脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

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アラニスの笑顔

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夕暮れの街に着く頃、リディアたちはほっとした表情を浮かべていた。森の小道や広場を駆け回りながら届けたキャンディは、確かにみんなの笑顔を生み出していた。

「おかえり!」
アラニスが露店の後ろで飾りつけをしている手を止め、リディアたちを迎えた。その笑顔は優しく、どこか誇らしげだ。

「全部配り終わったよ! みんなすごく喜んでた!」
リディアが胸を張って報告すると、アラニスは嬉しそうに頷いた。

「本当にありがとう。リディアたちのおかげで、たくさんの人や動物に楽しんでもらえたみたいね。さすがだわ。」
アラニスが褒めると、メリーちゃんは「メェ!」と誇らしげに鳴き、タフィーちゃんは「ぷるぷるん!」と体を弾ませて賛同する。

「そういえばね、郵便ネコさんもリスさんもすごく頑張ってくれたの!」
リディアが熱心に動物たちの活躍を話すと、アラニスは微笑みながら首を傾げた。

「それじゃあ、動物たちにもお礼が必要かもね。そうだわ!」
アラニスは露店の奥から、小さな包みを取り出した。開けると、中には特別なキャンディがいくつか入っていた。

「これはね、動物用に作ったおやつ。森の住人たちにもありがとうを伝えてくれる?」
リディアは目を輝かせながら頷き、小さな包みをメリーちゃんに託した。

配達を終えたお礼として、アラニスはリディアたちに新作のキャンディを手渡した。光沢のある包み紙に包まれたそれは、一目で特別なものだと分かる。

「これ、何味なの?」
リディアが興味津々で尋ねると、アラニスは笑顔を浮かべて答えた。

「蜂蜜とフルーツの層を重ねて、最後にちょっとだけミントを効かせたキャンディよ。疲れた体にぴったりな一品!」
リディアは包みを開けてそっと口に入れた。

「わあ……! 本当に元気が出てくるみたい!」
口の中でふんわり広がる甘さと爽やかさに、リディアは感激した表情を浮かべた。メリーちゃんもタフィーちゃんもそれぞれキャンディを手にして、幸せそうに目を細める。

「アラニス、本当にありがとう! 今日の疲れが全部吹き飛んじゃった!」
リディアが感謝を伝えると、アラニスは優しく微笑みながら「また一緒に楽しいことをしようね」と答えた。

帰り道、街の灯りがゆらゆら揺れる中、リディアたちはのんびりと歩いていた。メリーちゃんのふわふわ毛にはお土産のキャンディが収まり、タフィーちゃんは満足げに「ぷるぷるん!」と体を弾ませている。

「今日はいっぱい働いたね。でも、みんなの笑顔を見られて本当に嬉しかった!」
リディアがそう呟くと、メリーちゃんが「メェ!」と賛同するように鳴き、タフィーちゃんも跳ねて同意を示す。

「今度はもっと面白い配達を考えようかな! 郵便ネコさんやリスさんにもまた手伝ってもらいたいなぁ。」
リディアは次の計画を思い浮かべながら、秘密基地への道を進んでいった。

その夜、秘密基地では配達の話をしながら、リディアたちはキャンディをつまんで楽しいひとときを過ごしたのだった。
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