誕生石物語・Ⅱ

水田 みる

文字の大きさ
32 / 81
アメジストの章

小娘の理由

しおりを挟む

 「何だとぉ!?」


遂にセゴドは立ち上がり牢屋の柵を掴む。

その目は血走っていた。


「だってイズン様はギルドに拾われてから、史上最年少でS級冒険者に登り詰めてるんですよね?

その途中でゴワスギルドの依頼を沢山こなしてたんでは?


ーそれに史上最年少のS級冒険者の始まりはゴワスギルドだった、というだけでギルドに箔が付いた筈です。

貴方が変な色気を出さなけりゃ、イズン様が例え他所に行こうがゴワスギルドは安泰だったと思いますけどぉ。」


アメジストはここまで言ってセゴドに口元だけで笑む。

そして傍らの隊長に灯りを持ってきてくれと頼んだ。

隊長は言われた通り灯りのランプを持って彼女に近付いた。


ーそして、その明るさでアメジストの髪と瞳の色が露わになる。

その鮮やかな紫色が意味する者をセゴドは知っていた。


「ーっっ!!貴様ぁっ、貴様はまさかアメジストかぁっ!?」

「あらあら自己紹介がまだでしたかぁ。

改めまして私は『アメジストの祝福者』です。

私と貴方のやり取りは立派なになります。

ご愁傷様です。」
 
「うわぁぁぁぁぁぁぁーーーー」

「私達も戻りましょう、隊長。」

「御意。」


セゴドの雄叫びを背にアメジスト達は長い階段を上っていった。


「ーよく気付かれましたね、アメジスト様。」


珍しく隊長から話しかけられる。


「ギルドマスターがに気付いてなかった事ですか?

それなら最初に私に対して『小娘』と言いのけたからです。

仮にもギルドマスター程の人が『アメジスト』を知らない訳がないと推測しました。

ならば何故、私が只の小娘に見えたのか?」

「地下牢の薄暗さでアメジスト様の髪色と瞳の色が見えづらかったのですね。」


隊長がアメジストの答えを引き取った。

彼女も「その通りです」と頷き、続ける。


「私が分からないなら領主様さえその場に居なければ、ベラベラと語りだすかもと思いました。

私の考えを咄嗟に見抜いて場を外してくれた領主様には感謝ですね。」

「あの御方も天才として有名ですからな。」


アメジストは一瞬、胡散臭いニコニコ笑顔を思い出し苦い物が込み上げた。


「…そうなんですかぁ?」

「はい、貴族学園の3年間を飛び級で半分の1年半で御卒業なさったのは有名な話です。

ーどうなさいましたか?」


隊長が後ろを振り返るとアメジストが立ち止まってゼーゼーと息をしている。


「…今の話と階段の長さで、も、もう限界ですぅ。

…隊長、おんぶして下さい。」

「…アメジスト様、一応それなりに威厳を保ってください。」


隊長はアメジストに容赦なかった。

そしてアメジストの右手を取り、ぐいっと引っ張る。


「おんぶの代わりに手を引いて差し上げますので頑張ってください。」

「うぅ…ケチー。」


こうして二人は上で待つ領主の元へと戻っていった。












しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

白椿の咲く日~ひそかな恋、遠い日の思いは

紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに異母姉の稚子(わかこ)と会う。 真由子の母の雪江は、大学教授であり著名な歌人の水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。 婚約者の諒人(りょうと)のことなど、真由子は稚子と色々語り合ううち、庭の白椿の木は真由子がなついていた異母兄、靖之が植えたものだと知る。 白椿の木をめぐっての、ひそかな大人の恋物語です。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

いいえ、望んでいません

わらびもち
恋愛
「お前を愛することはない!」 結婚初日、お決まりの台詞を吐かれ、別邸へと押し込まれた新妻ジュリエッタ。 だが彼女はそんな扱いに傷つくこともない。 なぜなら彼女は―――

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

遺産は一円も渡さない 〜強欲な夫と義実家に捨てられた私、真の相続人と手を組み全てを奪い返す~ (全10話)

スカッと文庫
恋愛
「お前の価値なんて、その遺産くらいしかないんだよ」 唯一の肉親だった祖父を亡くした夜、夫の健一と義母から放たれたのは、あまりにも無慈悲な言葉だった。 四十九日も待たず、祖父が遺した1億2000万円の遺産をアテに贅沢三昧を目論む夫。だが、彼には隠し通している「裏切り」があった――。 絶望の淵に立たされた由美の前に現れたのは、亡き祖父が差し向けた若き凄腕弁護士・蓮。 「おじい様は、すべてお見通しでしたよ」 明かされる衝撃の遺言内容。そして、強欲な夫たちを地獄へ叩き落とすための「相続条件」とは? 虐げられてきた妻による、一発逆転の遺産争奪&復讐劇がいま幕を開ける!

世界の現実は、理不尽で残酷だ――平等など存在しない

鷹 綾
恋愛
「学園内は、身分に関係なく平等であるべきです」 その“正義”が、王国を崩しかけた。 王太子ルイスは、貴族学院で平民出身の聖女マリアがいじめられたと信じ、 婚約者である公爵令嬢アリエノール・ダキテーヌを断罪し、婚約破棄を宣言する。 だが―― たとえそれが事実であったとしても、 それは婚約破棄の正当な理由にはならなかった。 貴族社会において、婚約とは恋愛ではない。 それは契約であり、権力であり、国家の均衡そのものだ。 「世界は、残酷で不平等なのです」 その現実を理解しないまま振るわれた“善意の正義”は、 王太子の廃嫡、聖女の幽閉、王家と公爵家の決定的な断絶を招く。 婚約破棄は恋愛劇では終わらない。 それは、国家が牙を剥く瞬間だ。 本作は、 「いじめられたという事実があっても、それは免罪符にはならない」 「平等を信じた者が、最も残酷な結末に辿り着く」 そんな現実を、徹底して描く。 ――これは、ざまぁではない。 誰も救われない、残酷な現実の物語である。 ※本作は中世ヨーロッパをモデルにしたフィクションです。  学園制度・男女共学などは史実とは異なりますが、  権力構造と政治的判断の冷酷さを重視して描いています。 ---

処理中です...