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小石井家
あきら 《四日目》
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あきらは、いつものように朝食の支度に取りかかっていた。
「う」
なんだかじんじんと乳首が痛む。
昌武に噛まれたせいだ。
これまで、何度かいたしたけれども、「後遺症」に悩まされたのは初めてだ。
「そもそも、噛みつくってどういうことなのよ」
「おはよ、おかあさん。
虫にでも噛まれたの?」
麟太郎に独り言を聞かれた。
あきらは苦笑いをしてごまかす。
慣れてきたとばかり思っていたが、睦言はまだ、あきらには未知の世界だ。
昌武が鼻唄混じりにキッチンへ入ってきた。
あきらに抱きつく。
今日は公休なので、あきらは敢えて起こさなかった。
自分でちゃんと起きられるのではないか。
「あきらぁ、おはよ」
昌武は麟太郎がいるのにもお構いなしにあきらの胸を背後から鷲掴みにした。
下着に擦れて痛む。
錐か何かで刺されるような痛みだ。
あきらはむくむくと怒りが湧いてきた。
「やめてってば」
あきらは裏拳で昌武の顔面を打った。
昌武はひらりと避ける。
「なんで避けるのっ」
「当たったら痛そうだから」
麟太郎は目を丸くした。
「おかあさんが怒るところ、初めて見た。
怒るんだね」
「それもそうだ。
なんで怒ってるの?」
「だって夕べっ!
痛いから嫌だって云ったのにっ」
勢いで云いかけ、真っ赤になって両手で口を塞ぐ。
昌武はにやにやとしており、麟太郎は歯ブラシを取り落とした。
あきらはいたたまれず、二階へ逃げた。
「で?
朝ごはんどうする気?」
麟太郎は父親に尋ねた。
昌武は苦笑いしている。
「俺のせい?」
「三股四股当たり前だった癖に、何やってんの」
「それ、あきらには云うなよ」
昌武は階段を登っていった。
「とっくに知ってると思うけど」
昌武は、ウォークインクローゼットでしゃがみこむあきらを見つけた。
背後から包むように抱き締める。
「ごめんね」
「……」
「あきらがあんまり可愛いから、ついついやり過ぎてしまうんだ」
「……褒めているように聞こえませんが」
「もうしないから」
「ほんとに?」
「うん……できるだけ努力する」
やわやわとあきらの胸を揉んでいる、昌武の手。
あきらは裏拳を放つ。
昌武は避ける。
そこへ反対の手がぺちんと頬に当たった。
フェイントである。
「今回は、多目に見ます」
昌武に従うように、あきらは降りてきた。
まだ、顔が赤い。
「ごはん、用意するね」
あきらは麟太郎が心配しないように笑顔を見せながら立ち働いた。
麟太郎はそんなあきらを温かい目で見つめていた。
インタホンが鳴り、あきらは玄関を開けた。
班長の川端が立っていた。
「回覧板ですよ。
おや、ご飯時でしたか」
「ええまあ」
あきらは愛想笑いをした。
近所付き合いは大切だ。
川端は、あきらを上から下まで舐めるように見ると、回覧板を差し出す。
あきらが受け取ろうと手を出すと、回覧板はその手を避け胸に押しつけられた。
川端は野卑た笑いを口元に浮かべている。
回覧板は、件の痛むところに当たっていた。
あきらの顔色が変わる。
「夕べも、お楽しみだったんじゃ?」
回覧板をぐりぐりと押しつけてくる。
「いい加減にしなさいっ」
あきらの正拳が川端の鼻にヒットした。
「う」
なんだかじんじんと乳首が痛む。
昌武に噛まれたせいだ。
これまで、何度かいたしたけれども、「後遺症」に悩まされたのは初めてだ。
「そもそも、噛みつくってどういうことなのよ」
「おはよ、おかあさん。
虫にでも噛まれたの?」
麟太郎に独り言を聞かれた。
あきらは苦笑いをしてごまかす。
慣れてきたとばかり思っていたが、睦言はまだ、あきらには未知の世界だ。
昌武が鼻唄混じりにキッチンへ入ってきた。
あきらに抱きつく。
今日は公休なので、あきらは敢えて起こさなかった。
自分でちゃんと起きられるのではないか。
「あきらぁ、おはよ」
昌武は麟太郎がいるのにもお構いなしにあきらの胸を背後から鷲掴みにした。
下着に擦れて痛む。
錐か何かで刺されるような痛みだ。
あきらはむくむくと怒りが湧いてきた。
「やめてってば」
あきらは裏拳で昌武の顔面を打った。
昌武はひらりと避ける。
「なんで避けるのっ」
「当たったら痛そうだから」
麟太郎は目を丸くした。
「おかあさんが怒るところ、初めて見た。
怒るんだね」
「それもそうだ。
なんで怒ってるの?」
「だって夕べっ!
痛いから嫌だって云ったのにっ」
勢いで云いかけ、真っ赤になって両手で口を塞ぐ。
昌武はにやにやとしており、麟太郎は歯ブラシを取り落とした。
あきらはいたたまれず、二階へ逃げた。
「で?
朝ごはんどうする気?」
麟太郎は父親に尋ねた。
昌武は苦笑いしている。
「俺のせい?」
「三股四股当たり前だった癖に、何やってんの」
「それ、あきらには云うなよ」
昌武は階段を登っていった。
「とっくに知ってると思うけど」
昌武は、ウォークインクローゼットでしゃがみこむあきらを見つけた。
背後から包むように抱き締める。
「ごめんね」
「……」
「あきらがあんまり可愛いから、ついついやり過ぎてしまうんだ」
「……褒めているように聞こえませんが」
「もうしないから」
「ほんとに?」
「うん……できるだけ努力する」
やわやわとあきらの胸を揉んでいる、昌武の手。
あきらは裏拳を放つ。
昌武は避ける。
そこへ反対の手がぺちんと頬に当たった。
フェイントである。
「今回は、多目に見ます」
昌武に従うように、あきらは降りてきた。
まだ、顔が赤い。
「ごはん、用意するね」
あきらは麟太郎が心配しないように笑顔を見せながら立ち働いた。
麟太郎はそんなあきらを温かい目で見つめていた。
インタホンが鳴り、あきらは玄関を開けた。
班長の川端が立っていた。
「回覧板ですよ。
おや、ご飯時でしたか」
「ええまあ」
あきらは愛想笑いをした。
近所付き合いは大切だ。
川端は、あきらを上から下まで舐めるように見ると、回覧板を差し出す。
あきらが受け取ろうと手を出すと、回覧板はその手を避け胸に押しつけられた。
川端は野卑た笑いを口元に浮かべている。
回覧板は、件の痛むところに当たっていた。
あきらの顔色が変わる。
「夕べも、お楽しみだったんじゃ?」
回覧板をぐりぐりと押しつけてくる。
「いい加減にしなさいっ」
あきらの正拳が川端の鼻にヒットした。
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