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第一章 神聖イルティア王国編
デビッドの思い ~デビッド殿下視点~3
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デビッドは『黒の魔導結晶』を受け取ると、早速それを身に着けてみた。
すると、特にマナを引き出した様子もないのに、まるで自分がその魔導結晶から力強いマナを貰っているような錯覚を覚えた。
「す・・・すごい!!」
その不思議な感覚に心躍ったデビッドは、早速その効果を確かめるべく行動することにした。
しかし『黒の魔導結晶』の効果を公にできないデビッドはそれを表立って使うことはできなかった。
しかし、王族であるデビッドは騎士団の訓練に参加する以外で、一人勝手に戦闘訓練をすることはできない。
そこで、デビッドは母であるミリフュージアに「秘密の特訓をして義姉さんと兄上を見返したいから、誰にも見られず一人で訓練できる時間と場所がほしい」と言った。
もともとデビッドの悩みを理解していたミリフュージアは、デビッドの訴えを聞いて王宮内の中庭で人払いをし、離れたところに侍従を待機させることを条件にそれを承認した。
そして、数日後・・待ちに待った秘密の訓練の為、デビッドが王宮の中庭へ向かおうとした時に王宮内でハーティとばったり会うこととなった。
「あ、デビッド・・」
ハーティは突然の遭遇に気まずそうな顔をしていた。
おそらく前回闘技場で敗北した後に、碌に挨拶もないまま立ち去ったことを心配しているんだろうとデビッドは思った。
(本当に義姉さんは優しい方だ・・・)
(ただ、その優しさが今まで辛かったこともあるんだけどね・・)
だが、既に自身の不遇を打破する手段を見つけたデビッドは、ハーティに明るく振る舞うことにした。
「あ、こんにちは。義姉さん。今日も王宮に来てたんですねっ!お妃教育ご苦労様です!」
その言葉を聞いたハーティは驚いているようであった。
(きっと、急に元気になっているから不思議におもったんだな・・)
「ええ、お気遣いありがとう。デビッド」
(でも、この『新しい力』を手に入れた僕を見れば、きっと義姉さんが僕を見る目も変わってくれるはず!)
そう思って、居ても立っても居られないデビッドは中庭へ急ぐことにした。
「では、僕は少し用事がありますので失礼しますね!」
「ええ、またね」
そんなデビッドを見たハーティは終始不思議そうな様子であった。
そして、中庭に到着したデビッドは侍従から木剣を受け取ると、彼にも席を外すように指示した。
そして、周囲に誰もいなくなったことを確認すると、徐に胸元の魔導結晶を取り出した。
「・・・・頼むよ」
デビッドは魔導結晶を握って願掛けをすると、再びそれを胸元に仕舞い込んで『ブースト』の詠唱を開始した。
そして、詠唱が完了した瞬間・・・。
デビッドは、自分の体から何か不思議なものが吸い出されたような錯覚を受けた直後に、自身の体に爆発的な力が漲ってくるのを感じた。
「すごい・・・力が漲ってくる!!」
デビッドは試しに手に持っていた木剣を軽く振るってみた。
・・ビシュン!
すると、木剣は残像を残しながら小さな風を巻き起こしていた。
続いてデビッドは脚に軽く力を入れて駆け出した。
・・ドォン!
次は、爆発的なスピードで一気に中庭の端まで駆け抜けることができた。
「・・・最後は、魔導・・か」
そう言うと、デビッドは緊張しながら腕を前に伸ばして掌を上に広げた。
そして、炎属性の初級魔導を発動する為に詠唱し始めた。
・・・・・。
「ファイア!」
ボゥゥゥ!
