脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

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おやおや?

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久々に街の広場で露店を開いたリディアは、たくさんの人で賑わう中、大きな声でお客さんを呼び込んでいた。

「いらっしゃいませ! 今日のイチオシは、なんとこれ! ミニミニポーション!」
リディアが小瓶を掲げると、興味津々な様子で人々が集まってきた。

「これを飲むと、体が小さくなれるんですよ! 小さくなれば狭い隙間だってお手のもの。例えば……こんなときに使えます!」

リディアは、以前のリスとの激闘を思い出して話し始めた。

「実はこのポーション、私も使ったことがあるんです。ある日、タフィーちゃんの大事な飾りをリスに取られちゃって……。そのリスが街の壁の小さな穴に逃げ込んだんです!」

「ほう、それで?」と興味を示すおじさんが頷くと、リディアは得意げに胸を張った。

「そのとき、このポーションを飲んで私も小さくなって、リスを追いかけたんです!」

お客さんたちは「おお!」と驚きの声を上げた。

「でもね、狭い壁の中でリスと真っ向勝負になっちゃって! 初めての肉弾戦ですよ。爪と歯がすごくて、こっちも必死で戦いました!」
リディアが両手を振り回してその場面を再現すると、周囲から笑い声が上がる。

「結局、リスに勝って飾りを取り返したんですけど、もう二度とリスと戦いたくないです!」
そう言って苦笑するリディアに、人々は大笑いしながら拍手を送った。

「これは面白いポーションだな!」
「私も一つ試してみるか!」

次々とミニミニポーションが売れていく中、熊騎士とセリルがリディアの露店にやってきた。

「おお、今日は随分賑やかだな!」
熊騎士が声をかけると、リディアは顔を上げて笑顔を見せた。

「熊騎士さん! セリルも! 来てくれてありがとう!」

熊騎士は露店を見回しながら「これはなんだ?」と手に取ったポーションを眺める。

「それはミニミニポーションだよ。熊騎士さんが飲んだら、ちっちゃな熊さんになっちゃうね!」
リディアが冗談交じりに言うと、熊騎士は豪快に笑った。

セリルは静かに微笑みながら、リディアの話を聞いていた。しかし、時折その視線が隣の露店に向かっていることにリディアは気づいた。

隣の露店にはアラニスが立ち、キラキラしたキャンディを並べてお客さんと楽しそうに話している。

「あれ、セリル? 隣が気になるの?」
リディアが軽く尋ねると、セリルは一瞬驚いたように目を丸くして、慌てて顔を背けた。

「い、いや、そういうわけではありません。ただ……彼女の商売が繁盛しているようで、気になっただけです。」
セリルが言い訳じみた口調で答えるのを見て、リディアは「ふーん?」とからかうような表情を浮かべた。

「本当にそれだけかな? アラニス、今日はとびきり綺麗だよね?」
リディアがくすっと笑いながら言うと、セリルは小さく咳払いをしながら「話を逸らしてください」と小声で頼んだ。

その後もリディアの露店は賑わいを見せ、熊騎士とセリルも街の人々と雑談を楽しんだ。
リディアはそんな光景を眺めながら、改めて街の温かさを感じていた。
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