二度目の召喚なんて、聞いてません!

みん

文字の大きさ
59 / 82
二度目の召喚

同郷3人

しおりを挟む


「リア、大丈夫だった?」

「はい、大丈夫です。」


王城に無断侵入してから3日後、邸にバーミリオンさんとアズールさんがやって来た。
一応、同郷のエメラルドの事があった為、2人には今回の事を手紙で知らせたら、一度3人で会おう─と言う事になり、アズールさんの王都に戻って来る日に合わせて会う事になった。

やっぱり、この2人の能力は4年前よりも高くなっている。バーミリオンさんは隠しているようだけど、魔力の強さで言うと、魔導士団長のユルゲンさんを上回っていると思うし、アズールさんは英雄レベルなんじゃないだろうか?

やっぱり、為すべきことを為すと能力が上がり、それを怠ると、その能力は失われていく─と言う事なんだろう。
召喚された時は、こちらの世界の都合で呼ばれた─言わば“招待客”状態だったけど、その後、この世界に残ると決めたなら、客人ではなくなるのだから、この世界の住人となる努力が必要になるのかもしれない。
エメラルドは、それを理解していなかったのだ。


「ウィステリア、そろそろ“リア”って呼んでも良い?」
「え?アズールさん、まだソレを気にしてたんですか?」
「するだろう!仲間なのに、何だかよく分からない理由で却下されてるんだから!」

アズールさんは相変わらず─いや、歳を重ねて更にイケメンになっている。きっと、今でもモテているだろう事は簡単に予想できる。できれば、愛称呼びなんて御免被りたいけど───どうせ、私は元の世界に還るから、それ迄なら───

「分かりました。アズールさんには、今回助けてもらいましたし……少しの期間だけど、“リア”と呼んでも良いです。」

「よし!ありがとう、リア……って、やっぱり日本に還るのか?」

パッと笑顔でお礼を言うアズールさんの顔面偏差値は、マックスなんじゃないかなぁ?

「そうですね、還ります。」



『──ウィステリア……必ず……元の世界に還れ………』



私を庇って湖に沈んで行ってしまったルーファスさんが最後に残した言葉。あの言葉がなかったら……この世界に残ろうと思ったかもしれないけど…。“絶対還るから”と約束した。なら、私は約束通りに還るだけだ。

「そっか。それじゃあ……リアが日本に還る迄は、俺も王都に滞在するから、お茶ぐらいは付き合ってもらおうかな。」

ニッコリ笑うアズールさん。

ー嫌です。もう、令嬢達からの口撃を喰らうのは遠慮したいー

なんて、この笑顔のアズールさんに誰が言える?いや、自分の平和の為には言った方が良いよね?

「その時は、俺とエラも一緒に行───」
「はい!バーミリオンさんとエラさんが居るなら喜んで!」
「何でだ!?返事が喰い気味になる程俺と2人は嫌だったのか!?」
「ははっ、リアは相変わらずだな」
「アズールさんが鈍感過ぎるんです!!」

それから3人で笑い合って、日本での話もしたりして、少しの間楽しい時間を過ごした。

本来であれば、ここにエメラルドも居たのに──と、少しだけ寂しい気持ちになってしまったのは……仕方無い事にしておこう。




「エメラルドは…“久保さん”だったよな?」

やっぱり、バーミリオンさん─谷原先輩も、アズールさん─本間君も、久保さんや私の名前も思い出していた。思い出せていなかったのはエメラルド─久保さんだけだった。

「それじゃあ、俺達が名前を取り戻せた時には、もう既にエメラルド─久保さんの聖女としての能力は……殆ど無かったのかもしれないな。と言うか……エメラルドに俺達の真名が知られなくて良かったとさえ思うよ。」

バーミリオンさんのその言葉、本当にその通りだなと思う。

「あ、それでね、アレサンドル様には許可を得ているんだけど、2人はエメラルドに会いたい?今、アイリーン様待ちでエメラルドは王城で監禁されてるみたいなんだけど、これからどう言う扱いになるか分からないから、会いたいなら今のうちに─と思って……」

2人がエメラルドに会う条件としては、私の同行が必須だと言われた。聖女としての能力が殆ど無いとは言っても何が起こるか分からないから、真名を掌握している私が居た方が良い─と言う事になったのだ。

