(自称)我儘令嬢の奮闘、後、それは誤算です!

みん

文字の大きさ
18 / 75

光と闇

しおりを挟む
*引き続き、アシェルハイド視点となります*



そして、リンディ嬢の性格。これについては、俺と父と母の3人だけが知っている。
光の魔力持ちが生まれると、必ずその者に王家からの“影”が付く。光の魔力持ちを護る為だが、その存在をその親は勿論の事、本人に知らされる事もない。
ただ、ブルーム伯爵は内も外もガードがかなり高かった。エヴィ嬢が魔力を失う時まで、エヴィ嬢が蔑ろにされている事に気付かなかったのだ。

まぁ、これに関しては、エヴィ嬢が我慢して表に出さなかった事もあるが。

エヴィ嬢が魔力を失ってしまってから、ようやく把握したブルーム伯爵家の内情は、酷いものだった。親であるブルーム伯爵と夫人は、エヴィ嬢が寝込んでいると知った上で、家族4人で出掛けていたのだ。リンディ嬢の体調が良かったから。
出掛ける提案をした伯爵に対しも怒りを覚えたが、それを受け入れたリンディ嬢やサイラス殿にはゾッとした。同じ邸に住んでいるのだ。“全く知らなかった”なんて事はないだろう。これには、エヴィ嬢を診た王城付きの医師がかなりキレていて、その怒りを収めるのが大変だった。

自分達の犯した罪を全く理解していないブルーム伯爵と夫人。双子の姉であるエヴィ嬢を貶めして、悲劇のヒロインぶるリンディ嬢。一体、誰がそんな令嬢と婚約したがるのか……。弟の第二王子のイズはこの事実を知らない筈だが、薄々気付いているのか、クラスも違うのもあるが、学校内では殆どリンディ嬢とは関わってはいないようだ。それに、何より、姉であるジェマ嬢の婚約者であるブレインに粉を掛けているのは、エヴィ嬢ではなくリンディ嬢だ。


『──それに、私はアンカーソン様からは、どちらかと言うと嫌われていますから』


ーうん。それは俺でも否定し切れないー

何故か、エヴィ嬢もジェマ嬢も、エヴィ嬢の噂や、ブレインのエヴィ嬢に対する誤解を解こうとはしない為、ブレインはずっと誤解したままだ。

ーブレインがジェマ嬢しか見えていないだけだがー

そしてもう一つ、ある意味否定できない事──



“エヴィ嬢が王太子オレの婚約者候補に上がっている”



ーうん。コレは……ちょっと否定なー

また自然と口角が上がる。そんな俺の様子に、更に三馬鹿が顔を赤くしたが、『色々教えてくれてありがとう』と、三馬鹿にニッコリと笑顔を向けた後、俺は踵を返して校舎へと戻って行った。





*その日の放課後の生徒会室にて*


「あれ?そう言えば……アシェル、最近は体調を崩す事がないですね?」

「ん?あぁ……そう言えばそうだな………」

ブレインに言われて、俺もハタと気付いた。

俺の持つ光の魔力はとても強い。その為、俺も幼い頃はよくベッドの住人となっていた。
それも10歳を超える頃には身体が耐えられるようになり、騎士団の騎士達との訓練にも参加し体力等をつけると、更に魔力は安定していった。
それでも、やはり1、2ヶ月に一度は、どうしても体調を崩して寝込んでしまっていたのだが………

ーそう言えば、ここ半年程は体調を崩すどころか、寧ろ、身体が軽く感じるー

“半年”

ーあぁ……なるほどー

「確かに、ここ程は、本当に体調が良いな」

「半年?何か心当たりでも?」

首を傾げるブレインの横で、ジェマ嬢が一瞬だけ眉間に皺を寄せた。

そう。エヴィ嬢と出会ってから半年だ。

“光あっての闇”、“闇あっての光”

おそらく、俺の強過ぎる光の魔力を、俺と一緒に居る事で知らず知らずのうちに、闇の魔力持ちのエヴィ嬢が、中和しているんだろう。

ーこれで、だなー

「アシェル?ニヤニヤ笑って……気持ち悪いですよ?」

「ブレイン、失礼な奴だな」

「本当の事を言ったまでですよ。で?体調が良い理由の心当たりは?」

本当に分からないような顔をしているブレインに、本当の事を言っても全力で否定するだろう。それが分かっているのか、表情は変わってはいないが、ジェマ嬢は内心かなり焦っているだろう。ここで言ってしまっても良いが、邪魔をされるとたまったものではないから、先ずは、しっかり外堀りを埋めてからだな─と、コッソリほくそ笑むと、ジェマ嬢はビクッと体を震わせていた。



*ジェマ視点*

目の前で、殿下が………ほくそ笑んでいる。

殿下がエヴィを気に掛けている事は知っていた。でもそれは、家庭内環境のせいだと思っていたけど……どうやら違うようだ。殿下のあの目は……獲物?を見付けた時の様な……何かを企んでいる時の様な目だ。
数多いる令嬢に一切の興味を持たなかった殿下が、エヴィを狙っている。ブレイン様は、全く気付いていない。気付いていたら、きっと全力で反対している筈。殿下も、そうなる事が分かっているから、今、ここでブレイン様にエヴィの事を言わないのだろう。

ーでも、何故エヴィと体調が良い事が繋がるのかしら?ー

理由はサッパリ分からないけど、私が殿下を止める事なんてできる筈が無い。きっと殿下は、これから一気に外堀を埋めてエヴィを囲い込んでしまうだろう。そう思うと、また自然と体が震えてしまった。

