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光と闇
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*引き続き、アシェルハイド視点となります*
そして、リンディ嬢のあの性格。これについては、俺と父と母の3人だけが知っている。
光の魔力持ちが生まれると、必ずその者に王家からの“影”が付く。光の魔力持ちを護る為だが、その存在をその親は勿論の事、本人に知らされる事もない。
ただ、ブルーム伯爵は内も外もガードがかなり高かった。エヴィ嬢が魔力を失う時まで、エヴィ嬢が蔑ろにされている事に気付かなかったのだ。
まぁ、これに関しては、エヴィ嬢が我慢して表に出さなかった事もあるが。
エヴィ嬢が魔力を失ってしまってから、ようやく把握したブルーム伯爵家の内情は、酷いものだった。親であるブルーム伯爵と夫人は、エヴィ嬢が寝込んでいると知った上で、家族4人で出掛けていたのだ。リンディ嬢の体調が良かったから。
出掛ける提案をした伯爵に対しも怒りを覚えたが、それを受け入れたリンディ嬢やサイラス殿にはゾッとした。同じ邸に住んでいるのだ。“全く知らなかった”なんて事はないだろう。これには、エヴィ嬢を診た王城付きの医師がかなりキレていて、その怒りを収めるのが大変だった。
自分達の犯した罪を全く理解していないブルーム伯爵と夫人。双子の姉であるエヴィ嬢を貶めして、悲劇のヒロインぶるリンディ嬢。一体、誰がそんな令嬢と婚約したがるのか……。弟の第二王子のイズはこの事実を知らない筈だが、薄々気付いているのか、クラスも違うのもあるが、学校内では殆どリンディ嬢とは関わってはいないようだ。それに、何より、姉であるジェマ嬢の婚約者であるブレインに粉を掛けているのは、エヴィ嬢ではなくリンディ嬢だ。
『──それに、私はアンカーソン様からは、どちらかと言うと嫌われていますから』
ーうん。それは俺でも否定し切れないー
何故か、エヴィ嬢もジェマ嬢も、エヴィ嬢の噂や、ブレインのエヴィ嬢に対する誤解を解こうとはしない為、ブレインはずっと誤解したままだ。
ーブレインがジェマ嬢しか見えていないだけだがー
そしてもう一つ、ある意味否定できない事──
“エヴィ嬢が王太子の婚約者候補に上がっている”
ーうん。コレは……ちょっと否定したくないなー
また自然と口角が上がる。そんな俺の様子に、更に三馬鹿が顔を赤くしたが、『色々教えてくれてありがとう』と、三馬鹿にニッコリと笑顔を向けた後、俺は踵を返して校舎へと戻って行った。
*その日の放課後の生徒会室にて*
「あれ?そう言えば……アシェル、最近は体調を崩す事がないですね?」
「ん?あぁ……そう言えばそうだな………」
ブレインに言われて、俺もハタと気付いた。
俺の持つ光の魔力はとても強い。その為、俺も幼い頃はよくベッドの住人となっていた。
それも10歳を超える頃には身体が耐えられるようになり、騎士団の騎士達との訓練にも参加し体力等をつけると、更に魔力は安定していった。
それでも、やはり1、2ヶ月に一度は、どうしても体調を崩して寝込んでしまっていたのだが………
ーそう言えば、ここ半年程は体調を崩すどころか、寧ろ、身体が軽く感じるー
“半年”
ーあぁ……なるほどー
「確かに、ここ半年程は、本当に体調が良いな」
「半年?何か心当たりでも?」
首を傾げるブレインの横で、ジェマ嬢が一瞬だけ眉間に皺を寄せた。
そう。エヴィ嬢と出会ってから半年だ。
“光あっての闇”、“闇あっての光”
おそらく、俺の強過ぎる光の魔力を、俺と一緒に居る事で知らず知らずのうちに、闇の魔力持ちのエヴィ嬢が、中和しているんだろう。
ーこれで、問題解決だなー
「アシェル?ニヤニヤ笑って……気持ち悪いですよ?」
「ブレイン、失礼な奴だな」
「本当の事を言ったまでですよ。で?体調が良い理由の心当たりは?」
本当に分からないような顔をしているブレインに、本当の事を言っても全力で否定するだろう。それが分かっているのか、表情は変わってはいないが、ジェマ嬢は内心かなり焦っているだろう。ここで言ってしまっても良いが、邪魔をされるとたまったものではないから、先ずは、しっかり外堀りを埋めてからだな─と、コッソリほくそ笑むと、ジェマ嬢はビクッと体を震わせていた。
*ジェマ視点*
目の前で、殿下が………ほくそ笑んでいる。
殿下がエヴィを気に掛けている事は知っていた。でもそれは、家庭内環境のせいだと思っていたけど……どうやら違うようだ。殿下のあの目は……獲物?を見付けた時の様な……何かを企んでいる時の様な目だ。
数多いる令嬢に一切の興味を持たなかった殿下が、エヴィを狙っている。ブレイン様は、全く気付いていない。気付いていたら、きっと全力で反対している筈。殿下も、そうなる事が分かっているから、今、ここでブレイン様にエヴィの事を言わないのだろう。
ーでも、何故エヴィと体調が良い事が繋がるのかしら?ー
理由はサッパリ分からないけど、私が殿下を止める事なんてできる筈が無い。きっと殿下は、これから一気に外堀を埋めてエヴィを囲い込んでしまうだろう。そう思うと、また自然と体が震えてしまった。
