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せーの!
しおりを挟むリディアはおじいさんに小さな瓶を手渡した。
「はい、これを飲んでください!」
「これは……?」
おじいさんが不思議そうに瓶を見つめると、リディアは笑顔で説明する。
「ミニミニポーションです! 飲むと私たちみたいに小さくなれます。それなら、換気口から外に出られますよ!」
「なるほど、便利なものだね!」
おじいさんは感心したように頷き、瓶の中身を一気に飲み干した。すると、次の瞬間、おじいさんの体がぐんぐん縮み、リディアたちと同じ手のひらサイズになった。
「おお、これはすごい!」
おじいさんは自分の小さな手を見て驚きながらも、リディアたちに続いて換気口へと進んだ。
外に出ると、錬金術師が心配そうに待っていた。リディアたちの姿を見つけると、彼はほっとした表情を浮かべた。
「よかった……無事に出てこれたんですね!」
おじいさんは小さな声で錬金術師に礼を言い、リディアに向き直ると柔らかく微笑んだ。
「本当にありがとう。君たちのおかげで助かったよ。」
リディアは照れくさそうに笑いながら、「困ったときはお互い様です!」と答えた。
その後、ポーションの効果が切れるまでの間、5人は倒木をどうやって取り除くか相談を始めた。小さな体で大きな倒木を見上げながら、みんなの意見が飛び交う。
「うーん、このまま押しても動かないし、何かテコの原理を使えそうなものを探したらどうでしょう?」
リディアが提案すると、錬金術師が頷いた。
「それはいい考えですね。ただ、この辺りに使えそうな棒や板があるかどうか……」
おじいさんは小さな手を顎に当てながら、低い声で呟いた。
「火を使えば焦がして細くできるかもしれんが、周囲に燃え移ると危険だな……」
メリーちゃんは「メェ!」と鳴いて、どこかから小さな枝を持ってきたが、あまりにも頼りない細さにみんなで苦笑いする。タフィーちゃんも「ぷるぷるん!」と弾みながら、倒木の周りを調査していたが、やはり決定的な方法は見つからない。
「うーん……どうしようかなぁ……」
リディアが腕を組んで考え込んでいると、錬金術師がぽつりと言った。
「もしかしたら、街の冒険者たちに協力を頼むのも手かもしれませんね。皆で力を合わせれば、この倒木も動かせるのでは?」
リディアの目が輝いた。
「それだ! 冒険者たちなら、きっと助けてくれますよね!」
その提案に一同が頷き、ポーションの効果が切れた後、みんなで街に向かうことを決めた。
「よーし、さっそく行動開始だ!」
小さな体で相談を終えた5人は、次の行動に向けて再び動き出した。
ポーションの効果が切れて元の大きさに戻ったリディアたちは、街へ向かうべく歩き出した。錬金術師とおじいさんも一緒に道を進み、森を抜けて街へ向かう途中、リディアは次々にアイデアを思いついて話し続ける。
「冒険者のみんなに協力を頼んで、ロープとか使えば絶対に動かせるはず! それに、タフィーちゃんの甘い香りで気合を入れられるかも!」
リディアの提案に、タフィーちゃんは「ぷるぷるん!」と嬉しそうに跳ね、メリーちゃんは「メェ!」と鳴いて賛同する。
街に到着した一行は、真っ先に冒険者ギルドへと向かった。受付嬢はリディアたちを見るなり微笑みを浮かべ、何か特別な依頼を受けに来たと思ったのか軽く身を乗り出した。
「いらっしゃいませ、リディアさん。今日はどんなご用件ですか?」
リディアは少し息を整えながら答えた。
「実は森で倒木に困っているんです! そこに住んでいる人が閉じ込められちゃっていて……冒険者の力を貸してほしいんです!」
受付嬢はその話を聞くと真剣な表情になり、「詳細を教えてください」と即座に応じた。リディアが状況を説明する間に、ギルド内の冒険者たちが次々と集まり始める。騒ぎを聞きつけたのか、いつも賑やかな騎士団の熊騎士とセリルも姿を現した。
「倒木か! それなら俺たちに任せろ!」
熊騎士が豪快に笑い、手をボキボキと鳴らしながら頼もしい言葉を口にした。セリルもそれに続き、落ち着いた声で言った。
「リディア、私たちも協力します。力が必要な場面なら、任せてください。」
冒険者や騎士団の仲間たちが次々と集まり、森へ向けて準備を整えた。リディアはその様子を見て目を輝かせ、仲間たちの団結力に胸がいっぱいになる。
倒木の現場に到着すると、熊騎士がいち早く木の太さを測るように指示を出し、周囲を見渡して適切な方法を考え始めた。冒険者たちはロープや道具を取り出し、準備を進める。
「よし、このロープをここに結びつけて……みんな、引く準備はできたか?」
熊騎士の掛け声に、冒険者たちが力強く応じる。リディアはタフィーちゃんを見て、「甘い香りをお願い!」と頼んだ。タフィーちゃんは全力で香りを漂わせ、みんなの士気を高める。
「引けー!」
熊騎士の号令で、一斉にロープを引っ張り始めた。セリルも軽やかな動きで周囲をサポートしながら、適切な指示を飛ばしていく。
すると、重かった倒木が徐々に動き始め、最後には大きな音を立てて転がり落ちた。通路が完全に開かれると、おじいさんは感激した表情でみんなに頭を下げた。
「ありがとう、ありがとう……本当に助かったよ!」
錬金術師も胸を撫でおろし、リディアに微笑みかけた。
「リディアさん、あなたの行動力にはいつも驚かされます。森の住人も、これで安心して暮らせますね。」
リディアは頷きながら、仲間たちに向けて満面の笑みを浮かべた。
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