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#後ろの調教*
しおりを挟むアイリーンが、白い手に薄いラテックスの手袋をはめる。
パチン、と静かな音が部屋に響いた。
カリオンの腰にはクッションが入れられた。脚は開かれたまま、後ろの小さな穴が、アイリーンの目の前に晒される。
(いっそ、殺してくれ……)
羞恥で息が詰まりそうになる。
見られている。
全てを、隠しようもなく――。
「可愛いお尻。ピンク色で、小さい。ここも剃ったの? すごく綺麗」
アイリーンの声音が優しく、でも少し驚いていた。
「君に……嫌われたくなくて」
掠れた声で、なんとか言葉を絞り出す。
アイリーンは微笑み、カリオンの頬を優しく撫でた。
「良い子の奴隷さん。気持ちよくしてあげるからね」
ローションが垂らされ、冷たい感触とともに指先が優しく撫でる。
けれど、恥ずかしさが勝ってしまい、快感どころではない。
カリオンはただ震えるだけだった。
「中も綺麗にしましょうね」
指のかわりに、柔らかくぬるぬるとした感触が入ってくる。
スライム――腸内洗浄用に開発された医療魔物だ。薬局にも売られていたが、さすがにスライムを入れるのは抵抗があって選べなかった。
アイリーンが使うのはプレイ用に媚薬漬けにされたタイプだった。とろとろに濡れた生き物が、奥へ奥へと入っていく。
「っ、う、うぅっ……な、なにこれ……っ、変な感じ……っ」
混乱と羞恥、初めての感覚に、ただ喘ぐしかない。
「……ひょっとして、中洗った? スライムが食べるものないって不満そう」
「君を……万一でも汚すわけにいかないだろ」
それが、精一杯だった。
アイリーンの瞳が柔らかく揺れ、そっと身をかがめる。
唇がカリオンの唇に触れ、優しく、深く、キスを交わす。
「どうして……私のために、そこまでしてくれるの?」
その問いに、カリオンはまっすぐに答えた。
「好きだからだよ。俺の女王様。奥さん。君を、愛してるから」
◇◆◇
「好きだからだよ。俺の女王様。奥さん。君を、愛してるから」
その言葉をアイリーンはどこか人ごとのように聞いていた。
自分なんかのどこがいいのか、愛される要素なんて何もないと思うから、そんな風に言われてもピンとこない。
(プレイで興奮してハイになってるのかな……)
女王様になる勉強の一環で、気持ちよくなると思ってもないことを言うことはよくあると知った。兄はアイリーンを犯すとき侮辱しかしなかったが、カリオンは優しい人なので侮辱よりも愛の言葉をささやくというのは納得だった。
(逆に……たちが悪い気もするけど)
心にもないことを言って、いっぱい女性を騙して来たんだろうか。アイリーンはそれに嫉妬する立場にないが、悪い人だなと思う。
(いっぱい……いじめちゃおう。だって私、女王様だもの)
スライムを瓶に戻すと、ローションを少し指にとり、カリオンの後ろにそっと触れる。
「入れるね」
静かに言って、ゆっくりと一本の指を挿入する。
カリオンの身体が緊張でこわばる。
(確かこの辺……)
くいっと指を曲げた、その瞬間――。
「うぁっ……!?」
カリオンの腰が浮いた。
膝を突っ張り、肩で息をしながら、目を見開いている。
「ここ? 気持ちいい?」
くに、くに、と前立腺を優しく撫でる。
それだけで、カリオンの体はビクビクと震え、前はガチガチに勃っていた。
腰が勝手に揺れている。
「そ、そこ……っ、変だ……何か、出そうになる……っ」
涙すら浮かべながら、熱い吐息を漏らすカリオン。
アイリーンは、指を動かす手を止めず、優しく問いかけた。
「嫌? やめてほしい? 合言葉は覚えてる?」
「お、覚えてるよ……っ、だいじょうぶ……」
声が震えても、確かな意思がこもっていた。
帰還命令は出なかった。
夜の静けさのなか、カリオンの切なく甘い喘ぎ声だけが部屋に響いていた。
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