家ごと異世界ライフ

ねむたん

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おちつく我が家

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湖畔での旅を終え、一行は森へと戻ってきた。新緑の森は、彼らを優しく迎え入れるように風に揺れている。木漏れ日が差し込む道を歩きながら、紬は改めて森の居心地の良さを感じていた。

「やっぱり、ここが一番落ち着くなぁ。」紬がしみじみと言うと、ルカが頷いて笑った。
「うん、湖も素敵だったけど、この森の空気が一番心地いいよね。」

行商人の荷車を押していたガロンが後ろを振り返り、「おい、セス。あの山で拾った石をまだ持ってるのか?」と尋ねた。
「もちろん!磨けば価値が出るかもしれないしな。」セスは荷物から取り出した石を見せながら、何かに使えないかと考え込んでいた。

村に戻ると、知恵の木がいつものように静かに待っていた。大きな幹を見上げて、紬は「ただいま」と小さくつぶやく。すると葉がさざ波のように揺れ、歓迎しているようだった。

それぞれ自分の家に戻ると、日常の生活が再び始まった。紬はまず自宅に入るなり、転移して以来なぜか変わらず使えるキッチンでお湯を沸かした。温かいお茶を淹れ、一息つく。

「さて、また庭の手入れでもしようかな。」
庭に出ると、家庭菜園の野菜たちがすっかり成長していた。トマトの赤い実がぽつぽつと実り、ズッキーニやハーブも瑞々しく茂っている。紬は嬉しそうに収穫を始めた。

その頃、村の住人たちもそれぞれの作業に戻っていた。エリナは編み物の教室を開き、ルカと子どもたちが一緒に毛糸で小さなぬいぐるみを作っている。ガロンは湖から持ち帰った魚の干物を燻製にしていた。

セスは相変わらずどこかへ行ったかと思えば、ほどなくして「紬ー、これ見てくれ!」と庭に飛び込んできた。
「どうしたの?」紬が問いかけると、セスは例の山で拾った石を磨きながら、「ほら、きれいな模様が出てきたんだ!」と嬉しそうに見せる。

「ほんとだ、すごくきれいだね。これ、アクセサリーとかにできるかも?」
「お、いいアイデアだな!」セスは石をもう一度じっくり見て、その場で新しい計画を立て始めた。

夕方になると、村の広場に住人たちが自然と集まってきた。紬はみんなのために簡単なパンを焼き、スープを大鍋に用意した。湯気が立ち上る中、ガロンが特製の燻製を取り出し、エリナがサラダを加えた。

「やっぱり、みんなで食べるのが一番だね。」紬はパンを配りながら微笑んだ。
ルカが笑顔で頷き、「この村、ほんとに素敵な場所になってきたよね」と呟くと、全員がそれに同意したように笑顔を交わした。

焚き火が再び広場の中心に点けられ、夜が深まるにつれて住人たちはそれぞれの話題で盛り上がった。紬はふと、住人たちの笑顔を見渡しながら、自分がこの森に来た日を思い出した。

「この村、もっともっと素敵な場所にしたいな。」
そう心の中でつぶやきながら、紬は次に何を作ろうか、何を育てようかと、新たな計画に思いを馳せるのだった。
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