そして、リンディ嬢のあの性格。これについては、俺と父と母の3人だけが知っている。
光の魔力持ちが生まれると、必ずその者に王家からの“影”が付く。光の魔力持ちを護る為だが、その存在をその親は勿論の事、本人に知らされる事もない。
ただ、ブルーム伯爵は内も外もガードがかなり高かった。エヴィ嬢が魔力を失う時まで、エヴィ嬢が蔑ろにされている事に気付かなかったのだ。
まぁ、これに関しては、エヴィ嬢が我慢して表に出さなかった事もあるが。
エヴィ嬢が魔力を失ってしまってから、ようやく把握したブルーム伯爵家の内情は、酷いものだった。親であるブルーム伯爵と夫人は、エヴィ嬢が寝込んでいると知った上で、家族4人で出掛けていたのだ。リンディ嬢の体調が良かったから。
出掛ける提案をした伯爵に対しも怒りを覚えたが、それを受け入れたリンディ嬢やサイラス殿にはゾッとした。同じ邸に住んでいるのだ。“全く知らなかった”なんて事はないだろう。これには、エヴィ嬢を診た王城付きの医師がかなりキレていて、その怒りを収めるのが大変だった。
自分達の犯した罪を全く理解していないブルーム伯爵と夫人。双子の姉であるエヴィ嬢を貶めして、悲劇のヒロインぶるリンディ嬢。一体、誰がそんな令嬢と婚約したがるのか……。弟の第二王子のイズはこの事実を知らない筈だが、薄々気付いているのか、クラスも違うのもあるが、学校内では殆どリンディ嬢とは関わってはいないようだ。それに、何より、姉であるジェマ嬢の婚約者であるブレインに粉を掛けているのは、エヴィ嬢ではなくリンディ嬢だ。
『──それに、私はアンカーソン様からは、どちらかと言うと嫌われていますから』
ーうん。それは俺でも否定し切れないー
何故か、エヴィ嬢もジェマ嬢も、エヴィ嬢の噂や、ブレインのエヴィ嬢に対する誤解を解こうとはしない為、ブレインはずっと誤解したままだ。
ーブレインがジェマ嬢しか見えていないだけだがー
そしてもう一つ、ある意味否定できない事──
“エヴィ嬢が王太子の婚約者候補に上がっている”
ーうん。コレは……ちょっと否定したくないなー
また自然と口角が上がる。そんな俺の様子に、更に三馬鹿が顔を赤くしたが、『色々教えてくれてありがとう』と、三馬鹿にニッコリと笑顔を向けた後、俺は踵を返して校舎へと戻って行った。
*その日の放課後の生徒会室にて*
「あれ?そう言えば……アシェル、最近は体調を崩す事がないですね?」
「ん?あぁ……そう言えばそうだな………」
ブレインに言われて、俺もハタと気付いた。
俺の持つ光の魔力はとても強い。その為、俺も幼い頃はよくベッドの住人となっていた。
それも10歳を超える頃には身体が耐えられるようになり、騎士団の騎士達との訓練にも参加し体力等をつけると、更に魔力は安定していった。
それでも、やはり1、2ヶ月に一度は、どうしても体調を崩して寝込んでしまっていたのだが………
ーそう言えば、ここ半年程は体調を崩すどころか、寧ろ、身体が軽く感じるー
“半年”
ーあぁ……なるほどー
「確かに、ここ半年程は、本当に体調が良いな」
「半年?何か心当たりでも?」
首を傾げるブレインの横で、ジェマ嬢が一瞬だけ眉間に皺を寄せた。
そう。エヴィ嬢と出会ってから半年だ。
“光あっての闇”、“闇あっての光”
おそらく、俺の強過ぎる光の魔力を、俺と一緒に居る事で知らず知らずのうちに、闇の魔力持ちのエヴィ嬢が、中和しているんだろう。
ーこれで、問題解決だなー
「アシェル?ニヤニヤ笑って……気持ち悪いですよ?」
「ブレイン、失礼な奴だな」
「本当の事を言ったまでですよ。で?体調が良い理由の心当たりは?」
本当に分からないような顔をしているブレインに、本当の事を言っても全力で否定するだろう。それが分かっているのか、表情は変わってはいないが、ジェマ嬢は内心かなり焦っているだろう。ここで言ってしまっても良いが、邪魔をされるとたまったものではないから、先ずは、しっかり外堀りを埋めてからだな─と、コッソリほくそ笑むと、ジェマ嬢はビクッと体を震わせていた。
*ジェマ視点*
目の前で、殿下が………ほくそ笑んでいる。
殿下がエヴィを気に掛けている事は知っていた。でもそれは、家庭内環境のせいだと思っていたけど……どうやら違うようだ。殿下のあの目は……獲物?を見付けた時の様な……何かを企んでいる時の様な目だ。
数多いる令嬢に一切の興味を持たなかった殿下が、エヴィを狙っている。ブレイン様は、全く気付いていない。気付いていたら、きっと全力で反対している筈。殿下も、そうなる事が分かっているから、今、ここでブレイン様にエヴィの事を言わないのだろう。
ーでも、何故エヴィと体調が良い事が繋がるのかしら?ー
理由はサッパリ分からないけど、私が殿下を止める事なんてできる筈が無い。きっと殿下は、これから一気に外堀を埋めてエヴィを囲い込んでしまうだろう。そう思うと、また自然と体が震えてしまった。
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