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第二章 最強娘の学園生活
魔王という役割
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「ミオちゃん? 良かったです! 無事だったのです?」
「来ないで! アリスちゃん!」
今までの水路とは違い、かなり奥まで広がる空間。不自然なほど、先ほどまでのカビ臭さはなく、ほんのりと肌に空気の対流をミオが居る場所の更に奥から感じる。
それは、つまりこの奥には外界へと通じる穴があることを示していた。
「なんだ、ここは?」
俺達より少し遅れて、続々と捜索隊が現れる。どうやら、すべての別れ道は、この空間へと一度集まるようになっているようだ。
「もしかして、行方不明の子か!?」
傭兵のバロンが近づこうとするのをルナ先生が慌てて制止する。
「来ないでぇ!!」
ミオの悲痛な叫びは水路の空間に木霊して、怯えた瞳で訴えていた。小さく肩を震わせ、異常に怯えている。
ゆっくりとミオを中心に周囲を行灯で照らす。
特におかしな点はないように思えるが、しきりに近づく事をミオは拒否をする。
「理由を教えて、ミオちゃん!」
ミオにルナ先生が訴えかけるも、彼女は小さく首を横に振るだけ。
埒が明かないが、彼女の怯えかたは異常で軽率な動きは出来ないでいた。それは、王都ミラージュでの話にあった、行方不明者が突如周りを巻き込んで爆発したという前例があった為。
「ミオちゃん! そこで、ゆっくり回れるかい?」
もしかしたら背中に何か危険な物があるのではと思っていたが、ゆっくり回転した彼女の背には何も無い。
そしてミオは遂に、耐えきれなくなったのかその場に座り込んでしまった。
「いや、いや、いやぁ……死ぬのはいやぁ……」
「大丈夫よ、先生がきっと助けるわ!」
ルナ先生がミオを励まそうと声をかけた瞬間だった。ルナ先生の手により止められていたバロンが、業を煮やしミオへ近づこうとしたのだ。
「やめろ、バカ! 早まるな!!」
「いやぁぁぁ! 来ないでぇ!! やだぁ、ルナ先生! アリスちゃん、助け──」
凄惨な光景であった。ミオの小さな体は三倍以上に太り膨れ上がると、体の内から風船のように割れると共に爆発を起こしたのだ。
一瞬の出来事であり、爆発といっても強烈な光や炎などなく、俺達はただ、飛び散ったミオだった血と肉を、一歩も動けずに体中に浴びるのであった。
「きゃあああああっ!!」
少し間を置いてルナ先生の悲鳴が背後から聞こえて来た。最初、何が起こったのか分からず呆けていた俺は、慌ててアリステリアの目を覆う仕草をするが、既に遅かったようで、アリステリアの黒い瞳は潤い、頬を涙が伝う。
「パ、パパ……ミオちゃんが、ミオ、ちゃん……が」
俺にはただアリステリアの顔を覆うように抱きしめてやることしか出来ずにいた。
起爆の原因になったと思われるバロンも死んでいた。それは、実に奇妙な死に方で、体の前半分を削られるような姿で横たわっており、その悲惨な死に様に、他の捜索隊の中には、吐き出す者も多数いた。
パチパチパチ。
この場に似つかわしくない拍手をしながら、奥から一人の男性が現れる。
「いやはや、実験体を簡単に壊してしまうとは。アレから聞いていませんでしたか? 近づくなって。教えていたんですけどねぇ、人に近づかれたら爆発するよって。アハッ」
この場で動ける者は殆んどおらず、俺も辛うじて行灯を相手に向けるだけ。
その男は、肩まで伸びた波立つブロンドの髪に、聡明そうな面構えで、ニヤリと笑う。
年齢は見た目、俺より数個年下に見える若者ではあるが、その目はスタンやピートと同じ真っ黒な白目に宝石のような輝く赤い瞳をしており、笑顔と共に慈しむように細めた。
実験体やらアレやら、人の命を物のように扱う言動に腹を立てていたが、睨み付けるだけで精一杯だった。
強さではない。しかし、得体のしれない不気味さが男に纏わりついている。
