モブで薬師な魔法使いと、氷の騎士の物語

みん

文字の大きさ
32 / 123
第一章ー婚約ー

ピクニック?

しおりを挟む
「成る程。小物だと、ミヤ様の浄化で祓われてしまうんですね。」



はい。やって来ました─隣国に。

ー決して。決して、ピクニックではありません!ー


確かに、ジークフラン様やリュウの言う通り、この場所の穢れは酷かった。少し心配になった私だったけど…

「浄化のし甲斐があるわね!」

と、嬉しそうに笑うミヤさんの発言を切っ掛けに

「ハル!絶対に!手を出すなよ!」

「では、ハル様は離れた場所で、カルザイン様と一緒に居て下さい。あぁ、ネージュさんとノアさんも、ハル様達と一緒でお願いします。」

「……はい。」

ティモスさんにはしっかりと釘を刺され、ルナさんにもやんわりと釘を刺された。






そうして始まった、ミヤさんによる浄化と、パルヴァンの騎士達による魔物や魔獣の討伐。あまりにも皆が愉しそうな顔をしているから、「あれ?ここに何をしに来たんだっけ?」と、訊きたくなって来る。

「エディオルさん…私、ここで見ているだけで良いんですかね?防御の魔法でも掛けた方が良いんですかね?」

「…いや…何もしない方が…良いと思う。」

ーですよねー

「えっと…ネージュとノアも…のんびりしてても良いと思うよ?」

『そうだな。我が居なくとも、パルヴァンの騎士達だけで問題はないだろうな』

『そうですね。』

と、ネージュ(犬サイズ)とノアは、2頭寄り添って座っている。

「くうっ─」

ー2頭揃うと可愛さ倍増だ!モフりたい!けど、今は我慢だ!!ー

「ふっ─」

我慢をして悶えていると、横に居るエディオルさんに笑われた。












結果、今回もそれなりに─結構な魔物や魔獣が現れたけど、パルヴァンの騎士達によって、綺麗に殲滅されました。予想通りの“パルヴァン劇場”でした。

バジリスクが現れた時だけ、ゼンさんが

「はっ─また会えて嬉しいなぁ…」

と、恐ろしくドスの利いた声を発したかと思ったら、剣に魔力を纏わせて一瞬にしてバジリスクを真っ二つに両断した。

どんな魔物や魔獣よりも、その時のゼンさんが一番怖かった─と思ってしまった事は、私だけの秘密にしておきます。









*****


「まさか…1日も掛からないとは…思いもしなかった」

「あれ?あそこの穢れって、結構酷くなかったか?」

浄化が終わり、辺り一帯の確認をした後、ジークフラン様とリュウの居る執務室へと転移して、浄化終了の報告をすると─何とも言えない─みたいな顔をされた。

「え?何?またハルがチートを発揮したのか?」

「違う。今回は、私は指一本も動かしてない。」

リュウに訊かれて答えると、

「…一体、この世界はどうなってるんだ…」

と、リュウは遠い目をしながら呟いた。








今回の浄化に関しては、公表はしていない。その為、盛大にはできないけど─と、浄化のお礼として、ジークフラン様が料理やお酒を用意してくれていた。内輪的な御祝いで気を張る事もなく、皆で楽しく美味しく頂きました。



