見捨てられた(無自覚な)王女は、溺愛には気付かない

みん

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15 レオノール

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*レオノール視点*



もともと私は、男爵家の三女で魔力も弱いもので、父からは疎まれていた。母がまだ居た頃は、母は私の事も大切にしてくれていたけど、母が亡くなると直ぐに、父は2人の姉をお金と引き換えるように、金持ち貴族へと嫁がせた。そんな2人の姉は、嫁に行く迄私の事を心配してくれた。

「さて…お前には何の価値もない。どこぞかの後妻や妾にしかなれないだろうな」

と、本当に血の繋がった父親なのか?と思う程酷い父親だった。だから、私に光属性が発現して、大神殿に籍を移す事になった事は、正直嬉しかった。



聖女となった私が、よく耳にするようになったのは、“汚点の第二王女”だった。魔力がないだけで汚点と呼ばれる王女様。

王家の恥さらし
精霊に見放された子

ー可哀想にー






聖女となってからすぐ、ギライマからの侵略を受け、それに対応する為に、大神官アマデュー様と大魔女オードリナ様と国中を駆け回った。
その間も何故か、第一王女ヘレンティナ様の違和感と、未だ会えていない第二王女カミリア様の事が気になっていた。

第一王女ヘレンティナ様
ヘレンティナ王女は、光属性と気の合う白属性を持っているから、相性は良いだろうと思っていたけど、違和感どころか、不快感があった。

「貴方が聖女レオノールね。やっぱり精霊や神に愛された子は違うわね。も、見た目だけでも明るければ良かったのに」

“あの子”とは、第二王女の事だろう。第二王女は、父親の国王様と同じ金髪だけど、瞳は灰色で暗い印象なんだそうだ。

「汚点と聖女を比べるなんて、レオノールに失礼だよ」
「ふふっ…オーウェンの言う通りね」

異母妹なのに、躊躇う事なく汚点と呼ぶのはオーウェン王子。この2人の様子からすれば、第二王女と仲良くしている事はなさそうだ。

ーでも、この違和感や不快感は何だろう?ー




******


そして、魔力を失いかけたヘレンティナ様を見ると、その違和感が無かった。それは何故なのか?でも、大神官アマデュー様は、もう何か気付いているようだった。



「わざわざのご挨拶、ありがとうございます。私は……第二王女のカミリアです」

第二王女カミリア様の周りは、キラキラと光っていた。ただ、カミリア様もまた、違和感があった。ただ、そこに不快感は無い。ただ、じっと見つめていると、カミリア様は急に床へとへたり込み、そのまま意識を失ってしまった。慌ててカミリア様の体に触れて、ようやく気が付いた。

「色が…違う?」
「うん。そうだね」
「色?」

光属性持ち特有なんだそうだけど、その人が持っている魔力の色が視えたりする。私は「視たい」と思っても、視えたり視えなかったりするけど、アマデュー様は常に視えているそうだ。大魔女であっても、オードリナ様には視えていないようだ。

「色んな意味で、カミリア様は色変えられているんだ。だから、この姿も、本来のカミリア様ではないんだ。この私が気付けなかったと言う事は…“カミリア”と言う名前も、かもしれないね」
「私にはよく分からないけど、取り敢えず、カミリアをベッドに寝かせてあげましょう」



カミリア様をベッドに寝かせてから暫く様子をみる事になった。

どうして、こんなにも色が違うのか?稀に色が違う人も居るけど、それでも、青が水色とか、黄色が黄緑だとかで、近い色の範囲でしかないのに、カミリア様は全く違う色。確かに、ここまで違うと体調も悪くなるだろう。それに、これはきっと、カミリア様自身が変えているのではなく───

「色を勝手に変えられているんだろうね。変えられている事に、カミリア様本人は気付いてないどころか、知らないんだろうね」
「さっきから、アマデューが何を言っているのか、サッパリ分からないわ。分からないけど、それが良くないのなら、アマデューが治癒してあげれば良いのでは?」

光と白の属性を持つアマデュー様なら、それは可能だろう。

「勿論、そのつもりでオードリナ様に結界を張ってもらったからね」

アマデュー様はニッコリ笑ってから、少し苦しそうな寝息をしたカミリア様の手を握った。

大神官アマデュー様が魔法を使う姿は、とても綺麗だ。真っ白な光の中に、金色の光がキラキラと輝く。それは、眩しくもあり温かいもので、見ているだけで安心する様な光。その光がカミリア様の全身を包み込む。すると、カミリア様の周りを、水色と黄緑色の光と金色の蝶が飛んでいるのが視えた。

ーあの二つの光はー

金色の蝶からは、オードリナ様と同じ色の魔力を感じるから、オードリナ様が創り出した物だと分かる。
でも、あの二つの光は───

「カミリア!?」

そこで、溢れ出した光が収まり、ベッドの上で寝ているカミリア様の姿が目に入った。

「これが…本当のカミリア様の色?」
「うん。そうだね。綺麗だね」
「本当の…色……これって……まさか──っ」

これで、ようやく違和感が無くなった。

第二王女カミリア様は、父である国王と同じ金髪で、瞳は親とは違う灰色だった。でも、今、ベッドで寝ているカミリア様の髪の色は──


綺麗なアクアブルーの色だった。



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