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#初めての調教*
しおりを挟む「というわけで、するなら初心者用の調教をお願いします、女王様」
初めて聞いた単語とばかりに、アイリーンは繰り返した。
「初心者用の調教……?」
「それ奴隷に聞いちゃうの、女王様?」
カリオンが苦笑すると、アイリーンは無知を指摘されたようにびくっとして、「ちょっと待ってて!」と自室に引っ込んだ。
ベッドに腰掛けながらカリオンが待っていると、彼女は大きな鍵付きのトランクを重そうに持ってきた。
開けるとそこには、大量のSMグッズがずらり。
「……コレクション好きなタイプ?」
覗き込むとハードなのから医療用まで、どうやって使うのか想像できない――できても自分が使う想像は脳が拒否する――さまざまなグッズが収められていた。
「だってあなたがどんなの好きかわからなかったから!」
真っ赤になってアイリーンは怒った。
「……俺のために集めてくれたってこと?」
胸が熱くなった。なんて可愛い女王様だろう。
「ねぇ、アイリーン。これ全部、俺に使うこと想像して集めたの?」
とたんにえげつない道具がすべて、愛の証に思えた。アイリーンがこれを使いたいって言うなら、使わせてあげたい。
耳まで赤くしてアイリーンは黙り込んでいる。こんなに可愛い女王様、反則じゃないだろうか。
「いいよ、君の好きな道具を使おう。ただし、ゆっくりね。どうしても無理な時は尊重してほしい」
「尊重……?」
「そうだなぁ、合言葉を決めようか。普段使わない単語でたとえば……『帰還命令』。この単語が出たら、何があっても即プレイをやめる合図。いい? 俺も君がこの単語を出したらすぐやめるし、離れるから」
恥ずかしいと、つい嫌とか無理と言ってしまいがちだが、恥ずかしいだけなのか、本当にやめてほしいのか、合図を決めておくのは重要だ。
アイリーンは新米女王で、そのへんの判断が難しいだろうが、合図があればやめてくれるだろう。
「それと最初のうちは、何をするか、やっても大丈夫か聞いてほしいな。いきなりあんなの突っ込まれたら、二度と無理!ってなっちゃうよ」
アイリーンが使う気満々だった、えげつないペニバンを指して言うと、女王様はしゅんとした。
「あなたの体格なら、できるだけ大きくてごついほうがいいと思って……」
「体が大きくても、お尻の穴は小さいんです」
「そうなの? 見たい」
興味を持たれてカリオンは固まった。
「いや、あの……今度ね。君に見せるには、まだ処理もしてないし、恥ずかしい」
若い女の子は男の体毛を嫌がるから、今どきの男は脱毛してるという話をカリオンは思い出した。脱毛しておくべきだっただろうか。毛だらけの尻の穴を見せてアイリーンに嫌われたくない。
アイリーンはトランクから黒革の手枷を取り出した。
「これは? 付けてもいい?」
「いいよ」
厚くて頑丈な、高級感ただよう手枷だった。内側はクッション素材で、長時間付けても痛くないようになっている。
カラビナタイプの金属環がついており、どこにでも拘束できる。
「両手を後ろにまわして」
「はい、女王様」
背中を向けて後ろ手に拘束されると、もう思い通りには動けない。女王様の思うがままだ。
(思ったよりいいな……)
アイリーンはベッドの上部にクッションを重ねて寄りかかるよう言った。仰向けになると、アイリーンにのしかかられる。ドキドキした。
「服、脱がせてもいい?」
「いいよ。女王様になら、いつでも。むしろ歓迎」
軽口を叩いても興奮を抑えるのに必死だった。アイリーンの細い指が寝巻き代わりのシャツのボタンを外していく。
「すごい……筋肉……」
「一応騎士だからね。鍛えてはいるよ」
「……触っていい?」
「どこでもどうぞ」
革手袋をしたアイリーンの指が首筋から下になぞっていく。
「ん……っ」
もどかしくて、切なくなる触り方だった。アイリーンの指が乳首をこすり、「んんっ」とさらに声がもれた。
「ここ触られるの好き?」
「どうかな。あんまり……意識したことないけど」
「開発しがいがあるね」
ふっと笑われてゾクリとした。体中、アイリーンに開発されるのを改めて意識して、「されたい」と思ってしまった。
(やばいな。俺、そっちの気はないと思ってたのに……)
アイリーンは女王になりたがってはいるが、自分の性癖をよくわかっていない。最終的にソフトSMくらいに落ち着くんじゃないかと思っていたのに、カリオンのほうがそれ以上を求め始めている。
