秘密の物語 番外編集

水田 みる

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椿の魔王時代

ポークの行く末

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 メイちゃんが魔王城に遊びに来た日から1週間経った。

私はとある案件で頭を悩ましている。

テーブルに置いた緑茶を一口飲んだ。


「ツバキ様ー、何か考え事ですか?」


自称私の執事で非常食ポークが私に尋ねた。


「…この城の有様だよ。」

「…と、言いますと?」


…察しの悪い豚だ。


「完全に私の自宅と化してるだろ。

これを私が死んだ後に勇者やその仲間達にズケズケと見られるのは、さすがに恥ずかしいんだが。」

「なるほどー、そういう事でしたか。」


…本当に察しの悪い豚だ。

その恥ずかしさにお前も含まれているんだぞ…


「…ポーク、呑気に返事してるけど私が死んだ後お前はただのマイクロ豚に戻るんだぞ。」

「ブキッ!そうでした!!」


今の今まで気づいていないようだった。


「歴代魔王がどう暮らしてたか知らんが、少なくとも先代は玉座以外何も残してなかったんだよなぁ…」

「…うーん、でも他の魔王様たちも生きる為に最低限の生活はしてたでしょうしねぇ…」


一人と一匹で考え込む。


「…セ◯ムみたいな魔法があったらなぁ。

勇者が転移魔法を使った瞬間に玉座以外消せるような。」

「…セ◯ムがどんな物かは分かりかねますが、連動させる事なら出来るんじゃないですか?」

「連動ってまさか、勇者の転移魔法とか?」

「ですです!

勇者の転移魔法が発動した瞬間に、玉座以外を消すように魔法を設定し直せばいいのです!

ツバキ様の魔力なら可能でしょう。」


そんな便利な事ができるなら、ぜひしたいが…


「ポーク、お前も消えていいのか?」

「絶対に嫌です!!」


即答だ。

しかし、おそらく数百年後に転送先の当てがない。

…いや、苦肉の策で1つだけあるはある。

相手に了承を得なければならないが。


「…メイちゃんにお願いするかぁ。」

「メイ様ですかっ!?亡くなられてるのでは?」

「うん、だから転生してるだろう未来のメイちゃんに。

人間に転生してるか分からんし、前世の記憶なんて無いだろうし、ポークも食べられるかもしれんが消えるよりマシだろう。」

「…うぅー、怖いですー。」


その前に私の食糧になっているかもしれんがな。

これは心の中で呟いた。


「何にせよメイちゃんの了解が必要だ。

今度、遊びに来てくれた時に聞いてみるよ。」



私はとりあえず今できる転移魔法を設定し直した。


ー後日、遊びに来てくれたメイちゃんに一部始終を説明したところ


「分かりました、未来の私は覚えてないかもしれませんが、ポークちゃんの事はお任せ下さい!」


とても頼もしい返事をもらった。



ーー未来の転生したメイちゃんは大富豪の妻になる。

そして、転送されたポークは無事に彼女の元でペットとして寿命を全うしたのは、また別のお話。






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