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壱拾捌
しおりを挟む婚姻の宣言をし終えると、どこからともなく、水色とミントグリーンの花びらが舞い上がった。澄み切った青空へと舞い上がるその光景は、一生忘れる事はないだろう。
その時のお母様の顔はドヤ顔で、お父様はやっぱり、そんなお母様を優しい目で見つめていた。
式が終わった後は、そのまま中庭で立食形式のパーティーをして、その間、参列してくれた人達にお礼を言いながら、沢山お喋りもした。
「ヴィー……オラ、本当に……キレイで………うっ……シリウス殿、ヴィオラを…絶対に幸せに…して下さい!!うぅ─っ」
「……はい、必ず幸せにします。」
「「「「…………」」」」
半泣き状態のリオン王太子。国王陛下譲りの泣き虫─と言っていたのはミヤ様だったっけ?そんな半泣き状態のリオンを、ミヤ様とサクラは“やれやれ─”と言う感じでリオンの肩を優しく叩き、国王陛下は──何故か半泣き状態でリオンを抱きしめていた。
「んーっ!ヴィーちゃん可愛い!流石はハルさんの子ね!また遊びに行くし、遊びに来てね!あー、本当に可愛いわぁ」
「ルーチェ、少し落ち着こうか?」
ルイスとルーチェも、相変わらず仲が良い。このやりとりを見ていると、ほっこりする。
『ヴィー、すまない。結婚式には参列できないんだ。』と、魔法の手紙がリュウさんから届いたのは昨日だった。ジークフラン様が退位した後、リュウさんもジークフラン様と共に隠居生活を始めた─のだけど、『グレン殿を追い掛ける!』とジークフラン様が宣言すると『放っておけないから』と言って、リュウさんも付いて行ってしまったのだ。
私の式迄には4人で戻って来る予定だったけど、どうやら魔獣が大量に現れた国があったようで……4人共が嬉々としてその国に向かい、今日には間に合わなかったようだ。
「「「あの4人らしいな」」」
と、皆で笑った。今日、私の姿を見せられなかったのは残念だけど、4人が元気である限りまた会えるのだから──。
「ヴィー、今日は今迄で一番可愛いね!」
「ありがとうございます」
クレイル様は、相変わらず私には“可愛い”を大盤振る舞いしている。これまた相変わらず、お母様を見る目は“可愛い”と言っているけど、「─かっ」で終わり、お父様から冷たい視線を向けられ、お母様には……不思議そうな顔をされている。
どんなに月日が経とうとも、皆が変わらない事がとても嬉しい。
「──では、そろそろ…」
と言うお父様の掛け声で、パーティーはお開きとなった。
「それじゃあ、またいつでも、パルヴァンや蒼の邸に遊びに来てね?」
「ヴィー、体に気を付けてな。」
「ヴィー、魔法の使い過ぎには気を付けろよ?」
「お父様、お母様、お兄様、ありがとうございました。」
お母様、お父様、お兄様に見送られながら、私とシリウス様は、その日のうちに、これから2人で住む邸へと転移した。
その邸には、すでに使用人達が待ち構えていて、「さぁ!急いて準備をしましょう!」と、2人がかりで体中を磨き上げられた。そして、磨き上げられた後「えっ!?」と声を挙げる間もなく、“スケスケ”を着せられて、「行ってらっしゃいませ」と、寝室へと放り込まれた。
『初夜はね…何故かスケスケなの。どんなに抵抗しても、スケスケなの。でもね、スケスケなんて、取るに足らない問題だから、諦めて着るしかないの。シリウス様も騎士だから……“騎士の嫁のあるある”も、あるかもしれないから、気を付けてね。』
とお母様からよく意味が分からない助言?はされていたけど─
ーこのスケスケが取るに足らない問題とは一体?ー
その答えも、直ぐに理解した。色んな意味で…着る必要があったのか?とさえ思ってしまいました。明日以後は、ちゃんとした寝夜着を用意しよう──それは、かろうじて、まだなんとか意識?理性?を保っていた時の最後の思考だった。
ーあれ?私とシリウス様って、14の年の差がなかった?ー
なんて、何度思っただろうか。寝室に入ったのは夜。そこから私が気を失───寝てしまったのが、早朝だった。次に目を覚ましたのがお昼過ぎ。
「ヴィー、すまない。身体は…大丈夫か?」
と、焦っているシリウス様は珍しい。
「正直、身体は……結構辛いです。それでも、この辛さは……幸せな辛さ─ですね。」
と、恥ずかしさを我慢しながら答えると、何故かまた……押し倒された。
早速、私も“騎士の嫁のあるある”を体験したようです。
お父様とお母様のような夫婦になりたいと、憧れてはいたけど、これ迄同じ様にならなくても…良かったのだけど───と思いながら、私はまた、シリウス様を必死になりながら全てを受け止めた。
それから2年後。
ライリー様とサクラの間に双子の王子が生まれ、シリウス様と私の間には、女の子が生まれた。これがまたお母様と私にそっくりな女の子で──
シリウス様をはじめ、お祖父様やお父様やお兄様の溺愛っぷりには、私とお母様は笑う事しかできなかったのは、2人だけの秘密だ。
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