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第一章 神聖イルティア王国編
私の不思議な婚約者 ~マクスウェル殿下視点~2
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ハーティとの初顔合わせが終わり、ひとまずはお互いに出会った印象も良かったので、予定通り王都にて二人の婚約の手続きを進めることとなった。
婚約者となるハーティはこれから王都で暮らさないといけないため、王都へ向かう準備が終わるまでの間、マクスウェル達はオルデハイト領で滞在することとなった。
「ちゃんとエスコートしてハーティちゃんの心を掴むのよ」と茶目っ気たっぷりに言ってきたユーリアシスに嘆息しながらも、その話に乗ってマクスウェルはハーティに侯爵家屋敷を案内してもらうことになった。
こんな時、今までの令嬢であれば連日のように変わり映えのしないお茶会など開いては中身のない身の上話を永遠とされる。
ハーティはどうやらお気に入りの場所があるからそこでピクニックを兼ねたお茶を楽しみたいということであった。
ハーティであれば少しは楽しい話でもできるかなと思い、マクスウェルは彼女のお気に入りの場所へと向かった。
それからしばらくして到着した場所は、これといって何もない開けた芝生であった。
だが、芝生に立って耳を澄ませば、心地よい小川のせせらぎの音や、やわやかな風がとても気持ちの良い場所であった。
そして、なによりも・・・。
とても心が休まる気配がするのだ。
何故かはわからないが、この広場自体が何か癒しの効果を持っているような、そんな錯覚を感じていた。
もしかしたら、ここは何らかの条件が重なって自然エーテル量が高い場所なのかもしれない。
マクスウェルは自身の髪色にあるようにエーテルの感受性が高いので、時々このような不思議な感覚を味わうのだった。
「このオルデハイト卿の領地は本当に自然豊かで綺麗な場所だね」
マクスウェルは無意識に口を開いていた。
「はい、私はこの自然豊かなオルデハイト領が大好きなんです。この屋敷の中にある木々や花たちも、庭師のみなさんがとっても大切にお世話してくださって、とっても綺麗なんですよ」
そう言いながら微笑む彼女は、本当に自然を愛しているようであった。
今まで出会った貴族令嬢の中には、マクスウェルの気を引くために花や自然を愛でる姿をわざわざ見せる者もいたが、彼女からはそのような雰囲気が微塵も感じられなかった。
しかし、そのあとマクスウェルがハーティに『女神教』の話をすると彼女は気まずそうな顔をした。
ハーティも神聖イルティア王国貴族であれば女神教を信仰しているはずであった。
だが、やはり彼女は自身の髪色に少なくない劣等感を感じて、それが女神教の信仰心に影響しているのかとマクスウェルは考えた。
そして、マクスウェルが早々に話題を切り替えようとしたその時・・・。
「・・・たくさんの人々が手を取り合って、がんはって・・長い年月をかけて・・新しい世界を築き上げてくれたんですね」
ハーティは心から喜び感極まった表情で、両手を組みながら空を仰いでいた。
ドクンッ・・・!
その姿を見たマクスウェルの心に衝撃が走った。
愛しみながら空に祈りを捧げるようなその姿は、まるで聖女のようであった。
寧ろ、女神ハーティルティアのような神秘さと清らかさが彼女から溢れていたのだ。
マクスウェルは生まれて初めての気持ちに戸惑った。
しかし、それが『恋』という感情であることがわかってしまった。
マクスウェルは今の一瞬でハーティに心を奪われてしまった。
政略的な打算でもなく、心から彼女が欲しいと思ったのだ。
その場は何とか誤魔化したマクスウェルであったが、それからはハーティの気を引く為積極的に行動することにした。
まずはお互いの呼び方を変える所から始めた。
ハーティは呼び方を変えることに対して特に思うことはなかったみたいで、これはすんなり出来たのであった。
ただ、マクスウェルがハーティに呼び方を変える提案をした時、何故か彼は言い様の無い悪寒を感じていた。
まるでそれは、かつての邪神デスティウルスが放つ邪気のようであった。
その後無事に王都で婚約は成立したが、マクスウェルはハーティの気を引く為に、暇さえあれば彼女に会いにいった。
しかし、マクスウェルがどれだけハーティに、気持ちをアピールしても、恋愛に対して未熟なのか、そもそも興味がないのか、彼女には全く伝わらなかった。
そしてマクスウェルにはもう一つ立ち塞がる大きな壁があったのだ。
それは、『ハーティ付き専属侍女のユナ』と言う存在である。
彼女はいつ何時もハーティの側にいて、マクスウェルの行動に目を光らせていた。
マクスウェルが様々な策を講じてハーティと二人きりになろうとしても、必ず彼女が阻止してくるのだ。
彼女はマクスウェルが王族であることなどお構いなしに、時々本気の殺気を飛ばしてくるくらいであった。
それこそ、マクスウェルが邪な気持ちでハーティに触れようものなら、ユナが気配を消して背後から首を掻き切る姿が容易く想像できるほどであった。
しかし、ハーティはユナのことを本当に大切にしている為、決して彼女を無碍には出来ない。
だが、マクスウェルも諦めるつもりはなかった。
