脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

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ほっとひといき

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街の冒険者ギルドの前はいつも通り賑わっていた。リディアはその中に足を踏み入れ、大きな荷物を持ってきたことを誇らしげに見せながら、笑顔を浮かべた。

「今日はみんなに、私からちょっとしたお礼をしたいんです!」
そう言って、リディアはメリーちゃんに合図を送る。すると、メリーちゃんはふわふわの綿菓子毛から鍋や蜂蜜の瓶、牛乳の瓶などを次々と取り出し、カウンターの上に並べ始めた。

「えっとね、今回使うのはこの蜂蜜なんだ!」
リディアがそう言いながら見せたのは、先日のくまさんの島でミツバチたちが協力して作ってくれた、お花入りの蜂蜜。瓶の中で黄金色の蜂蜜がきらめき、見るだけで甘い香りが漂ってきそうだ。

「これを温かいミルクと混ぜて、みんなに振る舞おうと思います! 特別な蜂蜜だから、きっと疲れた体にぴったりだよ!」
リディアの声に、ギルドの冒険者たちは興味津々の様子で集まってきた。

「それは楽しみだな!」
「甘いものは冒険の疲れを癒してくれるからね!」
口々にそう言いながら、冒険者たちはそれぞれ自分のコップを持ってリディアの近くに集まった。騎士団の熊騎士も早速現れ、にやりと笑う。
「お嬢ちゃん、これはありがたいな。俺の大きなコップにもいっぱい入れてくれ!」

リディアは大鍋にミルクを注ぎ、蜂蜜をたっぷりと入れてかき混ぜ始めた。甘い香りが辺りに漂い始めると、タフィーちゃんも「ぷるぷるん!」と楽しそうに跳ね、メリーちゃんも鼻をくんくんさせて嬉しそうだ。セリルも興味を引かれたように近づき、静かに鍋を覗き込む。

「リディア、その蜂蜜……すごく特別なものだね。」
セリルがそう言うと、リディアは満面の笑みで頷いた。
「そうなの! 森の住人やミツバチたちのおかげで手に入れたの。セリルにもぜひ飲んでほしいな!」

鍋の中で温かいミルクと蜂蜜が混ざり合い、やがてトロリとした甘い飲み物が完成した。リディアは冒険者や騎士団たちのコップに次々と注ぎながら、彼らの笑顔を見て嬉しそうにしていた。

「ありがとうよ、リディア! こんな甘い飲み物、久しぶりだ!」
熊騎士がごくごくと飲み干しながら言い、周囲の冒険者たちも声を上げてその美味しさを称賛する。

「これはすごい……体がぽかぽかしてきたよ!」
「ほんとだ、疲れが一気に吹き飛ぶ感じだな!」
みんなが笑顔で飲み物を楽しむ中、リディアは鍋を混ぜる手を止めて胸を張った。

「みんなが協力してくれたおかげで、あの森の倒木も解決できたし、住人のおじいさんも助けられました。本当にありがとう!」

その言葉に、冒険者たちは拍手をし、セリルも静かに微笑んだ。
「リディア、君の行動力にはいつも感心するよ。これからもその元気さを大切にしてね。」

温かな雰囲気の中で振る舞われた甘いミルクは、みんなの心をさらに一つにした。ギルドの前に響く笑い声は、街中に広がっていった。
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