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アメジストの章
小娘の理由
しおりを挟む「何だとぉ!?」
遂にセゴドは立ち上がり牢屋の柵を掴む。
その目は血走っていた。
「だってイズン様はギルドに拾われてから、史上最年少でS級冒険者に登り詰めてるんですよね?
その途中でゴワスギルドの依頼を沢山こなしてたんでは?
ーそれに史上最年少のS級冒険者の始まりはゴワスギルドだった、というだけでギルドに箔が付いた筈です。
貴方が変な色気を出さなけりゃ、イズン様が例え他所に行こうがゴワスギルドは安泰だったと思いますけどぉ。」
アメジストはここまで言ってセゴドに口元だけで笑む。
そして傍らの隊長に灯りを持ってきてくれと頼んだ。
隊長は言われた通り灯りのランプを持って彼女に近付いた。
ーそして、その明るさでアメジストの髪と瞳の色が露わになる。
その鮮やかな紫色が意味する者をセゴドは知っていた。
「ーっっ!!貴様ぁっ、貴様はまさかアメジストかぁっ!?」
「あらあら自己紹介がまだでしたかぁ。
改めまして私は『アメジストの祝福者』です。
私と貴方のやり取りは立派な証拠になります。
ご愁傷様です。」
「うわぁぁぁぁぁぁぁーーーー」
「私達も戻りましょう、隊長。」
「御意。」
セゴドの雄叫びを背にアメジスト達は長い階段を上っていった。
「ーよく気付かれましたね、アメジスト様。」
珍しく隊長から話しかけられる。
「ギルドマスターが私に気付いてなかった事ですか?
それなら最初に私に対して『小娘』と言いのけたからです。
仮にもギルドマスター程の人が『アメジスト』を知らない訳がないと推測しました。
ならば何故、私が只の小娘に見えたのか?」
「地下牢の薄暗さでアメジスト様の髪色と瞳の色が見えづらかったのですね。」
隊長がアメジストの答えを引き取った。
彼女も「その通りです」と頷き、続ける。
「私が分からないなら領主様さえその場に居なければ、ベラベラと語りだすかもと思いました。
私の考えを咄嗟に見抜いて場を外してくれた領主様には感謝ですね。」
「あの御方も天才として有名ですからな。」
アメジストは一瞬、胡散臭いニコニコ笑顔を思い出し苦い物が込み上げた。
「…そうなんですかぁ?」
「はい、貴族学園の3年間を飛び級で半分の1年半で御卒業なさったのは有名な話です。
ーどうなさいましたか?」
隊長が後ろを振り返るとアメジストが立ち止まってゼーゼーと息をしている。
「…今の話と階段の長さで、も、もう限界ですぅ。
…隊長、おんぶして下さい。」
「…アメジスト様、一応それなりに威厳を保ってください。」
隊長はアメジストに容赦なかった。
そしてアメジストの右手を取り、ぐいっと引っ張る。
「おんぶの代わりに手を引いて差し上げますので頑張ってください。」
「うぅ…ケチー。」
こうして二人は上で待つ領主の元へと戻っていった。
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