25 / 84
25
しおりを挟む
旅館の探索は続いていた。
俺たちは井戸を後にし、さらに旅館の奥へと足を進める。
「ここ、本当に広いな……」
安田が呆れたように言う。
「改築を繰り返したせいで、構造がややこしくなってるな」
斉藤が地図と照らし合わせながら、迷わないよう慎重に進む。
「この先は?」
藤木がふすまをそっと開けると、埃っぽい空気が流れ込んできた。
「……宴会場か」
広間には、古びた座卓が乱雑に置かれたままになっていた。
「何か使えそうなものは?」
俺たちは慎重に室内を調べる。
テーブルの上には、酒瓶や湯呑みがそのまま残っている。
棚を開けると、埃を被った食器や調理器具が出てきた。
「鍋、包丁、まな板……これは使えそうだな」
高橋が調理器具を集めながら言う。
「燃料さえあれば、簡単な調理はできるな」
「こっちには座布団が大量にある」
安田が部屋の隅を指さす。
「防寒には使えるか」
「まあ、ないよりはマシだな」
一通り室内を調べ、俺たちは次の部屋へと向かう。
廊下を進むと、階段が現れた。
「二階に行くか?」
藤木がふと足を止める。
「まだ一階を調べきってない。先にこっちを確認しておこう」
斉藤が周囲を見渡しながら言う。
その先には、もうひとつ大きな部屋があった。
俺がふすまを開けると、室内はひんやりとした空気に包まれていた。
「……ここは?」
藤木が慎重に足を踏み入れる。
「風呂場だな」
部屋の奥には、錆びた蛇口と古びた浴槽があった。
「五右衛門風呂か……」
俺は浴槽の縁を指でなぞる。
「薪があれば使えそうか?」
「長年放置されてたからな……まず掃除しないと無理だろう」
高橋が風呂の底を覗き込む。
「でも、風呂が使えるのはデカいぞ。お湯を確保できれば、衛生環境は改善する」
「薪はどこかにあるかな……?」
安田が周囲を見回す。
「たぶん、別の倉庫か裏手にあるだろうな」
「それも後で探そう」
風呂場を出て、次の部屋に向かう。
旅館の奥へと進むにつれ、建物の老朽化が激しくなっていくのが分かる。
「ここ、床が抜けそうだな……」
藤木が注意深く足元を確かめながら進む。
「気をつけろよ」
斉藤が声をかけたその瞬間、
ギシッ……
突然、足元の床が沈んだ。
「……っ!」
藤木が咄嗟に後ろへ飛びのいた。
次の瞬間、バキッ という音とともに床の一部が崩れ落ちた。
「危ねえ……!」
安田が息を呑む。
「やっぱり、老朽化が進んでるな……」
「足元、気をつけろ」
高橋が慎重に進みながら、周囲の様子を見渡す。
その先には、完全に閉鎖されたエリア へ続く扉があった。
「……ここ、通れるのか?」
俺が試しに押してみるが、扉はびくともしない。
「板で打ち付けられてるな」
「ここは増改築の影響で使われなくなったエリアか……?」
藤木が扉をじっと見つめる。
「この先に何があるんだろうな……」
俺たちはしばらくその扉を見つめていたが、ひとまず探索を続けることにした。
旅館はまだ、全容を見せていなかった。
俺たちは井戸を後にし、さらに旅館の奥へと足を進める。
「ここ、本当に広いな……」
安田が呆れたように言う。
「改築を繰り返したせいで、構造がややこしくなってるな」
斉藤が地図と照らし合わせながら、迷わないよう慎重に進む。
「この先は?」
藤木がふすまをそっと開けると、埃っぽい空気が流れ込んできた。
「……宴会場か」
広間には、古びた座卓が乱雑に置かれたままになっていた。
「何か使えそうなものは?」
俺たちは慎重に室内を調べる。
テーブルの上には、酒瓶や湯呑みがそのまま残っている。
棚を開けると、埃を被った食器や調理器具が出てきた。
「鍋、包丁、まな板……これは使えそうだな」
高橋が調理器具を集めながら言う。
「燃料さえあれば、簡単な調理はできるな」
「こっちには座布団が大量にある」
安田が部屋の隅を指さす。
「防寒には使えるか」
「まあ、ないよりはマシだな」
一通り室内を調べ、俺たちは次の部屋へと向かう。
廊下を進むと、階段が現れた。
「二階に行くか?」
藤木がふと足を止める。
「まだ一階を調べきってない。先にこっちを確認しておこう」
斉藤が周囲を見渡しながら言う。
その先には、もうひとつ大きな部屋があった。
俺がふすまを開けると、室内はひんやりとした空気に包まれていた。
「……ここは?」
藤木が慎重に足を踏み入れる。
「風呂場だな」
部屋の奥には、錆びた蛇口と古びた浴槽があった。
「五右衛門風呂か……」
俺は浴槽の縁を指でなぞる。
「薪があれば使えそうか?」
「長年放置されてたからな……まず掃除しないと無理だろう」
高橋が風呂の底を覗き込む。
「でも、風呂が使えるのはデカいぞ。お湯を確保できれば、衛生環境は改善する」
「薪はどこかにあるかな……?」
安田が周囲を見回す。
「たぶん、別の倉庫か裏手にあるだろうな」
「それも後で探そう」
風呂場を出て、次の部屋に向かう。
旅館の奥へと進むにつれ、建物の老朽化が激しくなっていくのが分かる。
「ここ、床が抜けそうだな……」
藤木が注意深く足元を確かめながら進む。
「気をつけろよ」
斉藤が声をかけたその瞬間、
ギシッ……
突然、足元の床が沈んだ。
「……っ!」
藤木が咄嗟に後ろへ飛びのいた。
次の瞬間、バキッ という音とともに床の一部が崩れ落ちた。
「危ねえ……!」
安田が息を呑む。
「やっぱり、老朽化が進んでるな……」
「足元、気をつけろ」
高橋が慎重に進みながら、周囲の様子を見渡す。
その先には、完全に閉鎖されたエリア へ続く扉があった。
「……ここ、通れるのか?」
俺が試しに押してみるが、扉はびくともしない。
「板で打ち付けられてるな」
「ここは増改築の影響で使われなくなったエリアか……?」
藤木が扉をじっと見つめる。
「この先に何があるんだろうな……」
俺たちはしばらくその扉を見つめていたが、ひとまず探索を続けることにした。
旅館はまだ、全容を見せていなかった。
10
あなたにおすすめの小説
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
百の話を語り終えたなら
コテット
ホラー
「百の怪談を語り終えると、なにが起こるか——ご存じですか?」
これは、ある町に住む“記録係”が集め続けた百の怪談をめぐる物語。
誰もが語りたがらない話。語った者が姿を消した話。語られていないはずの話。
日常の隙間に、確かに存在した恐怖が静かに記録されていく。
そして百話目の夜、最後の“語り手”の正体が暴かれるとき——
あなたは、もう後戻りできない。
■1話完結の百物語形式
■じわじわ滲む怪異と、ラストで背筋が凍るオチ
■後半から“語られていない怪談”が増えはじめる違和感
最後の一話を読んだとき、
日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー
黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた!
あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。
さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。
この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。
さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
If太平洋戦争 日本が懸命な判断をしていたら
みにみ
歴史・時代
もし、あの戦争で日本が異なる選択をしていたら?
国力の差を直視し、無謀な拡大を避け、戦略と外交で活路を開く。
真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル…分水嶺で下された「if」の決断。
破滅回避し、国家存続をかけたもう一つの終戦を描く架空戦記。
現在1945年中盤まで執筆
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる