モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語

みん

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第一章ー婚約ー

ピクニック?

「成る程。小物だと、ミヤ様の浄化で祓われてしまうんですね。」



はい。やって来ました─隣国に。

ー決して。決して、ピクニックではありません!ー


確かに、ジークフラン様やリュウの言う通り、この場所の穢れは酷かった。少し心配になった私だったけど…

「浄化のし甲斐があるわね!」

と、嬉しそうに笑うミヤさんの発言を切っ掛けに

「ハル!絶対に!手を出すなよ!」

「では、ハル様は離れた場所で、カルザイン様と一緒に居て下さい。あぁ、ネージュさんとノアさんも、ハル様達と一緒でお願いします。」

「……はい。」

ティモスさんにはしっかりと釘を刺され、ルナさんにもやんわりと釘を刺された。






そうして始まった、ミヤさんによる浄化と、パルヴァンの騎士達による魔物や魔獣の討伐。あまりにも皆が愉しそうな顔をしているから、「あれ?ここに何をしに来たんだっけ?」と、訊きたくなって来る。

「エディオルさん…私、ここで見ているだけで良いんですかね?防御の魔法でも掛けた方が良いんですかね?」

「…いや…何もしない方が…良いと思う。」

ーですよねー

「えっと…ネージュとノアも…のんびりしてても良いと思うよ?」

『そうだな。我が居なくとも、パルヴァンの騎士達だけで問題はないだろうな』

『そうですね。』

と、ネージュ(犬サイズ)とノアは、2頭寄り添って座っている。

「くうっ─」

ー2頭揃うと可愛さ倍増だ!モフりたい!けど、今は我慢だ!!ー

「ふっ─」

我慢をして悶えていると、横に居るエディオルさんに笑われた。












結果、今回もそれなりに─結構な魔物や魔獣が現れたけど、パルヴァンの騎士達によって、綺麗に殲滅されました。予想通りの“パルヴァン劇場”でした。

バジリスクが現れた時だけ、ゼンさんが

「はっ─また会えて嬉しいなぁ…」

と、恐ろしくドスの利いた声を発したかと思ったら、剣に魔力を纏わせて一瞬にしてバジリスクを真っ二つに両断した。

どんな魔物や魔獣よりも、その時のゼンさんが一番怖かった─と思ってしまった事は、私だけの秘密にしておきます。









*****


「まさか…1日も掛からないとは…思いもしなかった」

「あれ?あそこの穢れって、結構酷くなかったか?」

浄化が終わり、辺り一帯の確認をした後、ジークフラン様とリュウの居る執務室へと転移して、浄化終了の報告をすると─何とも言えない─みたいな顔をされた。

「え?何?またハルがチートを発揮したのか?」

「違う。今回は、私は指一本も動かしてない。」

リュウに訊かれて答えると、

「…一体、この世界はどうなってるんだ…」

と、リュウは遠い目をしながら呟いた。








今回の浄化に関しては、公表はしていない。その為、盛大にはできないけど─と、浄化のお礼として、ジークフラン様が料理やお酒を用意してくれていた。内輪的な御祝いで気を張る事もなく、皆で楽しく美味しく頂きました。



「あ、リュウ、ちょっと良い?」

ミヤさんとエディオルさんとゼンさんとティモスさんが、ジークフラン様と話をしている時に、リュウに話し掛けた。

「どうした?ハル」

「えっとね、リュウに…見せたいものがあってね?」

「見せたい…もの?」

ーついに、リュウに見せる?教える?時が来ました!ー

「ネージュ」

いつもは、私が名前を呼ぶと、尻尾をフリフリやって来るのに、今は…尻尾だけが重力を帯びた様に垂れ下がったまま動かない。

ーネージュが…素直過ぎて可愛い!ー

「あのね、こっちに戻って来てから、改めてで名を交わしたの。それで、この子も“レフコース”じゃなくて“ネージュ”になったんだけど…えっと、ネージュ?」

ネージュは耳だけピクピクと反応させた後─

「─────え?」

ムギュ

「擬人化して…この通り、ネージュは…メス?女性だったの。美魔女だったの!」

『……』

ネージュは、私に抱き付いたままで、無言を貫いている。

「マジか…ここまで違うのか……」

と、リュウは苦笑した。

「ネージュ?」

『ふん─我は、こやつとは話さぬぞ。許しても─いない故な。』

そう言うと、ネージュは犬サイズのフェンリルに戻って外へと出て行った。

「当たり前だけど…俺はずいぶんと嫌われてるみたいだな。」

「仕方無いんじゃない?」

「あ、ミヤさん。ジークフラン様とのお話は、もう終わったんですか?」

「ええ。後は、男同士の話─らしいわ。」

私とミヤさんが話している横で、 リュウが少し思案した後

『ちょっと気になる事があるんだ。』

と、リュウが日本語で話し出した。

『俺は、確かに初めてのゲームの制作で思い入れがあったんだけど、、何であんなにも宮下香の幸せに固執したのか…今となっては、本当によく分からないんだ。』

私とミヤさんは顔を見合わせる。

『それで…ひょっとしたら、ゲーム─物語の一番最初の出来事だけ強制力が働くんじゃないか─って。その後は、ハルの言う通り、ゲームとは違って、一人一人が意思を持って動いているから、ゲーム通りにはなっていないけど。そう考えた時、思い出した事があって…。』

『思い出した─事?』

『うん。俺、制作途中で死んだから、完成した時にそれがどうなったかは分からないんだけど…』

と、前置きをした。



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