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みん

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グレイシーとエルド

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「フェリシティ!」

入学式の翌日。学園に登校すると、名前を呼ばれ振り返ると、そこには幼馴染みでもあるグレイシーが居た。

「グレイシー、おはよう。」

「フェリシティ、おはよう。昨日はお喋りができなくて寂しかったけど、今日は大丈夫?」

「昨日はごめんなさい。王城から呼び出しがあって…。でも、今日は時間があるわよ。」

「やったー!それじゃあ、帰りにどこかでランチを食べて、私の邸でゆっくりしましょう!お母様も、フェリシティに会えるのを楽しみにしてたのよ。」

「ふふっ。それは、私も楽しみだわ。」


ーグレイシー=オルコットー

エルダイン領の隣の領地を治めている、オルコット伯爵の令嬢である。第一王子よりも付き合いは長い。
そして、この学園でも同じクラスになれた。

「はぁー同じクラスにメルヴィル様も居るなんてね…。」

「何?グレイシーは、今でも殿下とは仲の良い幼馴染みでしょう?」

「仲が良い─と言ってもねぇ…が居るからでしょう?」

ーエルド=リステリアー


エルドは、このグレイシーの婚約者であり、第一王子の側近候補でもある侯爵家の次男である。そして、第一騎士団団長である父を持ち、エルド自身も騎士見習いとして騎士団に所属している。
2人の婚約は、このエルドの一目惚れで、侯爵家からの婚約申し込みを断られる筈がなく──それでも、今ではすっかり仲の良い2人で、見ている私も温かい気持ちになれる程だ。


「と言うか、メルヴィル様とフェリシティは…なのね。」

と、グレイシーは苦笑する。

「相変わらずと言うか……私は殿下のに添ってるだけよ?」

「んー…それはそうなんだけどね。ま、私はフェリシティが良いなら良いわ。」

そう言うグレイシーと一緒に、私達は教室へと向かった。











「グレイシー、おはよう。」

「エルド、おはようございます。」

教室に入り、真っ先に挨拶にやって来たのは、グレイシーの婚約者であるエルド=リステリア様だった。このリステリア様も、同じクラスである。

「これから毎朝、グレイシーの顔が見られると思ったら、俺は本当に幸せだよ!」

「─っ!エルドっ!!」

グレイシーの顔は真っ赤だけど、砂糖を吐いたエルド本人は至って普通の顔──否、満面の笑みだ。

「ふふっ。ご馳走様です。」

「フェリ!!」

「あぁ!こうして直接会って話すのは初めてでしたね。俺はエルド=リステリア。いつも、グレイシーからあなたの事を聞いていたので、会って話をしてみたいと思っていたんです。俺の事は、エルドと呼んでくれ。」

「ご挨拶、ありがとうございます。私はフェリシティ=エルダインです。私の事もフェリシティとお呼び下さい。」

そして、エルド様はそのまま視線をフッと動かして

「挨拶しようにも、メルヴィルの周りには人が居るから、大変だな。」

そう言われて、私も第一王子に視線を向ける。
確かに、第一王子の周りには男女関係無く数人が集まり、第一王子を囲んでいる。

「──あの中を、態々挨拶をしに行くのも…必要ないでしょうね。」

ー第一王子は、私からの挨拶なんて望んでないだろうしねー

久し振りに会った昨日。国王両陛下との謁見の後、婚約者候補5人と第一王子とのお茶会があったが──

最初に挨拶を交しただけで、その後は、私は第一王子とは一言も言葉を交わす事はなかった。他の4人の候補者達が、とても嬉しそうに第一王子と話しているのを、私はただただ眺めていただけだった。

第一王子とは、視線すら合わなかった。

そんなお茶会──楽しい筈もない。早く終われば良いのに─と、呪文のように心の中で繰り返し呟いていたのは、私だけの秘密だ。






学園2日目の今日は、これからの授業の説明と、校内案内だけの午前中で終わった。その為、私はグレイシーと一緒にランチのできる店へとやって来た。この後、グレイシーの家に遊びに行く為に、エルダインうちの馬車には先に帰ってもらった。因みに、グレイシー付きの侍女メリルと、ココも幼馴染みなので、この2人も一緒に来ている。まぁ、主従関係はあるが、この4人ともが幼馴染みなのである。

その4人でランチをした後、久し振りにグレイシーの家─オルコット伯爵邸へとやって来た。


「フェリシティ!久し振りね!」

そこで出迎えてくれたのは、グレイシーの母親であるオルコット伯爵夫人のペティ様。

「ペティ様、お久し振りです。」

「もー!そんな他人行儀な挨拶は止めてちょうだい!ソフィアの子供のフェリシティは、私の子も同然なのだからね!」

「ふふっ。ペティ様、ありがとう。」

このペティ様と私の母は、学園時代からの親友だったそうだ。その為、母が儚くなった後、父が子連れで後妻を迎え入れた時は──怒り狂っていた。はい。文字通り怒り狂っていた。何故か、幼いながらも私とグレイシーで必死に宥めたのを覚えている。そのお陰?か、悲しかった私の心が少し救われた気がした。私の代わりに怒ってくれる人が居るのか─と。
なので、私はこのペティ様が大好きだ。





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