「おお、怖い、怖い。そんなに睨むことないじゃないか。君の事は知っているよ。ねぇ、タツロウくん?」
「何故、俺の名前を!」
男とは面識はない。凄惨な光景を前にして明るく振る舞うこの男は、明らかに人間性を感じない。スタンやピートと同じ人類種の魔物。
「アハッ、動揺したね、今! さぁ、どうして僕が君の名前を知っているのだろうね? もしかしたら、君が今大事そうに抱える、そう、その熊の上に乗っているゴミを殺してみたら、分かるかもよ? アハッ」
仰々しく両腕を羽のように広げ、からかうように、糸のように細めた眼差しで見てくる面に腹が立つ。
踊るように軽やかな足取りで、平然とミオが居た場所を踏みつけて男が近づいて来る。
「貴様っ!!」
グツグツと腸が煮え繰りかえる俺は、自分の中にどす黒いものが虫のように体内を這いずる気持ち悪さでどうにかなりそうであった。
「ああ、そうだ! 僕としたことが自己紹介がまだだったね。ついつい実験の成功で興奮し過ぎていたみたいだ。アハッ! 昔から皆、僕の事をこう呼ぶ、教授ってね。君たちも呼んでくれていいのだよ。ほらぁ、さん、ハイッ!」
誰も呼ばないし呼ぶはずもない。何より耳に手を当て「聞こえないなぁ?」とほざいている男に腹が立つ。
「つまんないなぁ。ああ、そうか! 君たちにはこっちの方がスッキリするのかな。“黄の魔王”の役割を持つ者って」
やはり、この男は『黄の魔王』。そして、こいつも今、自分で「黄の魔王の役割」、そう言っていたのを見逃さなかった。
ーー魔王ってのは、やっぱり役割なのか? 青の魔王もそう名乗っていたようだし。
周りの人たちは、彼が魔王と聞いてから腰が引けていて全く役に立ちそうにない。
他にも行方不明者がいる。特にサラの縁談相手でもあり、役割“王族”を持つ者が。乗り気ではないが次期国王とあっては、サラも放って置くわけには行かないはず。
そう考えていたのだが、全ては覆される。
「おっと、名前を忘れていた。僕の名前はオットー。オットー・シュヒンデル。もう一つ持つ僕の役割は“王族”。次期、この国の国王になるのだよ。アハッ、絶望してくれたかい?」
黄の魔王であり、この国の次の王だあるオットーは、楽しそうに笑いながら、バロンの体を踏み潰した。
「来ないで! アリスちゃん!」
今までの水路とは違い、かなり奥まで広がる空間。不自然なほど、先ほどまでのカビ臭さはなく、ほんのりと肌に空気の対流をミオが居る場所の更に奥から感じる。
それは、つまりこの奥には外界へと通じる穴があることを示していた。
「なんだ、ここは?」
俺達より少し遅れて、続々と捜索隊が現れる。どうやら、すべての別れ道は、この空間へと一度集まるようになっているようだ。
「もしかして、行方不明の子か!?」
傭兵のバロンが近づこうとするのをルナ先生が慌てて制止する。
「来ないでぇ!!」
ミオの悲痛な叫びは水路の空間に木霊して、怯えた瞳で訴えていた。小さく肩を震わせ、異常に怯えている。
ゆっくりとミオを中心に周囲を行灯で照らす。
特におかしな点はないように思えるが、しきりに近づく事をミオは拒否をする。
「理由を教えて、ミオちゃん!」
ミオにルナ先生が訴えかけるも、彼女は小さく首を横に振るだけ。
埒が明かないが、彼女の怯えかたは異常で軽率な動きは出来ないでいた。それは、王都ミラージュでの話にあった、行方不明者が突如周りを巻き込んで爆発したという前例があった為。
「ミオちゃん! そこで、ゆっくり回れるかい?」
もしかしたら背中に何か危険な物があるのではと思っていたが、ゆっくり回転した彼女の背には何も無い。
そしてミオは遂に、耐えきれなくなったのかその場に座り込んでしまった。
「いや、いや、いやぁ……死ぬのはいやぁ……」
「大丈夫よ、先生がきっと助けるわ!」
ルナ先生がミオを励まそうと声をかけた瞬間だった。ルナ先生の手により止められていたバロンが、業を煮やしミオへ近づこうとしたのだ。
「やめろ、バカ! 早まるな!!」
「いやぁぁぁ! 来ないでぇ!! やだぁ、ルナ先生! アリスちゃん、助け──」