「あっ、ん、アイリーン……っ」
彼女はカリオンの乳首をつまんで、革手袋越しにこすり、強く引っ張り始めた。
「痛い? やめてほしい?」
「変な声っ、出るから……っ」
体を折り曲げてカリオンは耐えた。上に乗ったアイリーンに気づかれないよう必死にこらえるが、ペニスが張り詰めて痛い。
寝間着のスウェットの上からアイリーンに股間を触られた。
「大きくなってる……縛られて興奮しちゃったの、変態さん?」
「……っ、女王様の責めがよくて」
なんとか軽口で返したが、顔が熱くてたまらなかった。10歳も年下の妻に縛られて身動きを取れない中、乳首を責められて興奮してしまったのは事実だ。
アイリーンは手袋をした指先で、布越しにカリオンの興奮したものをなぞりあげた。
「……っ!!」
「ねぇ、イきたい、奴隷さん?」
ぞくぞくする。それに答えろというのだろうか。この身動きの取れない状況では、そうするしかない。
「頼むよ、女王様」
シーツを見ながらカリオンはねだった。声が震えるほど恥ずかしかった。
アイリーンの指がカリオンの顎を持ち上げて、強制的に視線を合わされた。
「おねだりの仕方を知らないの? ちゃんと目を見て、どうして欲しいのか言わないと、なんのことかわからないわ」
背筋が粟立つようだった。新米で、まだ空回りの多い残念な女王だと侮っていたのに、今目の前にいるのはまぎれもなくカリオンを支配する女王だった。
「触って……ほしい」
支配されて勝手に口が動いているような気がした。
「どこを?」
「君の責めで興奮して……昂ってる、俺の恥ずかしいところ」
「ここ?」
布の上から撫でられて、カリオンは何度も頷いた。スウェットの紐をゆるめて、アイリーンの手が興奮したカリオンのものを取り出す。
「どうしてほしいの?」
「強く握って……しごいて欲しい。君の前で、イきたい」
唇がぶつかるようにキスされた。
「よく言えました」
奴隷を褒めて笑う女王様が美しくて、見惚れてしまった。
(なんて綺麗な人なんだろう……)
アイリーンはトランクからボトルを取り出した。
「ローションかけるね。ちゃんとおねだり出来たご褒美に、イかせてあげる」
ひやりとしたジェルがたっぷりとかけられ、アイリーンは強く握ってしごき始めた。すごく気持ちがいい。
「これも当てるね」
見せられたのは卵型の振動魔道具。わずかにカリオンが頷くと、亀頭にぐりぐりと当てられて腰が浮いた。
「あ、あ、あ……っ!!」
強い刺激にビリビリと敏感な場所がしびれた。初めての快感にまったく制御がきかない。何も考えられない。
竿をアイリーンにしごかれて、数分ともたずにカリオンは達した。アイリーンの前で、自分でも驚くほど大量の白濁液を出してしまった。
(恥ずかしくて死ぬ……っ)
身をよじってカリオンはクッションに顔を押し付けた。こんな姿をアイリーンに見られるなんて。
調教させてあげるつもりだったのに、初回から失敗した。アイリーンに調教されて、いいようにイかされてしまったのだ。
(いっそ殺してくれ……)
こんな羞恥、耐えられない。
手袋についた精液をティッシュで拭って、アイリーンはカリオンの手枷を外した。
「初心者プレイって、こんな感じ?」
「ど……う、かな」
しぼり出すのが精一杯だった。これが初心者プレイ? かなり大事なものを失った気がするのだが。
アイリーンは不安そうにカリオンを見つめた。
「嫌だった? 気持ちよくなかったの?」
「そうじゃない! 気持ちよかったよ。でも……恥ずかしくて」
言葉にするともっと恥ずかしかった。アイリーンは小首をかしげ、カリオンにささやく。
「でももう一生、あなたはこんな風にしかイけないよ。私におねだりして、懇願しないとイかせてもらえないんだから」
ぞくぞくぞくっ。背筋を快感に似た何かが走った。
「痛いとこない? じゃあ私、部屋に戻るね。楽しかった。ありがとう」
額にキスしてアイリーンはトランクを抱えて出ていった。
(楽しかった……? 俺をあんな風に責めて、イかせて?)
認めないわけにはいかなかった。
(俺も楽しかったよ……!)
恥ずかしくて死にそうだったが、すごくすごく気持ちよかった。出張から戻ったら、またされたい。もっと痛いことや苦しいことでも――。
これからアイリーンにされる調教を思うと、ずくん――と腹の奥がうずいた。それが何なのか、この時のカリオンには知るよしもなかった。
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