いずれにしても成人すれば二人は結婚するのだ。
それまでに必ずユナを攻略して、ハーティに心から愛してもらう。
そう決意したマクスウェルは、それからもいよいよ成人を迎えるという15歳になるまでひたすらハーティにアピールを続けたのであった。
婚約者となるハーティはこれから王都で暮らさないといけないため、王都へ向かう準備が終わるまでの間、マクスウェル達はオルデハイト領で滞在することとなった。
「ちゃんとエスコートしてハーティちゃんの心を掴むのよ」と茶目っ気たっぷりに言ってきたユーリアシスに嘆息しながらも、その話に乗ってマクスウェルはハーティに侯爵家屋敷を案内してもらうことになった。
こんな時、今までの令嬢であれば連日のように変わり映えのしないお茶会など開いては中身のない身の上話を永遠とされる。
ハーティはどうやらお気に入りの場所があるからそこでピクニックを兼ねたお茶を楽しみたいということであった。
ハーティであれば少しは楽しい話でもできるかなと思い、マクスウェルは彼女のお気に入りの場所へと向かった。
それからしばらくして到着した場所は、これといって何もない開けた芝生であった。
だが、芝生に立って耳を澄ませば、心地よい小川のせせらぎの音や、やわやかな風がとても気持ちの良い場所であった。
そして、なによりも・・・。
とても心が休まる気配がするのだ。
何故かはわからないが、この広場自体が何か癒しの効果を持っているような、そんな錯覚を感じていた。
もしかしたら、ここは何らかの条件が重なって自然エーテル量が高い場所なのかもしれない。
マクスウェルは自身の髪色にあるようにエーテルの感受性が高いので、時々このような不思議な感覚を味わうのだった。
「このオルデハイト卿の領地は本当に自然豊かで綺麗な場所だね」
マクスウェルは無意識に口を開いていた。
「はい、私はこの自然豊かなオルデハイト領が大好きなんです。この屋敷の中にある木々や花たちも、庭師のみなさんがとっても大切にお世話してくださって、とっても綺麗なんですよ」
そう言いながら微笑む彼女は、本当に自然を愛しているようであった。
今まで出会った貴族令嬢の中には、マクスウェルの気を引くために花や自然を愛でる姿をわざわざ見せる者もいたが、彼女からはそのような雰囲気が微塵も感じられなかった。
しかし、そのあとマクスウェルがハーティに『女神教』の話をすると彼女は気まずそうな顔をした。
ハーティも神聖イルティア王国貴族であれば女神教を信仰しているはずであった。
だが、やはり彼女は自身の髪色に少なくない劣等感を感じて、それが女神教の信仰心に影響しているのかとマクスウェルは考えた。
そして、マクスウェルが早々に話題を切り替えようとしたその時・・・。
「・・・たくさんの人々が手を取り合って、がんはって・・長い年月をかけて・・新しい世界を築き上げてくれたんですね」
ハーティは心から喜び感極まった表情で、両手を組みながら空を仰いでいた。
ドクンッ・・・!
その姿を見たマクスウェルの心に衝撃が走った。
愛しみながら空に祈りを捧げるようなその姿は、まるで聖女のようであった。
寧ろ、女神ハーティルティアのような神秘さと清らかさが彼女から溢れていたのだ。
マクスウェルは生まれて初めての気持ちに戸惑った。
しかし、それが『恋』という感情であることがわかってしまった。
マクスウェルは今の一瞬でハーティに心を奪われてしまった。
政略的な打算でもなく、心から彼女が欲しいと思ったのだ。
その場は何とか誤魔化したマクスウェルであったが、それからはハーティの気を引く為積極的に行動することにした。
まずはお互いの呼び方を変える所から始めた。
ハーティは呼び方を変えることに対して特に思うことはなかったみたいで、これはすんなり出来たのであった。
ただ、マクスウェルがハーティに呼び方を変える提案をした時、何故か彼は言い様の無い悪寒を感じていた。
まるでそれは、かつての邪神デスティウルスが放つ邪気のようであった。
その後無事に王都で婚約は成立したが、マクスウェルはハーティの気を引く為に、暇さえあれば彼女に会いにいった。
しかし、マクスウェルがどれだけハーティに、気持ちをアピールしても、恋愛に対して未熟なのか、そもそも興味がないのか、彼女には全く伝わらなかった。
そしてマクスウェルにはもう一つ立ち塞がる大きな壁があったのだ。
それは、『ハーティ付き専属侍女のユナ』と言う存在である。
彼女はいつ何時もハーティの側にいて、マクスウェルの行動に目を光らせていた。
マクスウェルが様々な策を講じてハーティと二人きりになろうとしても、必ず彼女が阻止してくるのだ。
彼女はマクスウェルが王族であることなどお構いなしに、時々本気の殺気を飛ばしてくるくらいであった。
それこそ、マクスウェルが邪な気持ちでハーティに触れようものなら、ユナが気配を消して背後から首を掻き切る姿が容易く想像できるほどであった。
しかし、ハーティはユナのことを本当に大切にしている為、決して彼女を無碍には出来ない。
だが、マクスウェルも諦めるつもりはなかった。
いずれにしても成人すれば二人は結婚するのだ。
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