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元王子アール
200年前③
しおりを挟むそこは正しく500年前と全く一緒の魔王城だった。
一番奥の真っ黒な玉座に500年毎日毎日ツバキに逢えるように祈っていた、その彼女が座っている!
久々に見たツバキは500年前と変わらず可愛らしかった!
ボクに気づいてくれ!!
「ツバキ!!会いたかったよ!!」
ボクの声に彼女が反応して、蝿でも見るような目でボクを見つめる。
そしてボクに声をかける事なく、ツバキは右手をかざした。
次の瞬間、サツキだけを残して再びボクらは大きな光に包まれる。
気付いた時には結界の外にボク達は立っていた。
…どうして?
どうしてだっ!?
500年振りの再会だったのに、呆気なくあの幸せな時間が終わってしまったなんて!!
ボクはツバキの声すら聞いていないっ!!
もう一回、もう一回だ!!
もう一度、瘴気の中に入ろうとするとウィザが必死に止める。
「止めてください!
いくら不死身とはいえ死ぬ気ですか!?
これはサツキ様がいないと無理です!」
あぁ、そうだった…
500年前も吹っ飛ばされて死んだんだった。
でも、ツバキに会うためにはどうしたらいいんだっ!?
一人悶えていたその時だった、北の大地を包んでいた瘴気が消えた。
まさかツバキの身に何か起きたのか!?
考えるより先にボクは再び魔王城に向けて走り出していた。
「おいっ、勝手に一人で行くなっ!」
ドーソの声を背中で聞きながらも、ボクは立ち止まる気はなかった。
500年前の事だから道順はかなりうろ覚えだったけれど、ほぼ一本道だった事は覚えている。
1時間ほど歩いていると前方からガサガサガサっと音がした。
森の野生動物か?
身構えていると
「アルトさん?」
勇者サツキが現れた。
ツバキは?
ツバキはどこにいる?
声に出ていたのだろう、サツキは答えた。
「…ツバキとは、魔王の名前ですよね?
魔王なら死にました、俺が殺したんです。」
「…ウソだ…ツバキが…彼女が…死ぬ訳ない…」
そうだ…ツバキがボクを置いて死ぬ訳ないっ!!
「ツバキの遺体は魔王城にあるのかっ?」
自分自身で見るまで信じられない!
「遺体は…ありません。
不思議な事に光の粒子になって消えたんです。
髪の毛一本すら残りませんでした…
でも瘴気は無くなりました。」
目の前の少年を斬り殺したい衝動に襲われるが、言ってる事が事実か実際に魔王城に行って確かめなければならない。
「ボクとキミ達との旅はここまでだ。
ボクはこれから魔王城に彼女を探しに行く。
森の出口はここから真っ直ぐだ。」
サツキに一方的に別れを告げて、ボクは魔王城を目指した。
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