するとデビッドの掌から小さな炎が上がった。
『ファイア』の魔導は意識した場所に小規模の火を出現させる生活魔導である。
小規模ではあるが自分が始めて目に見える魔導を発動できたことにより、デビッドは興奮した。
「すごい!すごいぞ!この魔導結晶は!!」
魔導結晶のマナを使用して発動する魔導は、特に持続型の場合において魔導結晶内の残存マナに比例して魔導の発動力が低下してくる。
特にマナの消費が激しい『ブースト』の魔導であれば、かなり高価で大型な魔導結晶を使って発動しても、長時間の発動はできずに発動力が目に見えて低下してくるものである。
だが、今現在までデビッドは『ブースト』を発動したままであったにも関わらず、その発動力には何ら変化を感じなかった。
つまりは、この魔導結晶はそれほどのマナを内包しているということであった。
「これさえあれば・・・・兄上も・・・・みんなも・・そして義姉さんも・・見返すことができる!!」
「あのユナさんだって・・・打ち負かすことができる!!」
「そうすれば、きっとみんなもっと僕を頼ってくれる!」
デビッドがそう思うと、彼の中に不思議な昂揚感が湧きあがってきた。
「義姉さんも、兄上なんかより僕のことを見てくれるようになる!!」
「そうだ、魔導さえ使えれば、僕は兄上より優れているはずなんだ!」
「いままで我慢してきたものも、なにもかも手に入れることができるんだ!」
「ははははははは!」
デビッドは湧き上がる昂揚感に合わせて高笑いを上げた。
そして、昂揚感と共にデビッドの心からはどす黒い欲望も湧き上がり始めていたのであった。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
(イラ様・・・無事デビッド殿下に『例のもの』を渡せましたね)
((うむ、どうやら早速『黒の魔導結晶』を使い始めたようだ。我の見込み通り、彼奴と『黒の魔導結晶』は非常に相性が良いようだ))
(それで、『黒の魔導結晶』をデビッド殿下が使うと、どのようなことが起こるのでしょうか)
((ふん、まあそう焦るな。このまま彼奴が『あれ』を使い続けて彼奴自身とより同調するようになってきた時こそ、悲願達成へ最初の一歩を踏み出すときとなる))
(それは楽しみですな)
((ああ、まったくもって楽しみだ・・・・!))
邪悪に微笑むアレクスの体からは、うっすらと黒い霧が湧きだしているようであった。
すると、特にマナを引き出した様子もないのに、まるで自分がその魔導結晶から力強いマナを貰っているような錯覚を覚えた。
「す・・・すごい!!」
その不思議な感覚に心躍ったデビッドは、早速その効果を確かめるべく行動することにした。
しかし『黒の魔導結晶』の効果を公にできないデビッドはそれを表立って使うことはできなかった。
しかし、王族であるデビッドは騎士団の訓練に参加する以外で、一人勝手に戦闘訓練をすることはできない。
そこで、デビッドは母であるミリフュージアに「秘密の特訓をして義姉さんと兄上を見返したいから、誰にも見られず一人で訓練できる時間と場所がほしい」と言った。
もともとデビッドの悩みを理解していたミリフュージアは、デビッドの訴えを聞いて王宮内の中庭で人払いをし、離れたところに侍従を待機させることを条件にそれを承認した。
そして、数日後・・待ちに待った秘密の訓練の為、デビッドが王宮の中庭へ向かおうとした時に王宮内でハーティとばったり会うこととなった。
「あ、デビッド・・」
ハーティは突然の遭遇に気まずそうな顔をしていた。
おそらく前回闘技場で敗北した後に、碌に挨拶もないまま立ち去ったことを心配しているんだろうとデビッドは思った。
(本当に義姉さんは優しい方だ・・・)
(ただ、その優しさが今まで辛かったこともあるんだけどね・・)
だが、既に自身の不遇を打破する手段を見つけたデビッドは、ハーティに明るく振る舞うことにした。
「あ、こんにちは。義姉さん。今日も王宮に来てたんですねっ!お妃教育ご苦労様です!」
その言葉を聞いたハーティは驚いているようであった。
(きっと、急に元気になっているから不思議におもったんだな・・)
「ええ、お気遣いありがとう。デビッド」
(でも、この『新しい力』を手に入れた僕を見れば、きっと義姉さんが僕を見る目も変わってくれるはず!)
