大好きな学園の王子様のあとをつけていたら、捕獲されてしまいました。

ねむたん

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嬉しい応援

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日下部様が回復されたとき、学校中の生徒たちが大いに安堵しました。それもそのはず、日下部様の風邪の知らせを受けたファンクラブの方々が、次々とお見舞いの品を用意されていたのです。マンションのコンシェルジュが管理する荷物預かりのボックスは、一時的にいっぱいになるほどの山積み状態でした。

お手紙やフルーツ、喉に優しい蜂蜜、さらには手作りのお守りまで――皆様がいかに日下部様を想っているかが伝わる品々でした。私もそれらを整理しながら、彼の存在がどれほど特別であるかを改めて実感しました。

そして、いよいよ日下部様が所属する弓道部と強豪校との試合が迫っています。校内でも注目度の高い一戦とあって、生徒たちの話題はそのことでもちきりです。私も自然と期待に胸を膨らませながら、その日を迎えました。

試合当日、広い弓道場は緊張感に包まれていました。対戦相手は全国大会にも出場している強豪校で、さすがの実力者たちが揃っています。その中で凛然とした姿を見せる日下部様――その背筋の伸びた立ち姿に、思わず息を呑みました。

試合が始まると、静寂を切り裂くような弓の音が場内に響き渡ります。日下部様の放つ矢は、まるで計算されたかのように正確な軌道を描き、的の中心を次々と射抜いていきます。

そのたびに観客席から歓声とため息が漏れましたが、彼は表情一つ変えずに矢を放ち続けます。静かな集中力と気迫が、見る者すべてを圧倒しているようでした。

試合の終盤に差し掛かり、緊迫した場面で迎えた彼の最後の一射――。その瞬間、彼の青みがかった瞳が、わずかに光を帯びたように見えました。そして放たれた矢は、見事に的の中心へ突き刺さりました。

勝負は決しました。見事、日下部様のチームが強豪校を打ち破り、大きな勝利を手にしました。

会場が沸き立つ中、私は息を飲んだまま、その光景をじっと見つめていました。やはり彼は特別な存在――そんな思いを胸に、静かに拍手を送りました。

試合は大盛況の中、日下部様の一射で見事に幕を閉じました。会場中が立ち上がり、割れるような拍手が響き渡ります。そんな中でも日下部様は相変わらず冷静で、控えめに微笑みながら軽く一礼されるだけでした。その気高い態度に、さらに歓声が高まります。

私は静かにその場で手を叩き続けながら、胸がいっぱいになっていました。あの緊迫した空気の中で、堂々と結果を出す姿――本当に尊敬せざるを得ません。

「いやぁ、すごかったな。」

隣で観戦していたたけるくんが、大きく伸びをしながらそう言いました。

「うん、本当にすごい……。」

私はまだ熱に浮かされたような気分のまま、ぽつりと答えます。

「でも、ひなも落ち着けよ。見てるだけで泣きそうな顔してたぞ?」
「えっ、そんな顔してた?!」

驚いて頬に手を当てると、たけるくんは笑いながら首を振りました。

「冗談だよ。でもまあ、あの集中力と腕前を見たら、誰だって感動するだろうな。」

その言葉に、私は小さく頷きました。日下部様はただ美しいだけではなく、その実力と内面も素晴らしい人なのです。それを知っているからこそ、余計に誇らしい気持ちになりました。

試合後、表彰式が始まりました。日下部様を含むチーム全員が壇上に上がり、トロフィーと賞状を受け取ります。その様子を見守っていると、ふいに壇上の彼の視線がこちらに向けられたような気がしました。

――いや、きっと気のせい。私は心を落ち着けるように深呼吸しました。

式が終わり、観客たちがざわめきながら会場を後にしていきます。私はすぐに動けず、ただ席に座ったまま余韻に浸っていました。

「ひな、帰らないのか?」

たけるくんに声をかけられ、ようやく立ち上がります。しかし、出口へ向かおうとしたそのとき――。

「夢見さん。」

名前を呼ばれ、振り返ると、そこには日下部様が立っていました。疲れを感じさせない穏やかな笑顔で、私をじっと見つめています。

「日下部様……。」

声を詰まらせる私に、彼は優しく微笑みながら、少しだけ頭を下げました。

「応援、ありがとう。君が見ていてくれると思うと、すごく力になった。」

一瞬、時が止まったように感じました。信じられない――あの完璧な日下部様が、私に感謝の言葉を?

「そ、そんな……私なんて、ただ見ていただけです。」

焦って否定すると、彼は軽く首を振りました。

「それだけで十分だよ。夢見さんがそばにいてくれるだけで、なんだか安心できる。」

その言葉に、私はただ顔を真っ赤にしてうつむくことしかできませんでした。隣にいたたけるくんが気を利かせて「じゃあ俺、先に帰るわ」とひらひら手を振りながら去っていきます。

「これからも、応援してくれると嬉しい。」

そう言って差し出された日下部様の手を見つめながら、私はかすかに震える手でそっと握り返しました。

「はい……もちろんです。」

その瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じました。まるで、これから何かが変わり始めるかのような予感とともに。
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