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祖国とこの国を行き交うには、海を渡って更に陸路を行く必要があります。山脈があるわけでも、砂漠があるわけでもありませんが、追われている身では厳しいでしょう。私の披露宴に参列した時も時間を掛けてやって来ていましたから、それよりも更に掛かると考えて……。問題は日数云々よりも、無事に到着してくれるかどうかです。
話は王様にも伝わりました。私の所に来た砕けた内容の手紙ではなく、しっかりとした文書が届いていたようです。ヨハネスも流石に成人。その辺りの判断はできるようになっていて安心しました。
「同時期に、帝国の貴族からも文書が届いたらしい。亡命を決して受け入れるな、という内容のものがね。もし受け入れれば宣戦布告とみなすそうだ」
「……それは……王様はなんと返されたのでしょうか……」
「亡命を受け入れると。つまり、現時点での帝国の意向を全く無視し、真っ向から対立するということだ」
「弟と妹を受け入れてくださるのは、私としては願ってもない話です。しかし……戦争になってしまうのは……」
戦争は避けたいことです。当事国にとってよいことなんて全くといっていいほどないのですから。帝国の軍閥貴族は年々勢力を強め、遂に爆発したといってもよいこの状況。それに加えていつ途切れるとも知れない敵国との停戦状態。
私の出身国かどうかは大きな問題ではないと自分自身に言い聞かせましたが、王弟妃の出自が無関係とは言い切れず。万事うまく行っていたような気がしていたのに、足元から崩されてしまったような思いがしていました。
「帝国の敵国が軍事行動を再開する前に収拾をつけ、同盟間に安定をもたらすとともに帝国に一つ貸しをつくるころができれば万々歳さ。そして私は王太子に先んじて行動に出る」
行動。この場合の行動が意味するところは一つでしょう。不安そうな表情をする私を旦那様は抱き寄せたものの「大丈夫だ」とは仰いませんでした。
「ああ。軍を率いて制圧に向かう。正当性は皇族を擁する我らにある、とな」
「……はい」
「危機ではあるが、同時にチャンスでもある。うまく制すれば、またとない好機となるだろう」
「…………はい」
語る旦那様の口調ははっきりとしていて、有無をいわさぬ雰囲気です。こればかりは何も言えませんし……私にも家族の情がありますから、判断が曇ってしまうだろうと考えてただ静かに頷くのみでした。
「ご武運を……」
ヨハネスもきっと戦場に立つのでしょう。叶うのなら、私もその横に立ちたかったです。何故か心の中は荒んでおらず、さっぱりとしていました。ああ、とっくの昔に慣れていたのだ……と思い出したのは、きっと私が平和に慣れすぎたせいなのでしょう。
話は王様にも伝わりました。私の所に来た砕けた内容の手紙ではなく、しっかりとした文書が届いていたようです。ヨハネスも流石に成人。その辺りの判断はできるようになっていて安心しました。
「同時期に、帝国の貴族からも文書が届いたらしい。亡命を決して受け入れるな、という内容のものがね。もし受け入れれば宣戦布告とみなすそうだ」
「……それは……王様はなんと返されたのでしょうか……」
「亡命を受け入れると。つまり、現時点での帝国の意向を全く無視し、真っ向から対立するということだ」
「弟と妹を受け入れてくださるのは、私としては願ってもない話です。しかし……戦争になってしまうのは……」
戦争は避けたいことです。当事国にとってよいことなんて全くといっていいほどないのですから。帝国の軍閥貴族は年々勢力を強め、遂に爆発したといってもよいこの状況。それに加えていつ途切れるとも知れない敵国との停戦状態。
私の出身国かどうかは大きな問題ではないと自分自身に言い聞かせましたが、王弟妃の出自が無関係とは言い切れず。万事うまく行っていたような気がしていたのに、足元から崩されてしまったような思いがしていました。
「帝国の敵国が軍事行動を再開する前に収拾をつけ、同盟間に安定をもたらすとともに帝国に一つ貸しをつくるころができれば万々歳さ。そして私は王太子に先んじて行動に出る」
行動。この場合の行動が意味するところは一つでしょう。不安そうな表情をする私を旦那様は抱き寄せたものの「大丈夫だ」とは仰いませんでした。
「ああ。軍を率いて制圧に向かう。正当性は皇族を擁する我らにある、とな」
「……はい」
「危機ではあるが、同時にチャンスでもある。うまく制すれば、またとない好機となるだろう」
「…………はい」
語る旦那様の口調ははっきりとしていて、有無をいわさぬ雰囲気です。こればかりは何も言えませんし……私にも家族の情がありますから、判断が曇ってしまうだろうと考えてただ静かに頷くのみでした。
「ご武運を……」
ヨハネスもきっと戦場に立つのでしょう。叶うのなら、私もその横に立ちたかったです。何故か心の中は荒んでおらず、さっぱりとしていました。ああ、とっくの昔に慣れていたのだ……と思い出したのは、きっと私が平和に慣れすぎたせいなのでしょう。
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