「そうだな……どうなるか分からないなら……俺は会っておこうかな。」
「アズールが会うと言うなら、俺も会っておくよ。」

「分かりました。それじゃあ、アレサンドル様に日程を確認してから、また2人に手紙を飛ばしますね。」


話し合いが終わると、イチコとニコお手製のわらび餅と抹茶が用意され、また3人で盛り上がり、そのまま夕食も─となり、バーミリオンさんが仕事終わりのエラさんを迎えに行き、4人で一緒に食べた。

因みに、夕食は“すき焼き”だった。





その2日後。私達がエメラルドに会いに行く日は、それから一週間後と言う事が決まった。





しおりを挟む
感想 223

あなたにおすすめの小説

裏切られた氷の聖女は、その後、幸せな夢を見続ける

しげむろ ゆうき
恋愛
2022年4月27日修正 セシリア・シルフィードは氷の聖女として勇者パーティーに入り仲間と共に魔王と戦い勝利する。 だが、帰ってきたセシリアをパーティーメンバーは残酷な仕打で…… 因果応報ストーリー

召喚聖女に嫌われた召喚娘

ざっく
恋愛
闇に引きずり込まれてやってきた異世界。しかし、一緒に来た見覚えのない女の子が聖女だと言われ、亜優は放置される。それに文句を言えば、聖女に悲しげにされて、その場の全員に嫌われてしまう。 どうにか、仕事を探し出したものの、聖女に嫌われた娘として、亜優は魔物が闊歩するという森に捨てられてしまった。そこで出会った人に助けられて、亜優は安全な場所に帰る。

どちらの王妃でも問題ありません【完】

mako
恋愛
かつて、広大なオリビア大陸にはオリビア帝国が大小合わせて100余りある国々を治めていた。そこにはもちろん勇敢な皇帝が君臨し今も尚伝説として、語り継がれている。 そんな中、巨大化し過ぎた帝国は 王族の中で分別が起こり東西の王国として独立を果たす事になり、東西の争いは長く続いていた。 争いは両国にメリットもなく、次第に勢力の差もあり東国の勝利として呆気なく幕を下ろす事となった。 両国の友好的解決として、東国は西国から王妃を迎え入れる事を、条件として両国合意の元、大陸の二大勢力として存在している。 しかし王妃として迎えるとは、事実上の人質であり、お飾りの王妃として嫁ぐ事となる。 長い年月を経てその取り決めは続いてはいるが、1年の白い結婚のあと、国に戻りかつての婚約者と結婚する王女もいた。 兎にも角にも西国から嫁いだ者が東国の王妃として幸せな人生を過ごした記録は無い。

追放聖女の再就職 〜長年仕えた王家からニセモノと追い出されたわたしですが頑張りますね、魔王さま!〜

三崎ちさ
恋愛
メリアは王宮に勤める聖女、だった。 「真なる聖女はこの世に一人、エミリーのみ! お前はニセモノだ!」 ある日突然いきりたった王子から国外追放、そして婚約破棄もオマケのように言い渡される。 「困ったわ、追放されても生きてはいけるけど、どうやってお金を稼ごうかしら」 メリアには病気の両親がいる。王宮で聖女として働いていたのも両親の治療費のためだった。国の外には魔物がウロウロ、しかし聖女として活躍してきたメリアには魔物は大した脅威ではない。ただ心配なことは『お金の稼ぎ方』だけである。 そんな中、メリアはひょんなことから封印されていたはずの魔族と出会い、魔王のもとで働くことになる。 「頑張りますね、魔王さま!」 「……」(かわいい……) 一方、メリアを独断で追放した王子は父の激昂を招いていた。 「メリアを魔族と引き合わせるわけにはいかん!」 国王はメリアと魔族について、何か秘密があるようで……? 即オチ真面目魔王さまと両親のためにお金を稼ぎたい!ニセモノ疑惑聖女のラブコメです。 ※小説家になろうさんにも掲載

【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください

ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。 義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。 外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。 彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。 「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」 ――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。 ⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎

【完結】聖女が世界を呪う時

リオール
恋愛
【聖女が世界を呪う時】 国にいいように使われている聖女が、突如いわれなき罪で処刑を言い渡される その時聖女は終わりを与える神に感謝し、自分に冷たい世界を呪う ※約一万文字のショートショートです ※他サイトでも掲載中

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

処理中です...