凄惨な光景であった。ミオの小さな体は三倍以上に太り膨れ上がると、体の内から風船のように割れると共に爆発を起こしたのだ。
一瞬の出来事であり、爆発といっても強烈な光や炎などなく、俺達はただ、飛び散ったミオだった血と肉を、一歩も動けずに体中に浴びるのであった。
「きゃあああああっ!!」
少し間を置いてルナ先生の悲鳴が背後から聞こえて来た。最初、何が起こったのか分からず呆けていた俺は、慌ててアリステリアの目を覆う仕草をするが、既に遅かったようで、アリステリアの黒い瞳は潤い、頬を涙が伝う。
「パ、パパ……ミオちゃんが、ミオ、ちゃん……が」
俺にはただアリステリアの顔を覆うように抱きしめてやることしか出来ずにいた。
起爆の原因になったと思われるバロンも死んでいた。それは、実に奇妙な死に方で、体の前半分を削られるような姿で横たわっており、その悲惨な死に様に、他の捜索隊の中には、吐き出す者も多数いた。
パチパチパチ。
この場に似つかわしくない拍手をしながら、奥から一人の男性が現れる。
「いやはや、実験体を簡単に壊してしまうとは。アレから聞いていませんでしたか? 近づくなって。教えていたんですけどねぇ、人に近づかれたら爆発するよって。アハッ」
この場で動ける者は殆んどおらず、俺も辛うじて行灯を相手に向けるだけ。
その男は、肩まで伸びた波立つブロンドの髪に、聡明そうな面構えで、ニヤリと笑う。
年齢は見た目、俺より数個年下に見える若者ではあるが、その目はスタンやピートと同じ真っ黒な白目に宝石のような輝く赤い瞳をしており、笑顔と共に慈しむように細めた。
実験体やらアレやら、人の命を物のように扱う言動に腹を立てていたが、睨み付けるだけで精一杯だった。
強さではない。しかし、得体のしれない不気味さが男に纏わりついている。
「おお、怖い、怖い。そんなに睨むことないじゃないか。君の事は知っているよ。ねぇ、タツロウくん?」
「何故、俺の名前を!」
男とは面識はない。凄惨な光景を前にして明るく振る舞うこの男は、明らかに人間性を感じない。スタンやピートと同じ人類種の魔物。
「アハッ、動揺したね、今! さぁ、どうして僕が君の名前を知っているのだろうね? もしかしたら、君が今大事そうに抱える、そう、その熊の上に乗っているゴミを殺してみたら、分かるかもよ? アハッ」
仰々しく両腕を羽のように広げ、からかうように、糸のように細めた眼差しで見てくる面に腹が立つ。
踊るように軽やかな足取りで、平然とミオが居た場所を踏みつけて男が近づいて来る。
「貴様っ!!」
グツグツと腸が煮え繰りかえる俺は、自分の中にどす黒いものが虫のように体内を這いずる気持ち悪さでどうにかなりそうであった。
「ああ、そうだ! 僕としたことが自己紹介がまだだったね。ついつい実験の成功で興奮し過ぎていたみたいだ。アハッ! 昔から皆、僕の事をこう呼ぶ、教授ってね。君たちも呼んでくれていいのだよ。ほらぁ、さん、ハイッ!」
誰も呼ばないし呼ぶはずもない。何より耳に手を当て「聞こえないなぁ?」とほざいている男に腹が立つ。
「つまんないなぁ。ああ、そうか! 君たちにはこっちの方がスッキリするのかな。“黄の魔王”の役割を持つ者って」
やはり、この男は『黄の魔王』。そして、こいつも今、自分で「黄の魔王の役割」、そう言っていたのを見逃さなかった。
ーー魔王ってのは、やっぱり役割なのか? 青の魔王もそう名乗っていたようだし。
周りの人たちは、彼が魔王と聞いてから腰が引けていて全く役に立ちそうにない。
他にも行方不明者がいる。特にサラの縁談相手でもあり、役割“王族”を持つ者が。乗り気ではないが次期国王とあっては、サラも放って置くわけには行かないはず。
そう考えていたのだが、全ては覆される。
「おっと、名前を忘れていた。僕の名前はオットー。オットー・シュヒンデル。もう一つ持つ僕の役割は“王族”。次期、この国の国王になるのだよ。アハッ、絶望してくれたかい?」
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