しおりを挟む
感想 188

あなたにおすすめの小説

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

【完結】さようなら。毒親と毒姉に利用され、虐げられる人生はもう御免です 〜復讐として隣国の王家に嫁いだら、婚約者に溺愛されました〜

ゆうき
恋愛
父の一夜の過ちによって生を受け、聖女の力を持って生まれてしまったことで、姉に聖女の力を持って生まれてくることを望んでいた家族に虐げられて生きてきた王女セリアは、隣国との戦争を再び引き起こした大罪人として、処刑されてしまった。 しかし、それは現実で起こったことではなく、聖女の力による予知の力で見た、自分の破滅の未来だった。 生まれて初めてみた、自分の予知。しかも、予知を見てしまうと、もうその人の不幸は、内容が変えられても、不幸が起こることは変えられない。 それでも、このまま何もしなければ、身に覚えのないことで処刑されてしまう。日頃から、戦争で亡くなった母の元に早く行きたいと思っていたセリアだが、いざ破滅の未来を見たら、そんなのはまっぴら御免だと強く感じた。 幼い頃は、白馬に乗った王子様が助けに来てくれると夢見ていたが、未来は自分で勝ち取るものだと考えたセリアは、一つの疑問を口にする。 「……そもそも、どうして私がこんな仕打ちを受けなくちゃいけないの?」 初めて前向きになったセリアに浮かんだのは、疑問と――恨み。その瞬間、セリアは心に誓った。自分を虐げてきた家族と、母を奪った戦争の元凶である、隣国に復讐をしようと。 そんな彼女にとある情報が舞い込む。長年戦争をしていた隣国の王家が、友好の証として、王子の婚約者を探していると。 これは復讐に使えると思ったセリアは、その婚約者に立候補しようとするが……この時のセリアはまだ知らない。復讐をしようとしている隣国の王子が、運命の相手だということを。そして、彼に溺愛される未来が待っていることも。 これは、復讐を決意した一人の少女が、復讐と運命の相手との出会いを経て、幸せに至るまでの物語。 ☆既に全話執筆、予約投稿済みです☆

絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので

ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。 しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。 異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。 異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。 公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。 『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。 更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。 だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。 ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。 モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて―― 奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。 異世界、魔法のある世界です。 色々ゆるゆるです。

わたしを嫌う妹の企みで追放されそうになりました。だけど、保護してくれた公爵様から溺愛されて、すごく幸せです。

バナナマヨネーズ
恋愛
山田華火は、妹と共に異世界に召喚されたが、妹の浅はかな企みの所為で追放されそうになる。 そんな華火を救ったのは、若くしてシグルド公爵となったウェインだった。 ウェインに保護された華火だったが、この世界の言葉を一切理解できないでいた。 言葉が分からない華火と、華火に一目で心を奪われたウェインのじりじりするほどゆっくりと進む関係性に、二人の周囲の人間はやきもきするばかり。 この物語は、理不尽に異世界に召喚された少女とその少女を保護した青年の呆れるくらいゆっくりと進む恋の物語である。 3/4 タイトルを変更しました。 旧タイトル「どうして異世界に召喚されたのかがわかりません。だけど、わたしを保護してくれたイケメンが超過保護っぽいことはわかります。」 3/10 翻訳版を公開しました。本編では異世界語で進んでいた会話を日本語表記にしています。なお、翻訳箇所がない話数には、タイトルに 〃 をつけてますので、本編既読の場合は飛ばしてもらって大丈夫です ※小説家になろう様にも掲載しています。

初恋を諦めたあなたが、幸せでありますように

ぽんちゃん
恋愛
『あなたのヒーローをお返しします。末永くお幸せに』  運命の日。  ルキナは婚約者候補のロミオに、早く帰ってきてほしいとお願いしていた。 (私がどんなに足掻いても、この先の未来はわかってる。でも……)  今頃、ロミオは思い出の小屋で、初恋の人と偶然の再会を果たしているだろう。  ロミオが夕刻までに帰ってくれば、サプライズでルキナとの婚約発表をする。  もし帰ってこなければ、ある程度のお金と文を渡し、お別れするつもりだ。  そしてルキナは、両親が決めた相手と婚姻することになる。  ただ、ルキナとロミオは、友人以上、恋人未満のような関係。  ルキナは、ロミオの言葉を信じて帰りを待っていた。  でも、帰ってきたのは護衛のみ。  その後に知らされたのは、ロミオは初恋の相手であるブリトニーと、一夜を共にしたという報告だった――。 《登場人物》  ☆ルキナ(16) 公爵令嬢。  ☆ジークレイン(24) ルキナの兄。  ☆ロミオ(18) 男爵子息、公爵家で保護中。  ★ブリトニー(18) パン屋の娘。

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

愛し子は自由のために、愛され妹の嘘を放置する

紅子
恋愛
あなたは私の連理の枝。今世こそは比翼の鳥となりましょう。 私は、女神様のお願いで、愛し子として転生した。でも、そのことを誰にも告げる気はない。可愛らしくも美しい双子の妹の影で、いない子と扱われても特別な何かにはならない。私を愛してくれる人とこの世界でささやかな幸せを築ければそれで満足だ。 その希望を打ち砕くことが起こるとき、私は全力でそれに抗うだろう。 完結済み。毎日00:00に更新予定です。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
幼い頃から天の声が聞こえるシラク公爵の娘であるミレーヌ。 この天の声にはいろいろと助けられていた。父親の命を救ってくれたのもこの天の声。 そして、進学に向けて騎士科か魔導科を選択しなければならなくなったとき、助言をしてくれたのも天の声。 ミレーヌはこの天の声に従い、騎士科を選ぶことにした。 なぜなら、魔導科を選ぶと、皇子の婚約者という立派な役割がもれなくついてきてしまうからだ。 ※完結しました。新年早々、クスっとしていただけたら幸いです。軽くお読みください。

処理中です...