様を助けない妖精なんて嫌いだ。」

そうエメが叫んだ途端、部屋の空気が急に冷え込み、氷はじめた。また一部では部屋が溶けたり、バチバチと雷が落ちたりと危険な状況に。


誰もが『これは厄介』と心のなかで思った。エメはシンジュを慕っているため、妖精達の思い通りに動くことはない。

今はまだ攻撃をしてこないが、この先エメがいないところで、シンジュやその他のメンバーに攻撃する恐れがある。

どうしたものかと······全員が頭を抱えるのだった。



そんななかエメだけは妖精達に向けて「もう出てって。」と妖精達に向けて怒り出した。



それがまた悪循環を呼び、部屋が荒れ狂いミシミシと家にヒビが···


「うそだろっ」とボソッと壊れた部屋でギルドマスターの声だけが響いた。
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