「あ、リュウ、ちょっと良い?」

ミヤさんとエディオルさんとゼンさんとティモスさんが、ジークフラン様と話をしている時に、リュウに話し掛けた。

「どうした?ハル」

「えっとね、リュウに…見せたいものがあってね?」

「見せたい…もの?」

ーついに、リュウに見せる?教える?時が来ました!ー

「ネージュ」

いつもは、私が名前を呼ぶと、尻尾をフリフリやって来るのに、今は…尻尾だけが重力を帯びた様に垂れ下がったまま動かない。

ーネージュが…素直過ぎて可愛い!ー

「あのね、こっちに戻って来てから、改めてで名を交わしたの。それで、この子も“レフコース”じゃなくて“ネージュ”になったんだけど…えっと、ネージュ?」

ネージュは耳だけピクピクと反応させた後─

「─────え?」

ムギュ

「擬人化して…この通り、ネージュは…メス?女性だったの。美魔女だったの!」

『……』

ネージュは、私に抱き付いたままで、無言を貫いている。

「マジか…ここまで違うのか……」

と、リュウは苦笑した。

「ネージュ?」

『ふん─我は、こやつとは話さぬぞ。許しても─いない故な。』

そう言うと、ネージュは犬サイズのフェンリルに戻って外へと出て行った。

「当たり前だけど…俺はずいぶんと嫌われてるみたいだな。」

「仕方無いんじゃない?」

「あ、ミヤさん。ジークフラン様とのお話は、もう終わったんですか?」

「ええ。後は、男同士の話─らしいわ。」

私とミヤさんが話している横で、 リュウが少し思案した後

『ちょっと気になる事があるんだ。』

と、リュウが日本語で話し出した。

『俺は、確かに初めてのゲームの制作で思い入れがあったんだけど、、何であんなにも宮下香の幸せに固執したのか…今となっては、本当によく分からないんだ。』

私とミヤさんは顔を見合わせる。

『それで…ひょっとしたら、ゲーム─物語の一番最初の出来事だけ強制力が働くんじゃないか─って。その後は、ハルの言う通り、ゲームとは違って、一人一人が意思を持って動いているから、ゲーム通りにはなっていないけど。そう考えた時、思い出した事があって…。』

『思い出した─事?』

『うん。俺、制作途中で死んだから、完成した時にそれがどうなったかは分からないんだけど…』

と、前置きをした。



しおりを挟む
感想 134

あなたにおすすめの小説

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

氷狼陛下のお茶会と溺愛は比例しない!フェンリル様と会話できるようになったらオプションがついてました!

屋月 トム伽
恋愛
ディティーリア国の末王女のフィリ―ネは、社交なども出させてもらえず、王宮の離れで軟禁同様にひっそりと育っていた。そして、18歳になると大国フェンヴィルム国の陛下に嫁ぐことになった。 どこにいても変わらない。それどころかやっと外に出られるのだと思い、フェンヴィルム国の陛下フェリクスのもとへと行くと、彼はフィリ―ネを「よく来てくれた」と迎え入れてくれた。 そんなフィリ―ネに、フェリクスは毎日一緒にお茶をして欲しいと頼んでくる。 そんなある日フェリクスの幻獣フェンリルに出会う。話相手のいないフィリ―ネはフェンリルと話がしたくて「心を通わせたい」とフェンリルに願う。 望んだとおりフェンリルと言葉が通じるようになったが、フェンリルの幻獣士フェリクスにまで異変が起きてしまい……お互いの心の声が聞こえるようになってしまった。 心の声が聞こえるのは、フェンリル様だけで十分なのですが! ※あらすじは時々書き直します!

【完結】番としか子供が産まれない世界で

さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。 何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。 そんなニーナが番に出会うまで 4話完結 出会えたところで話は終わってます。

【完結】死の4番隊隊長の花嫁候補に選ばれました~鈍感女は溺愛になかなか気付かない~

白井ライス
恋愛
時は血で血を洗う戦乱の世の中。 国の戦闘部隊“黒炎の龍”に入隊が叶わなかった主人公アイリーン・シュバイツァー。 幼馴染みで喧嘩仲間でもあったショーン・マクレイリーがかの有名な特効部隊でもある4番隊隊長に就任したことを知る。 いよいよ、隣国との戦争が間近に迫ったある日、アイリーンはショーンから決闘を申し込まれる。 これは脳筋女と恋に不器用な魔術師が結ばれるお話。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