そう思って、居ても立っても居られないデビッドは中庭へ急ぐことにした。
「では、僕は少し用事がありますので失礼しますね!」
「ええ、またね」
そんなデビッドを見たハーティは終始不思議そうな様子であった。
そして、中庭に到着したデビッドは侍従から木剣を受け取ると、彼にも席を外すように指示した。
そして、周囲に誰もいなくなったことを確認すると、徐に胸元の魔導結晶を取り出した。
「・・・・頼むよ」
デビッドは魔導結晶を握って願掛けをすると、再びそれを胸元に仕舞い込んで『ブースト』の詠唱を開始した。
そして、詠唱が完了した瞬間・・・。
デビッドは、自分の体から何か不思議なものが吸い出されたような錯覚を受けた直後に、自身の体に爆発的な力が漲ってくるのを感じた。
「すごい・・・力が漲ってくる!!」
デビッドは試しに手に持っていた木剣を軽く振るってみた。
・・ビシュン!
すると、木剣は残像を残しながら小さな風を巻き起こしていた。
続いてデビッドは脚に軽く力を入れて駆け出した。
・・ドォン!
次は、爆発的なスピードで一気に中庭の端まで駆け抜けることができた。
「・・・最後は、魔導・・か」
そう言うと、デビッドは緊張しながら腕を前に伸ばして掌を上に広げた。
そして、炎属性の初級魔導を発動する為に詠唱し始めた。
・・・・・。
「ファイア!」
ボゥゥゥ!
するとデビッドの掌から小さな炎が上がった。
『ファイア』の魔導は意識した場所に小規模の火を出現させる生活魔導である。
小規模ではあるが自分が始めて目に見える魔導を発動できたことにより、デビッドは興奮した。
「すごい!すごいぞ!この魔導結晶は!!」
魔導結晶のマナを使用して発動する魔導は、特に持続型の場合において魔導結晶内の残存マナに比例して魔導の発動力が低下してくる。
特にマナの消費が激しい『ブースト』の魔導であれば、かなり高価で大型な魔導結晶を使って発動しても、長時間の発動はできずに発動力が目に見えて低下してくるものである。
だが、今現在までデビッドは『ブースト』を発動したままであったにも関わらず、その発動力には何ら変化を感じなかった。
つまりは、この魔導結晶はそれほどのマナを内包しているということであった。
「これさえあれば・・・・兄上も・・・・みんなも・・そして義姉さんも・・見返すことができる!!」
「あのユナさんだって・・・打ち負かすことができる!!」
「そうすれば、きっとみんなもっと僕を頼ってくれる!」
デビッドがそう思うと、彼の中に不思議な昂揚感が湧きあがってきた。
「義姉さんも、兄上なんかより僕のことを見てくれるようになる!!」
「そうだ、魔導さえ使えれば、僕は兄上より優れているはずなんだ!」
「いままで我慢してきたものも、なにもかも手に入れることができるんだ!」
「ははははははは!」
デビッドは湧き上がる昂揚感に合わせて高笑いを上げた。
そして、昂揚感と共にデビッドの心からはどす黒い欲望も湧き上がり始めていたのであった。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・。
(イラ様・・・無事デビッド殿下に『例のもの』を渡せましたね)
((うむ、どうやら早速『黒の魔導結晶』を使い始めたようだ。我の見込み通り、彼奴と『黒の魔導結晶』は非常に相性が良いようだ))
(それで、『黒の魔導結晶』をデビッド殿下が使うと、どのようなことが起こるのでしょうか)
((ふん、まあそう焦るな。このまま彼奴が『あれ』を使い続けて彼奴自身とより同調するようになってきた時こそ、悲願達成へ最初の一歩を踏み出すときとなる))
(それは楽しみですな)
((ああ、まったくもって楽しみだ・・・・!))
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