脱走聖女は異世界で羽をのばす

ねむたん

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新しい冒険のみちしるべ

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秘密基地のリビングでは、ふかふかのクッションに埋もれたリディアが、タフィーちゃんのぷるぷるボディを枕にしてくつろいでいた。メリーちゃんは鼻先でカゴからタオルを引っ張り出し、タフィーちゃんをふわふわ毛で磨いている。

まったりとした日常が流れる中、テーブルの上に広げられた魔法の地図が、ふいにぼんやりと輝き始めた。

「ん……? 地図がまた何か言いたげだよ!」
リディアは目をぱっちりと開き、地図に身を乗り出した。これまでは静かに佇んでいただけの地図が、淡い光の点を散らしながら、ゆっくりと矢印を描き始めている。

「メェ!」
メリーちゃんも異変に気づき、リディアの肩に寄り添う。タフィーちゃんは「ぷるん!」と小さく跳ねて、光る地図を興味深そうに見つめた。

矢印は、リディアの知らない場所を指し示していた。それだけでなく、地図の隅には新しい模様が浮かび上がり、まるで冒険の達成率を示すようにキラキラとした数字が現れた。

「え、なにこれ……達成率、80%……?」
リディアが目を丸くしてつぶやくと、地図がふわりと宙に浮き、さらに文字が浮かび上がった。

「もっと探索すれば、新しいルートが開かれるよ!」

「えっ、喋るの!? そんなこと今までなかったのに!」
驚きの声を上げたリディアは、あの光の迷路での冒険を思い出し、はっとした。

「あのときの宝石の影響だ! これが地図の新しい力なんだね!」
そう確信すると、リディアは嬉しそうに地図を手に取った。

「メリーちゃん、タフィーちゃん、次の冒険だよ! 新しい場所を教えてくれてるみたい!」
リディアが笑顔で呼びかけると、メリーちゃんは「メェ!」と鼻先をぴんと立て、タフィーちゃんも「ぷるぷるん!」と勢いよく跳ねる。

リディアが指示された方向をじっくり見ていると、地図が突然、新たな模様を描き出した。それは、行く先に現れるらしい隠された部屋や未知の道筋を示すものだった。

「これ、ただの目的地じゃない……隠しルートまで教えてくれてる!」
リディアは地図の細やかな変化に興奮し、今すぐにでも出発したい気持ちを抑えられない。

さらに地図は、周囲の地形を立体的に浮かび上がらせるようになり、近道や特別な場所を示すマークも表示されるようになっていた。その変化に、メリーちゃんもタフィーちゃんも目を輝かせて地図を見つめている。

「なんだか、地図がすごいヤル気だね……まるで新しい冒険を楽しみにしてるみたい!」
リディアが嬉しそうに笑うと、地図は再び小さく輝き、まるで満足げに光を放つ。

リディアは秘密基地のあちこちを走り回りながら、冒険の準備を整え始めた。メリーちゃんがふわふわ毛から装備を取り出し、タフィーちゃんは「ぷるん!」と蜂蜜チョコを生成して保存容器に詰めていく。

「エリュディオンにも声をかけたほうがいいかな? いや、どうせ暇つぶしに勝手についてくるかもね!」
リディアはにやりと笑い、地図を手に胸を張った。

「よーし、次の冒険もバッチリ楽しもう! 新しい力をくれた地図がどんなワクワクを用意してるのか、すっごく楽しみ!」

秘密基地の暖かなリビングで、リディアは魔法の地図を握りしめていた。指先に伝わる地図の柔らかな振動が、これから始まる新しい冒険への期待を煽るようだった。ふと、リディアは顔を上げる。

「メリーちゃん、タフィーちゃん、準備はいい?地図がきっと素敵な場所に連れていってくれるよ!」

メリーちゃんは「メェ!」と元気よく答え、ふわふわの毛の中からポーションの詰まった小瓶を器用に取り出して見せた。タフィーちゃんは「ぷるぷるん!」と飛び跳ねながら蜂蜜チョコを両端に抱えている。二人のやる気に満ちた様子を見て、リディアは自然と笑みがこぼれた。

「よーし、それじゃあ出発しよう!」

秘密基地の扉を開けた瞬間、澄み渡る空気がリディアたちを迎えた。地図の矢印が軽く震え、まるで「こっちだよ」と言わんばかりに先を指し示している。リディアはその動きに促されるように軽やかに歩き出した。

道中、メリーちゃんがふわふわ毛で拾った落ち葉をリディアに見せたり、タフィーちゃんが転がりながら落ちていた小さな果実を見つけては「ぷるぷるん!」と得意げに見せたりと、三人はいつも通り賑やかだった。

やがて、地図が示す場所に近づくと、空気がほんの少し変わるのをリディアは感じ取った。風が頬を撫で、木々の間をすり抜けるたびに、見慣れない草花や果実が視界に入ってくる。地図はさらに強く光を放ち、リディアの心臓は高鳴る。

「ここだね……地図がずっと教えてくれてた場所!」

目の前には、古びた石造りの門が立っていた。その門には細かな装飾が施されており、蔦が絡みついている。門をくぐると、その先には穏やかな光に包まれた草原が広がり、草原の中央には奇妙な形をした石碑が一つ立っていた。

リディアは慎重に近づきながら、その石碑を観察した。そこには、リディアの知らない文字が彫られており、地図の模様と似たものが刻まれているのがわかった。

「これ……地図と何か関係があるのかな?」

リディアが石碑に手を伸ばすと、魔法の地図が突然ふわりと宙に浮かび、石碑の模様に呼応するように虹色の光を放ち始めた。その光がリディアたちを包み込み、空気が一瞬にしてピンと張り詰めた。

「きっと、ここが次の冒険の始まりなんだ!」

リディアは胸を高鳴らせながら、メリーちゃんとタフィーちゃんに視線を送った。二人もやる気満々の様子で、それぞれが「メェ!」「ぷるぷるん!」と声を上げる。その様子を見たリディアは、満面の笑みを浮かべた。

「じゃあ、行こう!何が待ってるのか、確かめにいこう!」

三人は地図の新たな力に導かれながら、未知の冒険の第一歩を踏み出した。明るい光が周囲を照らし、草原に優しい風が吹き抜けていく中、リディアたちの心は希望で満たされていた。
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