氷狼魔術師長様と私の、甘い契約結婚~実は溺愛されていたなんて聞いていません!~

雨宮羽那
恋愛
 魔術国家アステリエで事務官として働くセレフィアは、義理の家族に給料を奪われ、婚期を逃した厄介者として扱われていた。  そんなある日、上司である魔術師長・シリウスが事務室へやってきて、「私と結婚してください」と言い放った!  詳しく話を聞けば、どうやらシリウスにも事情があるようで、契約結婚の話を持ちかけられる。  家から抜け出るきっかけだと、シリウスとの結婚を決意するセレフィア。  同居生活が始まるが、シリウスはなぜかしれっとセレフィアを甘やかしてくる!? 「これは契約結婚のはずですよね!?」  ……一方セレフィアがいなくなった義理の家族は、徐々に狂い始めて……? ◇◇◇◇  恋愛小説大賞に応募予定作品です。  お気に入り登録、♡、感想などいただければ、作者が大変喜びます( . .)"  モチベになるので良ければ応援していただけると嬉しいです! ※この作品は「小説家になろう」様にも掲載しております。 ※表紙はAIイラストです。文字入れは「装丁カフェ」様を使用しております。

地味に見せてる眼鏡魔道具令嬢は王子の溺愛に気付かない

asamurasaki
恋愛
一応長編、今や番外編の方が長くなりました作品『愛のない政略結婚のはずがいつからか旦那様がグイグイきてどうしていいのかわからないのですが』から派生した、ジークシルード王国の第二王子、セントバーナルと子爵令嬢、エンヴェリカ・クエスベルトの恋物語です。 スピンオフ的な作品ですが、『愛のない〜』 の本編ではヒーローがチラッと名前が出てくる程度でヒロインはまったく出てきません。 『愛のない〜』を読まなくてもこちらの作品だけでもわかる内容となっておりますが、番外編の『ジョルジュミーナの結婚』ではヒーローとヒロインがちょこっと出てきます。 そして同じく番外編の『セントバーナルの憂鬱』ではこの作品のヒーローが主役のお話です。 『愛のない〜』を読んでいらっしゃらない方はこちらをお読み頂いた後に『ジョルジュとミーナの結婚』『セントバーナルの憂鬱』を読んで頂ければ嬉しいです。 もちろん同時でも大丈夫ですが、最初こちらの短編を書く予定がありませんでしたので、ちょいネタバレ的になってますので、ネタバレは嫌だ!という方はご注意下さませ。 このお話は主にヒロインエンヴェリカ視点で進みますが、ヒーローのセントバーナル視点など他のキャラ視点も入る予定です。 表記のないものはすべてエンヴェリカ視点となります。 こちらの作品ジャンルとしては異世界恋愛となってますが、『愛の〜』ではヒロインヴァネッサや王太子妃ナターシャ、元となった乙女ゲームのヒロインメリッサは転生者でしたが、この物語のメインキャラは転生者は登場しない予定です。 この物語は魔法のある世界ですが、魔法、魔術と記載を分けておりますが、本来の意味と違い私の独自の設定とさせて頂いております。 ご了承下さいますようお願いします。 尚、只今感想欄を閉じております。 今後開けるかもしれませんが。 ですので、誤字や脱字などないよう何度も確認をしておりますが、それでも見つけてしまわれましたら申し訳ありません。 その他、ユルユルで設定ございます。 そのあたりをご理解して読んで頂けましたら大変有り難く思います。 よろしくお願い致します!

『完結・R18』公爵様は異世界転移したモブ顔の私を溺愛しているそうですが、私はそれになかなか気付きませんでした。

カヨワイさつき
恋愛
「えっ?ない?!」 なんで?! 家に帰ると出し忘れたゴミのように、ビニール袋がポツンとあるだけだった。 自分の誕生日=中学生卒業後の日、母親に捨てられた私は生活の為、年齢を偽りバイトを掛け持ちしていたが……気づいたら見知らぬ場所に。 黒は尊く神に愛された色、白は"色なし"と呼ばれ忌み嫌われる色。 しかも小柄で黒髪に黒目、さらに女性である私は、皆から狙われる存在。 10人に1人いるかないかの貴重な女性。 小柄で黒い色はこの世界では、凄くモテるそうだ。 それに対して、銀色の髪に水色の目、王子様カラーなのにこの世界では忌み嫌われる色。 独特な美醜。 やたらとモテるモブ顔の私、それに気づかない私とイケメンなのに忌み嫌われている、不器用な公爵様との恋物語。 じれったい恋物語。 登場人物、割と少なめ(作者比)

処理中です...